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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第3部 第1章 迎撃と襲撃
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第369話 「力の使いよう」 

「鳳鴻くん。つまり、何が言いたいんだい?」

「善機寺颯の救出を優先して下さいませんか?」


 会議室の外。人気のない廊下で、冷躯と鳳鴻おおとりが話をしていた。

 会議室の中では既に、救出隊のメンバーも決まっている。後はゼクスがやってくれた特定から、現状どこに有るのか詳細を調べている途中だ。


「それは、万が一本当に強奪されていた場合、人質になっている人々を見捨てるようなものだぞ」

「無論、そうはさせませんが……。多分、あそこにいるのは、僕と同じような顕現特性を持った人物だと思います」


 鳳鴻の考えとしては、全員洗脳されている可能性が高いということであった。

 ついでに言えば、自分達が知っている以上の顕現特性を相手側が有していたとして、例えば一緒に救出してきたあとに自爆されると厄介だ――というのもあるのだろう。


 冷躯も冷躯で、ずっと【不可侵】を発動させるのは不可能だ。

 これでも人と比べれば充分過ぎるほどの顕現容量はあるが、無尽蔵とはほど遠い。


 ゼクスが一晩中かけて日本全域に顕現力を行き渡らせるという、無茶を敢行できたのは、彼の才能と終夜よすがら古都音の協力あってのことである。


「なるほど」

「今回襲撃しに来た構成員達もそうでした。全員何故か【Revenant(レヴェナント)】に参入した以前の記憶が無い」

「君の言うことは分かるよ。……でも安心して、あの要塞は墜とさない」


 鳳鴻はその顕現特性の異常さから、出来るだけ能力を使わないように努めてきた。

 人の精神に干渉するのは禁忌だと考えていたからだ。


 ――冷躯は、そんな鳳鴻の悩みを理解できる。

 彼は、亜舞照家の現当主なのだ。


「強すぎる力を持つと大変よな。……まあ、ちょっとゼクスと話をしてくるよ」

「お願いします。ゼクス君には、僕が屋上にいるって伝えて下さい」




――――





「起きてたのか、丁度はいいんだけどさ」


 自室で粛々と待機していたゼクス、古都音、フレズの3人の前に現れたのは、冷躯であった。

 冷躯の顔は疲れ切っている。

 何かが会議室で発生したんだろう、とゼクスは考え。

 しかし何も言わずに話を促した。


「その言いようだと、俺の出番はないみたいだね」

「――そうだな。颪もそうだが、ゼクスも候補から外された。俺は行く」


 父さんが行くなら安心だね。

 ゼクスは頷き、椅子に座り直す。


 ――正直、自分が行きたくないわけがない。

 颯は果敢に戦ったはずだ。しかし、それでも。

 実戦で何かあったのだろう、と考えるのは当然のことである。


 すくなくとも、ゼクスが蒼穹城進と共に加勢に行こうとした瞬間までは、派手な敗北を予期させることはなかったのである。

 考えられるとすれば、一瞬のスキを突かれたか。


「【Revenant(レヴェナント)】の連中が言っていた標的――という言葉が気になるが、相手の最大戦力が分からない以上、こちらもある程度本気で行こうという話になった」


 そのための【至高の顕現者】だろう。

 ゼクスは納得していた。それは、その直ぐ傍に座っていた古都音やフレズもだ。


 しかし、冷躯1人で行くわけではないだろう・

 古都音が質問をする。


「――他には、誰が行くのです?」

「俺の元同僚だね。今は顕察の特殊部隊に配属されている」


 と、ここで。冷躯は先程から厳しい顔をしているゼクスに気がついた。


「何か、心配なことでも?」

「いや、大丈夫。気をつけて」


 ゼクスは、単純に冷躯が心配だった。

 自分を救ってくれた養親であり、ゼクスが「本当の父」と慕っている人でもある。

 日本一強い【顕現者オーソライザー】、という異名も信じていないわけではない。


 しかし、思うところはあった。

 【Revenant(レヴェナント)】は、基本的に搦め手を使ってくるのではないか? と。


 捕縛が目的なのだから、それはそうなのかも知れないが。


「心配しなくていいよ、ゼクス」


 冷躯は出発の時はまた後で知らせると言って、部屋を出て行ってしまう。

 古都音とフレズは顔を見合わせる。

 彼が必死になって取り繕っていた、余裕の無さを感じてしまったのだ。


「なんだか、凄い形相だったね」

「今回の戦いは、それほどに厳しいと予測されるのでしょうか」


 フレズは一応戦えるが、古都音は戦闘面に関しては全くの無力である。


 そして、彼女の一番の問題は。

 ――ゼクスの弱点になり得るということだろう。


「【Revenant(レヴェナント)】との戦いが激化すれば、八顕学園も閉鎖、なんてことがあるのでしょうか」

「そうならないために、早く問題を終わらせないとね」


 立ちあがったのは、ゼクス。

 その瞳には、静かに炎が宿っている。


「どこへ行くのです?」

「鳳鴻の所。――八顕学園の周りくらいは、自分達で守らないとね」

 

 ちょっとだけ古都音を頼める? という言葉に、フレズは頷く。

 手に【顕煌遺物】である【氷晶槍クリュスタッロス】を発現させ、「まかせて」と元気よく笑

った。

ノベルアップ+様にて「四煌の顕現者」のリメイク(設定修正・1から書き直し)を掲載しました。

最終的にはこちらに逆輸入する予定なので、今すぐ気になるという方はノベルアップ+様の方(https://novelup.plus/story/825826692)へ、

待てるという方はもう少しお待ちくださいませ。


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