表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第3部 第1章 迎撃と襲撃
355/374

第355話 「急行:上空にて」

「ああ――、最悪だなぁ」


 蒼穹城進は、始業式会場の上空から無数に降り注いでくる、コウモリのような集団を見上げてうめいた。


「本当に最悪だ」



 ――


 


 ロスケイディア二皇国-日本間の遥か上空にて。

 ゼクス達一行は、重々しい雰囲気で座席に座っていた。


 季節は春。今日は八顕学園の始業式が執り行われている時間だが、ゼクス達は参加せず、ゆっくりと【ATraIoEs(アトラロイス)】で出来た仲間や友人、ライバルとのお別れ会を楽しむ予定だったのである。


 しかし、今。誰もが押し黙って旅客機に乗っている。


「あんな別れ方で良かったのか」


 重苦しい空気を断ち切ろうとしたのか、空気に耐えきれなくなったのかは分からないが――最初に口を開いたのは颯であった。


「仕方ないさ。ある程度予想出来ていたとはいえ緊急事態であるし、ネクサスも分かってくれたからこそ、こう――迅速に対応をしてくれた」


 お別れ会を盛大に用意してくれたのは良かった。

 それが昼から始まったのもかなり良かったことで、この事態になっても難色を示す生徒が一人も居なかったのは、本当にありがたいことである。


「寧ろネクサス達に感謝をすべきだと思う。こんな、超音速旅客機を即座にチャーターしてくれたのは、【|NeoValXioneネオファルクシオン】の財力と行動力あってこそのものだ」


 ゼクス達に飛び込んできた『とびきり悪いニュース』は、【Revenant(レヴェナント)】の八顕学園襲撃だった。

 情報がはいって直ぐに、【ATraIoEs(アトラロイス)】の面々が起こした行動は、それは「迅速」と表現するしか出来ないような物だったのである。


「ともかく、この超音速便をチャーターしてくれたことに感謝しよう」


 旅客機と言うよりはほぼロケットだ。理屈は分からないが、ゼクスはたいしたジーも感じられずに今、話が出来ている。


「とりあえず、すぐつくぞ。ついたあとの話をしよう」


 後ろを振り返る。まず目線を合わせたのは、古都音・アガミ・雪璃・ミオの4人だ。


「4人はこのまま『終夜グループ』の本社に向かってくれ。すめらぎさんがまってる」


 皇とは、古都音の父親のことだ。『終夜グループ』の現会長でもある。

 ゼクスは、【Revenant(レヴェナント)】の標的である自分達と彼女達を、分断させたかったのだ。

 4人が頷いたのを確認し――古都音が少々顔をしかめたのを、確認する。


「私が、ゼクス君に戦って欲しくないと言っても、行ってしまうのでしょう?」

「古都音の気持ちが分からないでもないが……そういうことになるかな」


 ゼクスとしても、古都音と一緒に居たくないわけではない。【ATraIoEs(アトラロイス)】にいても、殆ど安息の時間という物はなかった。

 それは、フレズに対してずっと構っていたというわけではない。


 【Revenant(レヴェナント)】という存在が出てきてしまった以上、古都音もゼクスも、戦わなければならないことは分かっていたのだ。


「この気体が音速よりもおそくなったら、俺とフレズを乗せて八顕学園へ飛ばしてくれ」

「承知した」


 高度が、速度が遅くなっていく。

 頃合いを見計らい、颯が飛び出す準備を終わらせ、二人を振り返る。




 ――準備は、出来た。

 


新章開始。

今までの物語では見ることのなかったものが見られると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ