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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第3章 11家緊急会議
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第058話 「11席の円卓」

 八龍ゼクスが冷躯れいく一緒に会場へつくと、そこには円形に配置された椅子が11つ。

 当主たちが座る椅子だ。子達には椅子が用意されておらず、それは「当主の会議の場」であることを示している。


 しかし、亜舞照あまて鳳鴻おおとりは当主の席に座って、蒼穹城そらしろ刀眞とうまの非難するような目線を向けていた。

 誰も話をせず、11家の最後の一人である神御裂かんみざき創空郎そうくうろうが着席するまで、神牙派の人々と蒼穹城派の人々はにらみ合いを聞かせている。


 その中で、八龍家と善機寺家はそうでもなく、冷躯はリラックスした様子でその「祭り」を面白そうに見つめ。

 善機寺家当主のオロシは、目の前の光景にいつものことかと呆れ返っていた。


 蒼穹城進の父親である蒼穹城こうと、俺の元父親である刀眞とうま獅子王ししおう。二人の姿を認識してゼクスは妙な気持ちになる。


 ただただ、不快感が積もって何がなんやらわからない状態になった彼はとりあえず目をそらした。





「亜舞照鳳鴻、何故お前がそこに座っている?」

「なんでって、その権利があるからだよ」


 どことなく、とんでもなくピリピリした状態で会議が始まろうという時。

 刀眞獅子王は、我慢が出来なくなったのかふんぞり返って「当主」の席に座っている鳳鴻を睨みつけた。


 並大抵の戦士では、その名の通り獅子の眼光を持った彼に見つめられるだけで失神してしまうだろう、その鋭い目にも鳳鴻はひるまない。


 寧ろ含みを持って、言い返すだけの余裕は持ち合わせていた。

 恐れ知らず、といった様子の鳳鴻に刀眞獅子王は険しい顔を更に険しくさせる。


「若造が何を」


 激昂して怒鳴ろう、とした刀眞獅子王に待ったをかけたは蒼穹城であった。


「まあ、落ち着け刀眞」

「……ん、ああ……」


 落ち着きを取り戻そうと、深呼吸を繰り返す刀眞獅子王を蒼穹城劫は冷めた目で見つめていた。

 頭に血が上りやすい性格である刀眞の、唯一のストッパーとも言える存在が蒼穹城である。善機寺はその役目を持っていない。


「僕は正真正銘の亜舞照家当主だけれどもね」


 ふざけた茶番劇はもう終わったかい、と更に冷めた目で見つめるのは鳳鴻であった。4月に代が変わった最年少の当主は、敵勢力である彼等を見つめて静かに観察しているようにも見える。


 が、そんな事をしているうちに手を2回叩く音が聞こえた。


「……さて、一人ひとり挨拶は……必要ないかね?」


 【八顕】の中立、神御裂創空郎である。

 皺の深く刻まれた顔には大きな苦労が見え、額に彼は手をやった。

 そんな創空郎を気遣うようにして、彼を支えているのは孫である神御裂魅宇みう


「もう本題に入りたいのだが」


 創空郎の言葉に、鳳鴻は彼に向かって一礼し2家は引き下がる。

 中立の立場である創空郎は軽く咳払いをすると、冷躯れいくに顔を向けた。


 今回の問題点はどこにあるか。問うているその目に冷躯は溜息をつく。


「……今回の会議が行われる直接的な理由は、何故『刀眞胤龍』が今、『八龍ゼクス』としてここに居るかだな」

「ちょ、それは違う!」


 その言葉に慌てたのは獅子王である。

 彼は確かに胤龍を捨てたが、それを公表していない。


 いくら【八顕】だとはいえども、直接的に血のつながった家族を非人道的に扱うのは問題になるからだ。

 だが、ソレを知っていた冷躯はわざとそれを、問題に掲げる。


 相手の発言を誘っているように、挑発気味な態度で。 


「何か問題でも?」

「その件と今回は関係がない! 八龍冷躯の管理不足によって八龍ゼクスが、蒼穹城進を失明させたのが問題なのだ!」

「あ、ということはそれで良いんですね」


 口を滑らせた刀眞獅子王に、冷躯は意地の悪い笑顔を見せた。

 隣ではゼクスがどういう意味かわからない、といったような顔で冷躯を見つめている。


 獅子王は、目の前に居る男子が胤龍だと知っている。

 けれど、それを認めるわけには行かない。


 冷躯はそこにつけこんでいった。


「少し心配しましたよ、もしかしたら『息子をかえせ!』なんて言われるのかなぁって考えてて。あ、でも今完全に『八龍』ゼクスと言ってくれましたよね、なら俺としては安心だなぁ」

「貴様……!」

「そんな怖い顔しても、全く怖くないんだが」


 恫喝するように声をあげた刀眞獅子王に、真っ向から切り捨てた冷躯は満足したと言わんばかりに隣りにいる「息子」の頭を撫でる。

 「息子」であるゼクスは、一瞬だけ獅子王を末恐ろしい顔で睨みつけたが、すぐに元の無表情に戻った。


 その表情に気づいて、刀眞遼が震えだしたのはまた別の話ではあるが。

 冷躯は、蒼穹城劫に話を振った。


「で、どうするんだ蒼穹城。これは八龍家と蒼穹城との問題だと思うが?」

「それがだな……」


 本当なら、ここで【親】として劫は八龍家へ制裁を言い渡すべきなのだろう。

 落とし前をつけるべきなんだろう。


 しかし、そこにあるのはもっと酷いものであった。

 八龍家に酷いわけではなく、自分で自分を貶めるようなものだ。


 劫は無表情であった。

 代わりに隣りにいる「進」の背中を押す。

 それが敗北に繋がるということを知っていながら、劫は止めなかった。


 蒼穹城進が前へ進み出る。

 指をまっすぐゼクスへ突き付け、愚者は強者にそう言った。


「僕は、八龍ゼクスに1対1の決闘を申し込む」

「は? 何言ってるんだお前」

次の更新はお昼です。多分。

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