表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第4章 春から夏へ
78/374

第078話 「バトルジャンキー2人」

 獰猛な笑いを浮かべている善機寺ぜんきじはやてに、俺はどうすれば良いのか分からずとりあえず挙手した。

 こちらを向く颯、と先輩。


「ちょっと何を言っているのかわからないんだけれど」

「ん?」


 首を捻りたいのは俺だが、何故か颯も首をひねっている。

 何故だ。俺は疑問に思って良いはずなのに。


 てか、それで古都音先輩は納得してしまっているし!


「よく意味がわかっていないんだが」

「ん? つまり、善機寺さんが言いたいのは『ゼクス君には味方するけれど、神牙派と馴れ合うつもりはない』、『俺はゼクス君の周りに居る人だけを守る』ということですよね?」


 よく分かっているじゃないか、と颯。

 なにこの2人、意気投合しているんだ。なんか変な会を作りそうで怖いんだが。


 何を俺が言っているかわからないかもしれないが、とにかく怖いのだ。


「やっと誰かのために全力を出し切りたいと思った。だから、現状で言うのなら八龍ゼクスと終夜よすがら古都音先輩のためなら命を賭そう」


 なーに怖いこと言ってんのこの人。

 俺、あの乱戦の時に突き落としたのは足からだよな?


 頭からは突き落としてないよな?

 それとも、転がった時に当たりどころが悪かった……?


 いやいや、そんなことはあるまいて。

 【顕現者オーソライザー】がそれだけでなんとかなるとは思わない、これは彼の選択なのだろう。


 既視感がするのは、別の感情だろうが古都音先輩がいるからか。

 道理で意気投合するわけだ。


「これからはこき使ってくれても構わない、主」

「やめろ」


 主とか、今背筋がぞわわとしたぞ。

 オニマルにこう呼ばれても多分俺は嫌がるだろう。


『何だ、主ぃ』

『言うこと聞いてたか!?』


 【髭切鬼丸(ヒゲキリオニマル】まで悪乗りがすぎる。

 でも、なんだか悪い気はしないな。嫌悪感はしない。


 やっぱり、彼等は「敵」ではない。


「あとは、仲良くなれとは言わないがアマツたちと普通に話をしてくれると有り難いかな」

「……それは、相手の態度次第でなんとでもなるだろう」


 飽くまでも、自分は悪くないと主張する颯に、俺はため息をつかざるをえない。誰が良い悪いの問題じゃなく、譲歩の気持ちが大切なんだって。


 特に、颯やアマツ達って、直接なにかがあったわけじゃない。

 蒼穹城と刀眞は別だ。あれは研究阻害をやっているから問題だけれど。


『ゼクスよ。……貴様も譲歩の「じ」も無いのにの』

『許せって本気で言っているのなら、本気でカップ麺の蓋に重しとして使うぞ』

『いやじゃ』


 いやじゃといったって、彼女を顕現できない間は俺がどう扱おうが俺の勝手なんだろうけれど。

 まあ、流石に可哀想だわな。


 うん、俺は優しいからそのくらい分かってた!

 全然大丈夫大丈夫!


「そういえば、さっき颯は本気がどうとか全力がどうとか、言ってたけれど」


 俺が指摘すると、彼は申し訳無さそうに頭を下げる。

 びしっと直角にだ。


 何が起こったのか、と困惑する俺と古都音先輩の前で、彼は衝撃の一言を口からこぼす。


「……申し訳ない。先の2戦、俺は全く全力を出していないんだ……」


 なのに、俺に恐怖を覚えたってどういうことだよ。

 質問すれば、颯は「本能的に恐ろしいと感じた」と。


「でも、普通にゼクスは強いぞ。……全力出しても互角にはならないだろう、恐らく僅差で負ける」


 俺は確か、聞いたことがある。

 善機寺家はどちらかと言うと、【顕現オーソライズ】よりも【顕現属法ソーサリー】の方が得意な人が多いらしいということを。


 どちらが難しいか、なんていうものはないのだけれど。

 俺は【顕現オーソライズ】して、殴りに行くのが好き。


 颯は【顕現属法ソーサリー】で、遠巻きに戦うのが好きなのかな、と予想してみる。

 風属性の壁に栄都えいと阿音アインを埋めて、動きを阻害するってやつかなり凄いと思ったし。


「先輩、ここってどこか鍛錬を積める場所は無いのです?」

「個人的にですか? ……そうですね……」


 俺の質問に対して、古都音先輩は記憶をたどるように数分押し黙った。

 颯は、俺の意図が分かったのかワクワクした顔になっている。


 この人、確かバトルジャンキーだったっけ。それっぽい雰囲気を試験の時は出していたが、あれは俺を試していたのか。

 ……そう考えてみると、確かに意味深なことしすぎだよな……。


「2学期になれば、チームを組むでしょう?」

「アガミからそんなことを聞いたような」

「そこで好成績を初回でおさめれば、チーム専用の場所が割り当てられます」


 ……うん。そっか。……チームを真面目に組まなければならないこと、その重要性は理解した。

 けれど、今はないの? 今はないのか?


「個人的な場所はありませんが、ゼクス君たちが使用可能な場所ならば、全学年で自由に使っていい場所と、1~3学年で使っていい場所、1学年だけで使っていい場所が存在します」


 2番めいいね。人もそこそこ居そうだし、上級生のレベルも見れる。

 憎しみを込めるのは敵へだけで良いだろうけれど、やはり組み手や演習をさせてくれる人がいるのは有り難い。


 更に上へ向かうことが出来る。



 ……父さんじゃないが、道場破り的なことも出来るかもしれない。



次の更新は今日ですー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ