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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第3部 第1章 迎撃と襲撃
370/374

第370話 「顕現社会の常識」

気がついたら半年経ってました。失礼致しました。

「もう、沢山だ」


 何日、たっただろうか。

 善機寺ぜんきじはやては男を真っ直ぐ、その目で射貫きながら言葉を発した。


 何日、何週間、何ヶ月。

 どのくらいの時間が経ったかも分からない。

 唯々白い空間。玉座の見える場所で、マルクトの言葉を聞いていればいるほど、戻れないような気がして。


 それでも、颯の心は1つであった。


「……どういうこと?」

「もう良いと言っている。俺の心は変わらない。

 洗脳も効かなければ、説得にも応じない。この場にゼクスがいない限り、俺の心もここにない」


 提唱される、「一緒に、この世界へ反旗を翻そう」。

 その言葉を真っ正面から一蹴した、その言葉に。


 白く、人離れした美しい容姿を持つ少年……マルクトは、颯の言葉に。

 初めて、顔を歪ませた。


「……君は、何も分かってないね。君は【ショウ】と【ヨウ】、2つの特異な顕現力を持っている限り、普通の【顕現者オーソライザー】ですらないんだ。

 僕と同じ、ただの化け物だ。【八顕】の盾がなければ、今頃実験動物にされていただろうね」


 ダムが決壊するように溢れるマルクトの言葉に、しかし颯は首を振る。


「もしも、の話はもう聞き飽きた」

「…………」

「未来は、今を前提にして構築される物だ! 

 机上の空論なんぞ、なんの役にも立たない!」


 善機寺家にとって、【八顕】の権威などというのは無いに等しい。

 元々【顕現オーソライズ】ではなく【顕現属法ソーサリー】を得意としていた時点で、一般に優秀とされる【顕現者オーソライザー】からは外れている。


 そもそも、【八顕】というのは。

 権威によって成り立っているものではない。


「未来が見えないというのなら……。

 1人で勝手に絶望していろ」


 颯の我慢の限界。

 いくら【精神介入】していたとしても、その限界に気づけなかったマルクトは。

 その、突然の豹変に、身体をわなわなと震わせる。


「なんで、わかって、くれないの。どうして、【友達】になってくれないの。

 充分過ぎる素質は、持っているのに」


 その【言葉】にも、颯は反応しない。

 素質なぞ、【顕現者オーソライザー】であれば誰だって持っているだろう。

 誰だって現在の【顕現者オーソライザー】社会に対しての不満は、少なからずあるだろう。


 しかし、現状を今すぐ変えるために、旗を翻す必要は、颯には無い。

 颯は【八顕】が一角、善機寺家の次代最有力候補である。

 未来は自身が創ればいい。その為の力は、手の中にある。


 ……心の中にある。

 

「その反証が、第一に御雷氷ゼクスだから。そして第2に、俺自身だからだ」





 黄緑色の、白い玉座を吹き飛ばさんとする強風……。

 ――颶風ぐふう


 ここ数日、そもそも起動する気すら起きなかった顕現力が。

 善機寺ぜんきじはやての内なる怒りに、反応する。


「貴様の一番嫌いな、【顕現者オーソライザー】社会の常識を教えてやる」

「……なに?」



「強い者が発言権を持つ、だ」

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