104話 嫌われ恨む悪魔
「夢の、大きな壁となる事件…。」
アルスが呟いた。
「エルフの誘いで、サタンとシャルヴァーはエルフ族の領土内に行く事があった。その時にエルフの裏切りにあい、サタンとシャルヴァーはエルフ族に捕まってしまった。
そして数年後サタンは解放された、ある条件のもとに。その条件は変わりの人質として、ある悪魔族の家系をエルフの手下に置くという事だった。
このエルフ族の裏切りにより、夢への壁は大きくなった。そしてさらに壁を大きくさせたのが、エルフの手下に送られたある悪魔族家系。
新世界七魔のリーダー、ベリフェルの先祖にあたる家系の悪魔族だっただよ。」
「新世界七魔?何度か遭遇している魔族の集団か。」
アルスが尋ねた。
「獣人族やエルフ族は知ら無いだろうけど、魔族は今、9人しかいない…いや8人か…。」
オルドリスは指を曲げて、数えていた。
「どういう事だ…?」
アルスが尋ねた。
「ベリフェルが残りの魔族を全員消滅させたからだよ。
ベリフェルはエルフ族や獣人族と同じように、魔族をも恨んでいた。それは昔、ベリフェルやベリフェルの親・先祖が魔族に嫌われていたからね。
エルフの手下に送られた悪魔族の家系、それはベリフェルの先祖であり、四天王魔法の宇宙魔法を扱える家系だった。
昔から四天王魔法は、代々受け継がれていたらしい。獣人族にひとつ、エルフ族にひとつ、悪魔族の王家にひとつ、そして悪魔族のベリフェルの家系にひとつ。
戦争は獣人族とエルフ族が手を組み、魔族連合が戦う構図だったためか、四天王魔法のバランスが取れていた。しかし、ベリフェルの先祖がエルフに、四天王魔法を奪われてしまい、バランスが崩れ魔族が不利になった。
その事があったため、ベリフェルの家系は他の魔族に嫌われていた。
そしてベリフェルはサタンからこの事を聞いて、自分に従う強い魔族以外を、全て殺した。サタンもね。」
「オルドリスと魔族の関係は、何となく分かったが、夢への大きな壁がありサタンも殺された今、オルドリスの目的は何なんだ!?」
アルスが声を上げて聞いた。
「目的は変わらないよ。
ただやり方を変えるだけだよ。
夢への壁は全て壊す、そしてサタンを蘇らせる!」
オルドリスが黒い刀を抜いた。
「なるほどね…。」
アルスは剣を抜いた。
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アレイユは人影に飛びかかり、剣を振り下ろした。
「てっめぇーー!!!」
人影はアレイユを吹き飛ばした。
「久しぶりだな、獣人!」
「…ルキフェル!リュンヌを返せ!!」
「リリアもいますよぉ〜!」
ルキフェルの後ろからリリアがでてきた。
アレイユは剣先を向けた。
「リュンヌを返せ!!」
「俺様に向かって頼む時に、その口の利き方はないよな?」
ルキフェルが挑発するような態度を取った。
「ルキさまぁ〜?目的分かってますぅ?」
リリアがルキフェルに抱きついて、囁いた。
「離れろ!!」
ルキフェルはリリアを、10メートル先の岩まで突き飛ばした。
それと同時に炎の光線が、アレイユの剣先から放たれて、ルキフェルの足元にぶつかった。
『フーピリエが曲がった!?重力魔法か!』
「半獣化!」
アレイユが声を上げると、髪が一気に伸びてオレンジと、先端が白いグラデーションになっていた。
獣耳としっぽ、牙と爪を尖らせると、前髪の一部が黒に変色した。それと同時に戦闘服が、黒とオレンジ色の縞模様の鎧の様になった。
剣先をルキフェルに向けると、何発も炎の光線を放った。
光線は全て、ルキフェルに当たる手前で地面にぶつかっていた。
「まるで怒り狂った獣だな!?」
ルキフェルの真横に移動していたアレイユが、切りかかった。
「炎旋!」
「グラビティ!」
アレイユは地面に叩きつけられ、ルキフェルは少し退がった。
「リュンヌ君を返せ!暴風衝!」
アレイユの後ろでキャンディスが右手を突き出し、手のひらから強力な風を放った。
ルキフェルの頬を擦り、リリアは体勢を大きく崩しながら避けた。
ルキフェルの頬から血が流れた。
「あーあ、これだから獣人共は…。」
頬の血は流れ落ちて、黒い剣に垂れた。剣の真ん中が真っ赤に染まった。
アレイユは黒い剣を狙って、炎の光線を放った。
「おっと!」
ルキフェルの剣に炎がぶつかると、炎が黒く燃えて灰になった。
『やっぱりあの時と同じか…。だったら俺も同じ様に獅子舞を…いやキャンディスがいるからダメだ…。』
アレイユは剣を構えて、ルキフェルを見つめていた。
「魔鬼剣・紅魔黒!剣刃モード!」
ルキフェルが自分の剣に向かって声を上げると、剣の赤く染まった部分が光りを放ち、剣の真ん中辺りから赤い刃が二本伸びた。
「前より弱くなってねぇだろうな?」
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