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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第4章 春から夏へ
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第084話 「夏の予定」

 颯のアマツの衝突から更に1ヶ月が過ぎた。

 この1ヶ月、凄く平和に俺は生きれている。


 栄都えいとアインの襲撃はなく、授業は楽しく、先輩や仲間たちとの生活も幸せに。

 でも、この平穏がいつまで続くのかと心配な件はある。


 2ヶ月経った。颯の最後の情報から、そろそろ早ければ蒼穹城そらしろしんが復帰してくるという懸念がある。

 栄都アインからの襲撃が今まで無いということは、古都音先輩へいつ何時なんどきに襲いかかってくるかわからないというもの。


 俺の考えを理解しているのか、颯は俺のそばにいない時でも常に監視の目を光らせているらしく、日に日に精神的な疲れが見えている。

 アガミも古都音先輩を守っているけれど、最近は授業でも「攻撃できない」というのが仇となり始めているのか、完全に肉壁と化していた。


「颯、そろそろ休みなって。何かあったら俺が出るから」

「それでは遅い。事前に心配の種は潰しておくものだ」


 颯は、あの不可解な現象を特に気にしているようだった。そのため、俺が彼の身体を気遣ってもそれは効果を示していない。

 いやー、こういう関係を想定したわけではなかったのだけれど。


 ていうか、颯って俺よりも物騒な考えの持ち主なんだな。これが守るという意味であるのなら、俺はちょっと……。

 何を考えているのかわからない。


 ちなみに、今は放課後。俺、アマツ、冷撫、アガミ、颯、古都音先輩で鍛錬を積んでいる。


「強いなぁー、善機寺って」

「全能になる才能がないのなら、一点極化させる方法にすればいいと俺は思う。でも、蜂統はちすべは何らかの形で攻撃手段を持ったほうが良い」


 颯に壁を貫かれたアガミは、呆けたように「ワーオ」とつぶやき、颯からアドバイスを受けている。

 アガミも、古都音先輩と同じように威迫できれば変わってくるんだろうけれど。あの威迫俺出来無いし。


 【顕現属法ソーサリー】、にめっぽう強いはずの【顕現オーソライズ】した障壁を、軽い手刀で貫く颯もどうかと思うが。

 アマツとぶつかった時も、全力ではないらしいからな……怖いなぁ。


「……俺は、弁慶に憧れているんだ。7つの【顕煌遺物ゼガシー】を扱って主君に仕えるというのが……」


 なんか語りだした颯の顔は本気である。そのクールな一匹狼っぽいのに、なんでそんなに忠臣なんだ。

 俺は友人になりたいんだけれどもな……。なんか、これは違う。圧倒的に違うぞ。


 あとなんか立ち往生しそう。でも颯なら矢の攻撃をもらってもすべてはたき落とせそうだな。


「そうそう、親父から今度家にこないかと言われている」

「え?」

「冷躯さんはOKをだしたそうだ」


 話をしている隣で、古都音先輩が何故か落ち込んでいた。

 私はまだ誘えていないのに、なんて言っているが違うと思う。


 少なくとも、古都音先輩が考えていることは違うと思う。


「将来を誓い合うんですか?」

「……確かに、忠誠という意味でならそうかもしれない」

「やめろ」


 古都音先輩が更にダメージを受けているじゃないか。

 先輩も先輩で、そうやって考えるのはやめて欲しい。


 俺は、ちゃんと古都音先輩に好意を持っているよ?

 これが、愛情なのか、ただの好意なのかはよくわかっていないけれど。


 自分の気持ちが自分でもきちんと理解できて、それが愛情や恋慕であるならば、古都音先輩の思いに答えようとは思っている。


『……膝枕されててそれを言うな。羨ましい死ね』

『待てや。オニマルは古都音先輩に膝枕して欲しいのか』

『うむ。気持ちの良さそうな太ももであった』

『実際気持ちよかったけどな』


 と、オニマルとも話をしながら。

 最近は本気で戦うような戦いがなく、授業では流石に【顕煌遺物】を使って「間違って」相手の首をはねては困るため、使わないことにしている。

 その結果、完全に置物だ。何回か本当にカップ麺の重しにさせてもらった。


 オニマルは精神世界で――体育座りして泣いていたけれど。


「……で、どうだ?」

「そうだな、行かせてもらうよ」


 その後で古都音先輩も「私の家に来ませんか!」なんて顔を赤らめていっていたからそちらも承諾する。

 どちらも夏休みらしいが、夏休みは神牙派の交流会パーティもあるんだったか。


 神牙家の方には「善機寺家も参加できないのなら行かない」と父さんが言ったらしく、颯も一緒。

 勿論、蜂統家と終夜家も一緒。


「今年の夏休みは楽しくなりそうだ」

「……蒼穹城派はないの?」

「ないぞ。パーティなんて開けば何時後ろから刺されるか分かったものじゃないだろうしな」


 たしかに。

 蒼穹城家・刀眞家は異常に敵が多いからな……。


「あっ」


 と、話をしていると古都音先輩が声を上げる。

 忘れ物をしたらしい。


「ちょっと、取ってきますね」

「着いてきます。もう夕方で危ないし」


 いつ栄都が襲撃に来るかわからないし。

 ――古都音先輩と歩きたいから。

次回更新は明日?今日? 早ければ今日です。そうすれば1日5回更新に。

遅くても寝るまでには更新しますね。


↓人気投票が早くも50票以上集まってます、まだまだ受け付けてます。


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