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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第4章 春から夏へ
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第075話 「善機寺の考え」

「ここは任せろ、八龍ゼクス」


 ……竜巻を【顕現オーソライズ】し、俺は再び宙に浮くとゼクス達を逃がす。

 栄都えいとはそれを逃がさんと斬撃を飛ばす動作をするが、とりあえずのところは風の壁を。


 彼女にめり込むようにして【顕現オーソライズ】。

 これで動きを阻害してくれるはずだ。すでにゼクスと……終夜よすがらは逃げおおせている頃だろう。


「なんのつもり? 裏切り者さん?」

「さてな……、仕えたい人が出来た。それだけだ」


 彼女は俺をキッと鋭く睨む。

 ……そのくらい覚悟している。栄都・刀眞・蒼穹城がこれから俺を敵として扱い、また神牙・亜舞照・須鎖乃・月姫詠・蜂統も俺をよく思わないだろう。


 しかし、そんなことはどうでもいいのだ。

 この数週間で、俺は「八龍」につくことを決めた。

 それが大切なことで、また。


 相手が友人だと思ってくれたとしても。

 俺は、彼の下にいる。


「それよりも襲ったこと。流石に俺たち【11家】でも、法は適用されると考えているのだが、どうか?」

「……中々饒舌になったじゃない、善機寺颯」


 【顕現者オーソライザー】に未遂の法は適応されない。

 だからこそ、【顕現者オーソライザー】は決闘が許可されているわけなんだが。個人的な復讐の為にだとか、他にも色々あるだろうが。


 だが、器物損壊はもうされている。……先ほど確認してきた。


「器物損壊はしていないわよ」

「は?」


 いや、ありえないと俺は頭をはっきりさせるように首を振った。

 確かに、あれは八龍ゼクスが【固定】した。それを目の前の栄都は内側から爆発させ、周りの人すら巻き込んでいる。


 しかし、栄都アインは笑っていた。……意地悪をするやんちゃな少女のように。八龍ゼクスたちが消えた方を見つめて、はぁと溜息を付く。


「……逃げられちゃったし、見て来なさいよ」


 言われるがまま、俺は食堂集合群のところに向かってみる。

 入り口を見て、今頃修復がすでに始まっているだろうなと考えて……。


 ……壊れてない? いやまさか?

 え? 

 ……いやいや、頭の記憶を辿ろう。


 ……だって怪我人はそこにいる。





 ――――いない? は?


「さっぱりわからん」

「ほらね?」


 何故か勝ち誇ったように、彼女はそうにんまりと笑った。

 俺に対して勝ち誇ってどうするんだ。


 ……それよりも、俺はあの仕組みが知りたい。

 俺の幻覚だったとでも言うのか?


「私はあんたに用がないの」

「……刀眞とうまりょうの差金か」

「ご名答ぅー」


 ……彼女は否定しなかった。刀眞遼の差金で終夜古都音を狙っているというのなら、そういうことなのだろう。

 俺は頭を掻き、栄都を見つめた。蜂統が神牙派とすれば、栄都家は蒼穹城派の人間だ。


 そう考えれば、蒼穹城派から寝返った俺は……どうなるんだ?

 八龍家はゼクスがあれなものの、体制的には「中立」らしい。それにしては刀眞や蒼穹城と反りが合わない気がするが。


「あんたが裏切ったせいで、私が出る羽目になったんだから。……でも、都合のいいことが一つある」

「……は?」

「あんたが、神牙かみきば派になっていないことよ」


 それはどういう意味だろうか。俺が脅威に感じていないのだろうか。

 ……感じていないんだろうな。今まで本気を出そうと思ったことがなかったから、俺は何もしてこなかった。


 その結果、八龍ゼクスにああやられるのは想定していなかったけれど。


 ……それでも、仕えたい人が出来た。

 その人のためなら力を使おう。


「私はあんたを敵にしたくないもの、ねえ? 颯」

「……それは同意見だな」


 今日のこれも挨拶代わりだろう。

 栄都阿音……。こんな茶番で、本気をだすわけもないか。


 俺はもう一度、八龍ゼクスの逃げていった方向を見つめる。

 ……彼等の邪魔をする必要は、ないだろう。



次回更新は今日です。

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