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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第3部 第1章 迎撃と襲撃
373/374

第373話 「狂笑」

「お久し振りですね、進様。随分と、変わってしまったようで」


 その場に現れたのは、生前の東雲契――にとてもよく似た身体をした、生き物だった。しかし、明らかに人間とも、また【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】のような【顕煌遺物】とも違う異質な顕現力を周囲にまき散らしたそれは、にっこりと笑っている。


 そして、刀眞とうま獅子王ししおうだ。

 こちらもまた、【雷】の顕現力を迸らせていた。


 指名手配犯の登場に、周りの大人が立ち向かおうとしているが、刀眞獅子王はにやけながら、静かに言葉を放つ。


「動くな。それとも、我らに勝てるとでも?」


 ――やってみないと、分からないだろ。

 そんな無謀なことを口走る人はいない。


 不自然に静かな状況の中、獅子王は【八顕】の次代候補達を舐めるような目つきで一人一人を確認してから、進に目を留めた。


「減らず口をたたくな、蒼穹城進。

 ――まったく、前のままの盲目でいていれば、もう少し幸せだったかもな」

「それはどうでしょうね。……こんな酷い状況になってまで、愚かしい行動を取ろうとは思わない」


 右手に……。義手で【氷神切兼光ヒョウジンキリカネミツ】を持って、進はゆ獅子王たちに向き直った。


「――裏で取り引きしていたのは、やはり貴方でしたか」

「そういうことだ。【八顕】としてのネームバリューはなくなっても、刀眞に着いてきてくれる人は多い。さて……」


 次に、獅子王が目を留めたのは遼。


「戻ってこい、遼。燐華りんげは神牙家に戻ってしまったが、お前は戻らせん」


 その言葉に、遼が身を固くする一方で。

 思わぬ流れ弾を喰らったアマツが、目を見開く。


 刀眞燐華――。

 目の前の男、刀眞獅子王の妻であった女性が、神牙家の人……?

 しかし、獅子王は手を振り、話を戻す。


「神牙の次代。その話はどうでもいいんだ。

 遼、こちらに来ないのか」

「そのつもりは……ありません」


 遼の返答に、契と獅子王が目を細めた。


「何故だ? こちらにいた方が、充分メリットはあると思われるが。

 力が、必要だろ?」

「――それは」

「俺のお下がりの【雷霆斬ライテイギリ】と、【ギリタストルドー】の刀眞とうまりょう……それで、何になる?」


 言葉に、少年は。

 【顕煌遺物】、【雷霆斬ライテイギリ】の柄を強く握りしめながらも、言葉を発しなかった。


 ――本人が否定しようとも、俺は、胤の兄だから。


 結局前回の、【Revenant(レヴェナント)】襲撃事件でも面と向かって言えなかった言葉を、もう一度心にしまい込んで、なんでも無いように装う。


「もう、刀眞の次代は存在しませんよ、お父様」

「……なに?」

「蒼穹城家との交渉の結果、水地みずちの名前を頂きました。

 僕の今の名前は、刀眞ではなく水地遼です」





 ――怒りか、それを越す憤怒か。

 それとも更に強い感情か。


 刀眞獅子王の身体から一筋の、銀色の雷が噴き出し、ロビーのすべてのガラスを割り尽くす。


「貴様も、結局は出来損ないの胤龍と同じ。と言うことか」

「【ギリタストルドー】の精神汚染なんて比ではないほど、もっと多くの汚染を受けている。やっと、気づけたんですよ」


 突然、獅子王が笑い出した。

 アマツ達はおろか、傍に居た大人達も、加えて隣にいたはずの契も、その笑い声に驚く。


「そうか。

 なら……亜舞照あまて、胤龍を呼んできて貰おうか。

 そしてゲームをしよう」

「この場に及んで……」


 獅子王は、まだ嗤ったままだ。





「参加しないというのなら、今から胤龍が到着するまで。

 20秒ごとに、ここにいる人間を1人殺す」

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