表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第4章 春から夏へ
87/374

第087話 「壁に拠る妨害」

「うわぁ、いいなぁーそれいいなぁー。古都音ことねさん俺にも作ってくださいよー!」

「【Neシリーズ】はお父様が『ゼクス君』の為に作ったものですから駄目です」


 古都音と一緒に戻ってくる頃、空はすでに夕闇へと沈み照明のついた鍛錬場で、アガミたちは粛々と訓練を続けている。

 1年の中で俺たち以外に訓練をする人はいない。


 2年も殆どおらず、1~3年の共有場所は俺達が大技を使っても騒ぎ立てられることはない。

 俺、アガミの2人が【三劔ミツルギ】で、はやてとアマツが【八顕】。鈴音すずね冷撫れいなと古都音がそれに次ぐ名家だから、文句を言える人もいないだろうけれどもね。


 と、他のみんなが事情に気づき、それぞれの反応を示した。


「なん、だと」

「……なん……ですって?」


 驚愕、もしくは愕然とした様子なのはアガミと冷撫。


「おめでとう」

「……さすがゼクスだ」


 賛辞を送ってくれたのはアマツと颯。


 しかし、アガミは反対するのかなとも考えていたが、思ったよりも素直に受け入れてくれた。

 感謝しなければ、色々と。


 これで俺とアガミの関係に亀裂が入るなんてことになったら、大分後で面倒なことになっていたのかもしれない。 

 俺は【始焉】を構えて、スイッチを入れてみる。


 と、銀色の光が棒状に伸びたかと思うと、片刃の剣になった。

 ……【顕装】ってこういうものなのか、確かに【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】の劣化版と考えていいかもしれない。


 そもそもの違いを挙げるとするならば、【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】は刀でこれは西洋剣というところか。

 力技でぶっ叩くという方法も取れそうで中々いい。


「とりあえずアガミで使い心地を確かめてみようかな」

「盾役として光栄だけれど、出力ちゃんと考えろよ!?」


 俺は素振りを何度かして、アガミの方を向いた。

 何がしたいのか端的に説明すると、アガミはいそいそと準備を始める。


 何段階かに分けてテストをしてくれるようだ。

 ところで――、これは顕現特性を付与しても大丈夫なやつだろうか。

 例えば【拒絶】とか【巻戻】とか。俺はこんな感じのものしか持っていないけれど。


『強度を調べてくれ、オニマル』

『顕現属性の付与は無理じゃな、通常なら大丈夫だろうが、【拒絶】は無理じゃろうな』

『そっか』


 【拒絶】が無理なら、他の【re】シリーズ全てが無理とも言える。

 俺も汎用的な特性が欲しいが、顕現特性はどうやって習得するんだろう?

 正直、【re】シリーズはちょっとな……。


「さて、行くぞ」


 準備の出来たアガミに、俺は【始焉】を構えてから呟く。

 アガミの盾は、いうなれば顕現力の塊だ。その密度も半端ないものであり、またそれよりも密度の低い攻撃を一切通さない。


 勿論、最初の出力では傷一つつかなかった。そもそも鋼鉄に拳をうち当てたように、こちらの【顕装】が一瞬ブレる。

 反動がこちらまでかえってきて、俺は一瞬だけ体制を崩しかけた。


 やっぱり強いな。盾特化なだけはある。

 ……あれ?


「アガミは、その盾で颯のように敵を埋めることは出来ないのか?」

「……んお?」


 アガミがきょとんとした顔になり、颯は逆に「あ」と何かに気づいたようだ。

 【顕現オーソライズ】が直接攻撃に拒絶反応を起こすのなら、妨害に使ってはどうかという俺の案に、アマツは試してみようとアガミの前に立つ。


「これ、ちゃんと【顕現オーソライズ】したほうがいいよな?」

「……【顕現属法ソーサリー】でなんとかなるなら、俺は無詠唱で奇襲が出来るほうを選ぶが」


 うん、それが出来るのは颯だけだと思う。


 俺は少なくとも、物を【顕現属法ソーサリー】で形に出来るほど熟練していないし、やっぱり出来るのはずっとそればっかり好きでやってきた颯だけではなかろうか。


「よし、アマツいくぞ」

「こい」

属性エルメグラン】・顕現体ライズシルド】・個体名インディヴィガード】」


 アガミは詠唱を凝ったりしていないようだ。

 顕現力の塊が空気中を移動し、アマツにピッタリハマる。肉体のある場所だけに穴が空き、アマツはジタバタと暴れてみるが殆ど意味を成さない。


「ちょっと抵抗するわな。……ふんっ!」


 アマツは壁に埋め込まれた状態で焔を全身から噴き出したが、密度の低いそれのためジリジリと溶かしてはいけても、すぐに復帰するというのは不可能。


 なんで、こんな簡単なことを俺は気づけなかったんだ?


「いや、普通に例外的イレギュラーな使い方だから、これ」


 少々自分の頭の悪さに気づいた俺へ、アガミが慰めるように肩をぽんぽんとしてくれた。


「でも、俺はこれからこうやって妨害することが出来たわけだ。その間にゼクスや善機寺ぜんきじや、アマツに倒してもらえば良いのか」

「充分に足止めはできていますしね」


 おめでとう! アガミは一段階成長することが出来た。


 次は攻撃手段をなんとかして考えよう。

頂いた意見で、予約投稿にしてほしいという声がありましたが申し訳ありません、ストックを出来るだけ作らないようにしているので出来ません(ストックを作ると書かなくなるため)


次の更新は今日です。


↓人気投票は、圧倒的契さんの不人気。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ