45話 月夜の吸血鬼
ソワレの肌の色が徐々に赤黒くなった。
「何をしたのですか!?」
トルチェは右手の平を向けて構えた。
ソワレは返事を返さず素速く動き、切りかかった。
「ミラー・ミロワール。」
瞬時に鏡を出すもソワレは横側に周り込んで、切りかかって来た。
キーーーン!!と音が響いた。
リュンヌが瞬時に入り剣で受け止めると、トルチェと背中を合わせた。
「アレイユ!ドジラフィーを守っといてくれ。」
「お、おう!」
「チッ!テメェーは、邪魔だ。」
リュンヌに切りかかる。
金属のぶつかり合う音が何回も響いた。
「迅雷!」
隙を突き素早く、水色の雷を纏った剣で切り裂いた。
ソワレの左肩を浅く切り裂いた。左肩から血がツーと、流れていきソワレの持つ黒刀にまで流れ落ちた。
「吸血鬼の血の価値を知らない奴らめ!」
黒刀の峰だけが、血で鮮やかな赤に染まった。
凄い速さでリュンヌに切りかかった。リュンヌは剣で防いだ。
バキーーーン!!!と鈍い音と共にリュンヌの剣を黒刀が切り砕き、リュンヌの腹を切り裂いた。
「リュンヌーーーーー!!!!」
アレイユが駆け寄ると、ソワレは瞬時に背後に周り
切りかかった。
「ヘキサシールド。」
トルチェはアレイユの背後に、六角形の透明な青色の障壁を作った。
黒刀が障壁に当たるとらパリーーーン!!と音を立て切り砕いた。
『ヘキサシールドをただの剣が…!?』
アレイユはヘキサシールドの魔力により、吹き飛ばされるだけで済んだ。
ソワレも少し吹き飛ばされた。
「チッ!つまんねーなテメェーら。」
手を伸ばし刀の刃を自分に向け、地面と水平にした。
「黒刀・血吹切!」
刀の峰から赤色の光線が、アレイユ達に向かった。
「レフレクシオン。」
トルチェは両手の平を伸ばして、薄い水色の直径5mほどの大きな丸い鏡を作り出した。
赤色の光線は鏡に当たると反射して、ソワレに向かっていった。
「えっ……!?」
ソワレの体は真っ二つに切られて、大量の血が溢れ出し、上半身が地面に崩れるとそのまま消滅した。
『まさかここまでの威力の光線だったなんて…。』
トルチェは身震いして、手を合わせてお辞儀した。
「リュンヌ大丈夫か!?」
アレイユとトルチェは急いで応急処置をした。
「アハハ、僕は無敵ですよ。アハハ。」
眠っているドジラフィーを、アレイユが叩き起こした。
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「ハルジオンの騎士さ〜ん、お水汲んで来ましたよ。」
キャンディスがお水を持って戻るとハルジオンの騎士の女性が、首から血を流して倒れていた。
「え!?……大丈夫ですか!?」
慌てて、駆け寄り水を置いた。
「めんどくさいねー、けど可愛い子ちゃんの血が吸えるのはありがたいねー。さっきの子より可愛いね君。」
キャンディスの背後に人影が現れて囁いた。鳥肌を立たせながら、肘打ちして距離を取った。
「やっぱりそう簡単には、血を吸わせて貰えないか。
まっ、抵抗してくれた方が興奮するし良いけどねー。」
「まさか吸血鬼!?」
手の平を向けて、構えながら聞いた。
「私の事知ってくれてるなんて、嬉しいねー。吸血鬼のリュナートよろしくー。」
装飾も付けている綺麗な服装で、長い焦げ茶色の髪を後ろで結んでいる、男性がお辞儀した。
「今日は月が綺麗だねー。」
リュナートは月を眺めた。
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