69話 爆発する感情
「魔族!!!リュンヌを返せー!!」
先端にかけて白くなっている、オレンジ色の長い髪を
なびかせて、前髪の1つの束は黒く染まっていた。
そして獣耳に鋭い牙で、ライガーに半獣化した
アレイユが魔族に向かって、勢い良く走って行く。
走っている途中に、アレイユの持つ剣は
炎を纏った。
「 炎 旋 !!!」
デイブレイクは、軽々しく黒刀で受け止めようとした。
「次から次へと、面倒くさいで…!?」
ガァーーン!!と音を立てて、デイブレイクの刀は
弾かれてギラージュの隣に飛んでいった。
アレイユは少し後ろに、のけ反りながら
剣先を向けて叫んだ。
「フーピリエ !!!!」
剣先から凄まじい威力の炎の柱が、吹き出したが
デイブレイクとっさに黒い傘でガードしていた。
凄まじい威力の炎の柱は、傘を灰にしデイブレイクの
衣装も溶かし、腹に火傷を負わした。
「獣人族、お前達のな!?」
デイブレイクが何かを、話している途中だったが
アレイユは容赦なく剣を振り下ろした。
ギュ!アレイユは握っていた剣の力が弱まり
剣を落とした。
「アレイユ…もういいよ…。
リュンヌ君は、魔族に攫われたんだよ…。
それより今は、フォリス副隊長のしんぱ…!?」
血が飛び散った。
アレイユは鋭い爪でキャンディスを、引っ掻き
振りほどいた。
キャンディスの服からは血が滲み、破けた服の
隙間からお腹にできた、爪傷が見えた。
「半獣化の暴走!?
こんな事今まで見た事無いぜ!?」
猫剣王がキャンディスとアレイユの間合いに入った。
ランクスも声を上げて、命令した。
「レパール・チタ、ルナ・フォリネ!
怪我人を連れて、急いで王国へ戻って下さい!
アジサイ、ダリアの精鋭の皆さんも護衛を
お願いします!」
『アレイユ…。』
キャンディスは、フォリネに抱えられ
チタ達と王国へ戻っていった。
アイレユの髪はさらに伸びていき、腰の辺りまで
伸びていた。
そして前髪にもう1つ黒い束が出来ていた。
ガァルゥルゥル
アレイユは、威嚇した唸り声を上げて
爪と牙を尖らせた。
「アレイユさん、落ち着いて下さい!
リュンヌさんが見たら悲しみますよ。」
トルチェも必死に声を上げた。
ガゥォォォオオオオ!!!
アレイユは、トルチェの声に興奮し
大きく泣き叫んだ。
「逆効果だぜ…。
力で抑え込むしか無いなこれは…。」
猫剣王が少し様子を見ていた。
『影猫は、夜は使えないぜ…。
どうするか…。』
アレイユは、唸り声と共に猫剣王に飛びかかる。
猫剣王は、アレイユの身体を傷つけ無いように
爪をなんとか、身の丈ほどの細い剣でしのいでいく。
「弐夜ン古流・」
猫剣王が剣を構えた途端、剣が消え
剣の位置に人影が現れた。
人影はアレイユに抱きついた。
「アレイユ!!目を覚めせ!!」
『誰!?暖かい温もり…。父様!?』
アレイユの半獣化が解けて、髪など元の姿に
ゆっくり戻っていった。
ドサッ!とアレイユは人影にもたれかかる様に
気絶した。
アレイユが目を開けると、見覚えのある天井が見えた
。
「ここは…?」
すると、キャンディスが覗き込む様に
アレイユに笑顔を見せた。
「私らの隊舎だよ!」
「やっと目が覚めたか?」
アレイユが起き上がり振り向くと、
いつもの定位置に座っているアルスの姿があった。
「アルス隊長!」
アルスは、笑いながら話した。
「アレイユこれから1週間いや、1ヶ月
隊舎の掃除当番なー。」
「な、当番は毎日交代制だろー?隊長ー!」
アルスが低めの声で話した。
勝手に病院を抜け出して、任務の妨害をした罰だ!」
最後まで読んで頂きありがとうございます!
序章が思ったほど長くなってしまいました。
新世界戦争編一章は、来年以降に投稿になると
思います。
皆様良いお正月を〜!!




