46話 耐性
『隙ありー!』
「風衝!」
ずっと手のひらを向けて構えていた右手から、物凄い威力の突風を吹かせて、リュナートと木々をなぎ倒した。
「いきなり攻撃とは酷いね。」
倒れた木の上に座り、まだ月を眺めていた。
『かなりの魔力を溜めた風衝なのに〜!めちゃくちゃ強い……。』
「そろそろ血を吸わせて貰えないかな?」
立ち上がるとキャンディスの目の前に一瞬で移動して顎を摘み上に、上げて首元に嚙みつこうとした。
「触るな!変態!」
キャンディスは股間を蹴り上げて、風衝で吹き飛ばした。
「い、今のは効いたな……。興奮するねー。」
リュナートは黒い刀を抜いてた。
「半獣化〜!」
猫耳と細いしっぽが生えて、手の平が肉球になって爪を尖らせた。
「可愛いねー。早く血を吸いたいねー。」
リュナートは素速く移動して切りかかった。
当たるか当たらないか、ぐらいの曖昧な距離で刀を振り下ろした。
キャンディスは避けて風衝を放った。
しかし簡単に刀で防がれて、今度は横側から切りかかってきた。
キャンディスはバク宙しながら華麗にかわした。
『半獣化したから身軽になって避けやすくなったけど攻撃の手段がな〜い!』
「すばしっこいね。月血解放!」
リュナートの肌の色は徐々に赤黒くなっていった。
そして刀を峰側を向けて構えた。
「気絶させてから味わうとしよう。」
一瞬でキャンディスの背後に周り、頭を狙い軽く振った。
驚き尻餅をついたお陰で、奇跡的に避けれた。
そして次々に頭を狙い振ってくるが、キャンディスは避けながら頭を腕で守った。
「いった〜い……。」
両腕の何箇所かが、青く腫れていた。
「美しい身体を、あまり傷つけたくない。そろそろ吸わせてくれないかな?」
舌舐めずりをした。
「絶対嫌!!気持ち悪い!!」
キャンディスが声を上げると、リュナートは素速く移動した。
『あいつは、頭しか狙わないはず!』
背後から地面を踏む音が聞こえた。それと同時にリュナートは背後から刀を振った。
「猫爪・嵐武!」
キャンディスは思いっきり爪を立てると、爪と手に風が纏った。背後に向かって引っ掻き回した。
「ギャーーー!!」
リュナートの顔やお腹や腕には、大量の引っ掻き傷が出来て、血がかなり溢れていた。
腕から流れた血が黒刀に流れて、刀の峰が鮮やかな赤に染まった。
「黒刀が血を吸っちゃった。可愛い顔してても、女性として、なってないね……。
痛ぶってから血を吸うのも、好きなんだよねー。」
刃を向けると、すぐに目の前までキャンディスとの距離を詰めて、切りかかった。
『嘘でしょ〜!?速すぎる……。』
キャンディスは両腕を身体の前に持ってきた。
ヒューーン!!黒刀は空を切った。キャンディスを抱きかかえた、フォリスが現れた。
フォリスの姿は獣耳に細いしっぽと牙が生えていて、身体には黒い斑点模様が現れていた。
「フォリスさん!」
「キャンディスさん遅くなりました。」
ゆっくりと降ろした。
「いつものやりますよ。変化解除!」
フォリスはチーターの様な姿から、キツネの様な姿に変わった。
「はい!」
「子狐の儚い灯火。」
フォリスから七匹の子狐が現れて、リュナートを囲んだ。
「暴風衝!」
キャンディスは両手を突き出して暴風を放った。
子狐のしっぽの炎は大きく燃え上がり、タイミング良く暴風を吹かせて、炎は更に大きくなり、周りを焼きつくして黒煙で覆った。
黒煙はゆっくり収まって行った。
「暑いねー、熱い暑い。」
ほぼ無傷のリュナートが煙の影から現れた。
「私の子狐の炎とキャンディスさんの暴風の、コンビ魔法を食らってなぜ無傷でいれる!?」
フォリスがかなり驚いていた。
「フォリスさん私に考えがあります!」
キャンディスが耳打ちをした。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
ブックマーク、感想などして頂けると嬉しいです
次回もよろしくお願いします!




