68話 宣戦布告
太陽は、徐々に徐々にゆっくりと、沈もうとしている。
そして完全に日が沈んだ瞬間に、青年は動き出した。
青年は周りを見渡してから、喋った。
「油断したなぁ。
でぇ、久々やなぁ、魔族さん達。」
「私達の話を聞いて貰おうか?」
「ええでぇー、なんやぁ話ってぇ?」
デイブレイクが声を上げた。
「獣人族、エルフ族、宣戦布告する。
これより魔族、新世界七魔は、獣人族エルフ族を
全滅させる。」
「なんだと!?」
「宣戦布告したからには、逃げれると思うなよ?」
ランクスと猫剣王は、剣を魔族達の方に向けた。
「おもろいやん、我々エルフ族も
獣人族と魔族に宣戦布告やぁ。」
青年はナイフをクルクル回すと、掴み姿を消した。
うっ…と呻き声と共に、地面に血が垂れた。
一瞬の出来事に、全員が同様した。
「あかん、おもろないなぁ。」
ナイフを引き抜くと、更に血が垂れて
フォリスがキャンディスの方に倒れた。
「フォリスゥウーーーーーーゥゥウ!!!」
チタが叫び、フォリネが泣き叫んだ。
キャンディスはフォリスの身体を支えると、
涙声で呟いた。
「なんで…私を庇ったんですか…フォリス副隊長。」
フォリスはそのまま、何も言わずに目を閉じた。
短剣を構えて、チタが勢い良く走り出した。
「テメェー!」
フォリネがチタを呼び止める。
「待って…、チタ!」
「死ねぇぇぇえーーーエルフ族!!!!」
チタは耳を傾けずそのまま青年に、切りかかった。
チタの短剣は二本とも青年の残像を切り
勢い余って、後ろにいたギラージュに切りかかった。
一本は大きな黒い斧に当たり、もう一本は
ギラージュの体を切り裂いた。
「デイブレイクー!!殺ってもいいよなぁああ!?」
斧を振り下ろした。
キーン!と音を立てて、チタの背後ではナイフと
猫剣王の細い剣がぶつかった。
振り下ろされた斧は、チタがなんとか二本の短剣で
受け止めた。
「面倒な事に、なりましたね。
これ以上殺し合うなら、この二人もやりますよ?」
デイブレイクは、 倒れていたエルフ族掴んで
キャンディスの隣に並んでいた。
そしてエルフ族とキャンディスに刀を向けていた。
フォリネが涙を拭うと、叫んだ。
「……。チタ!もう止めろ!
急いでフォリスを治療しに行く!
まだ間に合う!」
チタがサッと後ろに下がり、フォリスの元に
駆け寄った。
デイブレイクもギラージュの方に
堂々と歩いて行った。
「フォリス、フォリネ、すまない…。」
チタは少し瞳を潤せて呟いていた。
猫剣王と睨み合っていた青年は、
体を引きながら呟いた。
「まぁええか。気済んだし帰るかぁ。」
猫剣王は、戦闘態勢は崩さず構え続けた。
「獣人族の副騎士団長さんに伝えといてぇ。
俺の名は、ウェスト・キュリノスと…。」
キュリノスは、他のエルフ族を見捨てて飛んで行った。
「やれやれだぜ。」
猫剣王は剣をしまった。
「やっと見つけたぞ!魔族!!!」
獣人族側の方からの、叫び声に
全員が振り向いた。
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