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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第3章 11家緊急会議
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第059話 「決闘の条件と【顕煌遺物】」

「僕は、八龍ゼクスに1対1の決闘を申し込む」


 その時、俺はなんか不毛な会話をしているなぁとぽけーっと呆けていた。

 正直驚いたんだ。泣く子も黙ると言われている刀眞とうま獅子王ししお……元父親に、冷躯れいくさんが一切の物怖じせずに挑発したんだから。

 同時に、今の父さんを俺はとんでもなく頼りがいがありそうに思え、安心した気分になった。


 さっすが日本史上最強の【顕現者オーソライザー】だぜ!


 安心した気分になって、その矢先のことだ。

 この蒼穹城そらしろって奴、やっぱり破滅願望でもあるんじゃないか。


 俺は、俺にフフンと不敵な笑みを向けている蒼穹城進を見つめた。

 義眼をすでにはめ込んでいる。くっそ燃費の悪い義眼型【顕装】をはめ込んでいる。


 この場合起動するとどうなるんだったっけ。顕装が視力の手伝いをしてくれるんだったっけ?

 少なくとも、裸眼よりはよくならん。


 何か勝算があるのか、と数秒「本気」で考えた後、俺は結論を口にした。


「は? 何言ってるんだお前」

「前回は不覚をとって負けたけれど、真正面からなら負けない!」


 ……本気でコイツが馬鹿なんじゃないかな、って思ったよ、僕ぅ。

 この前、善機寺ぜんきじを倒した時全く反応できてなかったじゃないか。


 善機寺もやっぱり、こんな奴と今まで付き合ってきてたのか。

 前日、「大切な話がある」と言ったのは寝返りの件かな。善機寺は歓迎しよう。

 賢明な判断すぎる。


 恐怖を味わってからしか反省できない馬鹿者と。

 恐怖を味わってからも、目を失っても突っ込んでくる大馬鹿者と一緒にいる必要はない。


「勿論、勝利した場合の条件はあるんだよな?」


 ドスの聞いた声が自分の口から出て、自分でも少々ビビる。

 彼を見ても殺そうと思わないのは、【神牙シンガ結晶Ⅱ】の効力だろう。


 随分と強めに効いている。前回はこんなことがなかったからなぁ。


「僕が勝ったときには一つ命令をしようかな。誰にも迷惑をかけないで死んでくれると有り難いなぁ」


 その言葉に、神牙派の人々がざわつくのを感じた。

 鳳鴻おおとりでさえ何か心配そうだ。


 ……そんなに自信満々にいうのなら、何か勝算があるんだろうな。


「代わりに君が勝てば、何でも好きなだけ願いを叶えてあげるよ。ま、例外として一つだけ無理なものはあるけれど」

「んお?」


 【なんでも】【すきなだけ】?

 というか、決闘って助命なしだろ? 俺は殺す気でいくよ、【結晶】は外して本気で行くし。

 何言ってるんだろうなコイツ。自分がこの後生きていると思ってるのか、甘いなぁ。


「【顕現】関係の武器は使用制限なし、助命ありでどう?」

「ビビってんじゃねえよ、助命無しでこいよ!」


 我慢ならなくなったのか、叫んだのはアマツであった。

 蒼穹城進はそちらに目もくれず、こちらを見つめている。


「君当事者じゃないじゃん」

「別に代理人として戦っても構わんが?」


 アマツの目は本気だが、邪魔はしないでほしい。

 俺は彼を手で制止した。


「最初に僕の使う武器を公開させていただくね。……蒼穹城家に初代から代々引き継がれてきた、【顕煌遺物ゼガシー】だよ」


 ……んああ。なるほど、だから勝算があったわけか。

 やばいなー勝てないなー。


 多分、何でもといった割に一つだけだめなのは。

 これを寄越せってやつなんだろうな。


 【顕煌遺物ゼガシー】は、端的に言えば【顕装】のオリジナル版だ。

 でも、その性能は段違いで【顕装】の開発者が必死こいて再現しようとしている根っこの部分は全く解明されていない。


 曰く、それは自我を持っていて。

 【顕煌遺物】が認めたものに話しかけ、触れた時から真価を発揮すると言われている。


 まあ、【伝説の武器】だな。神話でよくある神剣や魔剣、その他の武器は全てこれだ。


 確かに、真価を発揮できずともその武器は強いけれどもさ。

 それ、使いこなせんの?


 あと、命令で手に入れることはできなくとも抜け道はあるんだが。


「名前を【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】と言ってねー」


 それは確かに凄いのは分かった。蒼穹城家に代々伝わっているのなら初代が凄いんだろう。


 お前は全く凄くない。ぺらぺら喋んな。


 【顕現者オーソライザー】として俺達と同じ存在が認められたのが100年前であって、認められなかったのは前々から存在するからな。

 恐らく、これはとんでもない力を持った初代蒼穹城家当主が【顕煌遺物】に認められて手に入れたものだろう。


 お前、ただ無理言って親から貸してもらっただけじゃん。


「どうする? これをみてまだ助命無しで行く?」

「勿論」


 俺が即答すれば、彼は顔をやっとしかめてくれた。

 気分が悪いな、と呟いてこちらを睨む。


「死ぬのが怖いのか?」

「……いや、怖くないけれど……」


 いかにも怖そうな顔で強がるんじゃない。

 戦う前から負けてるぞ、何やってんだコイツ。


 俺決闘したくなくなってきた。

 なんなんだコイツ、本当に。


 自分から決闘ふっかけといて、温情は残してねだぁ!?


 でも決闘をふっかけた矢先、自分ではもう取り消せないのは相手もわかってるんだろう。

 最初は俺が断る思惑だったんだろうな。強い【顕煌遺物ゼガシー】を見せびらかすことでこちらを萎縮させようと。


 それでもこちらに良い反応がないのを確認して、安全策をとったというわけか。


 却下だ却下ぁ!


「飛んだビビリとは失望だよ。命を賭して戦えないだなんて、蒼穹城の次代は大変だな」

「……何?」


 俺は蒼穹城進ではなく、親であり当主である蒼穹城こうを見つめながら話をする。

 反応したのは進だけれど。


「蒼穹城家ってそんなに意気地なしの塊だったのか。ほへー」

「僕のことは何言ってもいいが、蒼穹城家を侮辱したら許さないよ」

「じゃあ助命無しで受けろよ、決闘。所有権の話は知ってるよな?」


 こちらの言葉に、相手は言葉に詰まった。

 どうせ決闘でも命乞いをするんだから良いだろ。


「さあ決めろよ、助命なしで構いませんってな」

「……もう、それでいいよ」


 所有権の話ってのは、決闘時に例えば相手の武器を……【顕煌遺物ゼガシー】を奪った場合、決闘後にそれをこちらのものとして扱えるというもの。

 まあ、相手が敗北しないと駄目なんだけれど。

 しかもこの場合は殺してはいけない。当事者に命令をするから。


 正直に言えば。

 蒼穹城が何代続いたのかわからないが、初代以外に誰も【顕煌遺物】に認められていないのならば。








 初代を除いた全ての蒼穹城一族よりも、目の前の【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】のほうが価値は高い。

 蒼穹城進の命よりも、この【顕煌遺物】の方が値段が高いのだ。


 本気で。

次の更新は今日。今日はもしかしたら4回更新できるかもですね、このままだと。


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