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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第3部 第1章 迎撃と襲撃
371/374

第371話 「世界的作戦」

「そろそろ、はやて君が行動を起こしてくれる頃だろう」


 日本海。

 御雷氷みかおり冷躯れいくは、ステルス仕様に改造したクルーズ船の上で、顕現力を潜めながら、上空に浮かぶ点――。


 空に浮かぶ、現在は【Revenant(レヴェナント)】の日本拠点として使われているらしい空中基地を、見上げていた。


「準備等々で、結局1週間も時が経ってしまった」


 ぼやきながら、険しい面持ちで振り返ると。

 そこにいるのは、9人ほどの男女。


「それにしても、よく集まってくれたな。みんな」


 冷躯の言葉に、緊張した面持ちながらも朗らかに笑う彼ら。

 その全員が彼の、顕察時代の元同僚である。


 顕察の中で、通称「御氷隊」と呼ばれていた彼らは、元隊長である冷躯を真っ直ぐに見つめていた。


「突然、隊長が【八顕】に参入することになってから数年。

 僕達は、何も動くことが出来ませんでした」


 言葉を発したのは、その9人の中でも一番冷躯に近い位置に立っていた男である。

 髪の毛は冷躯と同じような銀髪で、少々の黒いメッシュ。


 周りに限りなく「爽やか」な、メンソール的印象を与えている男だ。

 名前を、涼枢野すずのしろがねという。


「だからこそ、今回の呼びかけは手持ち無沙汰気味であった我々を、呼び覚ますのに充分過ぎるものでした。

 ――強いて言えば、御雷氷側で私設部隊を作って下されば、すぐにでも転職するのですが」

「わかった。考えておく」


 世間話をしつつ、冷躯は時を待っていた。


 今回の作戦は簡単。

 目的は善機寺ぜんきじはやての救出と同時に、【Revenant(レヴェナント)】を壊滅させることである。


 世界にいくつあるかもわからない【Revenant(レヴェナント)】の活動拠点。

 それを人脈と権力を総動員して探した結果、日本支部とロスケイディア支部を含む、十数箇所を発見することが出来た。


「1つずつ潰していたら、キリがない」


 そう考えた各者の協議の結果、導き出されたのが。




 ――ほぼ同じタイミングで一斉に叩く、という方法だ。


「この辺りでシメておかないと、世界の未来を担う次代達が。安心して学園生活を遅れませんものね」

「【ATraIoEs(アトラロイス)】の襲撃――フレズ・エーテルの暴走事件と、今回の八顕学園襲撃事件。それ以外にも多々あるが、強硬手段を使うには充分過ぎる理由だ」


 涼枢野銀の言葉に、冷躯は御氷隊の1人1人を見やる。

 全員、覚悟の決まりきった眼をしていた。


「――颯君の颶風ぐふうだ」


 上空で、顕現力が爆発する。

 冷躯は隊員たちに、もう一度だけ目配せをして。


 一気に上空へ、飛び出した。




――――




「今頃、きっと冷躯様達が戦っているころですね」


 古都音の言葉を聞いて、俺――御雷氷ゼクスはやきもきしながら学生寮で待機をしていた。

 結局、この1週間。父さんには一緒についていきたいと何度も主張したが、それが聞き入られることはなかった。


 ネクサスは俺達を見送って直ぐ、ロスケイディア二皇国からこちらにやってきて。

 そして直ぐに、また国へ戻ってしまっている。


 きっと今頃は、ネクストさんたち、ロスケイディアの精鋭と、ロスケイディアを拠点としている【Revenant(レヴェナント)】の処理にむかっている頃だろう。

 ――それにしても……、やることがない。


 俺の役目が一旦終わった、というのも1つだ。

 こちらの役目は颯を探すことで、その次は日本に他の活動拠点がないか探すことだった。


 颯は一晩で探し、他の活動拠点も数日とかからずに探しきることが出来ている。

 今頃、【八顕】の本家・分家の連合部隊が、処理に向かっていることだろう。


 故に、俺にはやることがない。


「状況が分からないっていうのは、色々と、きついな」

鳳鴻おおとりくんの話があるまで、動くなと言われていますしね……」


 オニマルも今は、完全に沈黙している。

 つまり、やることが……。と。


 本日何回目かも忘れてしまった、焦りから来るぼやきを口に出そうという所に。




 電話が、かかってきた。

 

ノベルアッププラス様にて、リメイク・加筆修正版の「四煌の顕現者―ゼクス・ファーヴニルの闘争譚―」を誠意更新中です。

ストーリーの大元も変わりつつあるので、良ければそちらもどうぞ。

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