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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第2章 授業選択期間
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第041話 「使用可能な属性数」

遅れてしまい申し訳ありません

「お昼からどうすんの? 授業見てみる?」


 冷撫れいなが、口にハンバーガーをはむはむと含んでいるのを眺めながら、アマツが聞いてきた。


 この学園は単位制らしい。7年間で必要な単位をとってしまえば卒業できる。だから1年生の時点から努力をしなくてもいい? らしい。

 まあ、最初の方に頑張って後で楽するという方法もとれるけれど。


「一応、学年で強制参加の授業もありますけれどもね……」


 【顕現オーソライズ】による戦闘訓練系の授業は1年生のうちで全員が学ばなければならないらしい。

 アガミとかどうするんだ、彼の中に持っている【顕現オーソライズ】は攻撃を拒否するのに。


 俺が疑問に思っていると、アガミは「そのためのチーム制度だ」と答えた。

 確かに、配られた書類の中にそういうのがあった気がする。

 後で冷撫に解説を頼むことにしようかと考えたが、冷撫ですら首を傾げている始末。


「これは私から説明しましょう。また集まった時にでも」


 事情をしっているらしい古都音ことね先輩が助け舟を出してくれたおかげで、この件については心配がなさそうだけれど。


 それにしても古都音先輩は美しい。

 その姫カットの髪の毛も、顔も、立ち振舞も全てが美しい。


 ……【結晶】が無いからか、今自分の頭に花が咲いた気がする。

 脳内お花畑になりかけた。


 行けない。もっと自覚を持って普段を生きなければ。


「戦闘訓練っていっても、どうせ遊びみたいなものだろうよ殆どの生徒たちは。試験の時だってそうだった」


 アガミの話を聞いて、俺ははっと……できなかった。

 俺は他の人の試合を観戦していない。寝ていたからな。


 その代わりに冷撫がうんうんと強く頷いていた。


「もう、ゼクスくんは眠りすぎなのです。そのせいで色々と大切なことを見落とし、私達が補足するというパターンばかり」

「でも甘やかしてくれるからな、冷撫は」


 俺の言葉に、冷撫は「仕方ないですね」と微笑みながら頷くあたり結局は甘やかせてくれるらしい。

 甘えすぎるのは良くないとは思うけれどな……。


 なんか、冷撫を見たら甘えたくなるんだ。


「……に、……っても……のに」

「古都音先輩?」

「いえ、何もないです」


 古都音先輩が何かを呟いたが、聞こえず訊き返すと慌てて茶を濁された。

 聞き取れないのが俺だけだったら他の人に訊けばよかったんだが、他の人も……一番先輩に近い位置に居るアガミ含めて誰も聞き取れなかったらしい。


 ……まあいいや。


「そうそう、公式な【数煌すうこう】に新しい名前が載ったみたいですよ、15歳で【ニ煌】ですって」


 古都音先輩が、新しい話題を口にして全員の注意がそちらに向く。

 【数煌】は、属性の扱いが一定基準を越えた人に与えられる称号で、大きなステータスになり得るものだ。


 ネーミングは属性が一定基準を超えたら煌めくのと、「崇高」から取られているんだなと予想できる。


「15歳で2つは凄いな、あって普通は1つだろうに。どんな努力をしたら出来るのやら」


 俺が素直に感想を述べていると、冷撫とアマツに「お前が言うな」と睨まれた。

 いや、俺は嫌味で言ったわけじゃないんだが。


 素直に感想を言っただけでこの始末。


「凄いですよねー」


 事実を知らない古都音先輩がそう声を上げ、慌ててアマツと冷撫が相槌を打つ。

 勿論基準値以上に達するには才能もいるけれど、努力でなんとかなるから目指す人は少なくない。

 1属性をひたすら極めようとすれば、7年で【一煌】にはなれる。


 それだけ有れば、顕現関係のそこそこ良い企業に就職できるだろう。


「属性を複数扱えるのと、複数極めるのは別ですからね」

「アマツだって【一煌】だろう」

「まあ、そうだけどさ」


 アガミに指摘され、アマツがふてくされたようにジトッと俺を見つめた。

 それに古都音先輩は気づかない。


 いや、気づかなくて良いんだけれど。


「それならゼク、ぶふっ」


 何かを言いかけたアマツの口は、冷撫の両手によって遮られる。

 よくやった冷撫。グッジョブ。


 それは公開してはならないものだ。


「ゼクス君は、何属性扱えるのです?」

「一応6扱える」


 極めた、ではなく扱えるのなら。

 俺は名前通りに6属性扱える。

 

 最初から4属性は扱えていた。これだけでも何人分の一かわからないほど幸運だし、才能に恵まれていたけれど。

 5年間の鍛錬によって、更に2つ開花した。


「……なにか変なこといった?」


 アガミの口はあんぐりと開いていたし、古都音先輩は手にしたハンバーガーを取り落とした。

 冷撫とアマツの2人はやれやれと言った様子で肩を竦めている。


 極めるのは難しいと言われていたけれど、扱えるのはなんだかんだ普通だと考えていたからなー。

 どうも、みんなの反応を見ている限り、俺は変なことを口にしてしまったらしい。


「それ、他言しないほうが良いですよ」


 古都音先輩が声を潜める。


 なんだなんだ? 普通のことじゃなかったのか?

 両親はどちらとも6属性使えるぞ?






「……前例合わせても20人おらず、日本に恐らく3人しかいないことを自覚してください」

次回更新は今日です。

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