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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第2部 第4章 機関最強
325/374

第325話 「外への誘い」

「はぁぁぁぁ?」


 ゼクスは、地面に倒れ伏した4人を見つめて呆れ気味にため息をついていた。

 荒い息を整えようと必死に押さえている護衛の2人――ミュラクとミオは「無理です」と半泣きの状態になっており。

 また颯とネクサスは、泣きこそしないものの全身汗だらけ。それも本能的な恐怖による冷や汗が殆どを占めていた。


「1対4で、かつ俺は顕現特性を一つも使ってないんだぞ」


 ゼクスは圧倒的強者であった。4人を相手にしても、多少苦戦しただけである。

 少なくとも、最初のほうはゼクスも戦い方が分からず、防衛に徹していたのだが。


 ネクサスと颯が連携に失敗し、ボロを見せた瞬間にゼクスが一転攻勢。

 そのまま、2人の隙を顕現力の塊で吹き飛ばすと、動きについて行けない護衛2人を巻き込んで倒してしまったのだ。


「ミュラクとミオは、俺レベルの刺客がネクサスを襲ったらどうするつもりなんだ」


 ゼクスの言葉に、2人は言葉を失う。

 特に責任を感じているのはミオのほうである。どちらかと言えば、護衛の役割のほうが強い彼女にとって、それを言われてしまうと返す言葉が見つからないのだ。

 彼レベルの敵がやってきたら、私は焼きに立たないのだろうか。

 そんな不安が少女を襲う。


「まあ、ネクサスもせっかく【半顕煌遺物】を持っているのに、それじゃ駄目だな。颯も」


 宝ならぬ、力の持ち腐れ。颯は自分の【ショウ】と【ヨウ】がまさか、純粋な顕現力に打ち勝てないことに対して、自分自身に腹を立てていたし、ネクサスもそうだ。

 相手が強いわけではないのだ。少なくとも、あれだけのハンディキャップをもらい、さらに【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】の権能も何一つ使っていない。


 ほぼ片腕――しかも利き腕ではない左腕で戦っていたのにもかかわらず、自分達が負けたのはひとえに自分達の実力不足である。


 颯もネクサスも、十分過ぎるほどにソレを理解していた。


「はい、じゃあ訓練頑張りますか」

「うん……」


 ネクサスは、もしかしたらゼクスが怒ってしまっているのかとも思い、恐る恐る彼の表情を伺う。

 ――が、特にいつも通りのようだ。


 彼は安心して、訓練を再開する。



――――



「そういえば、今度【ATraIoEs(アトラロイス)】の外に出て遊ばない?」


 その日の昼休憩。ゼクス達はネクサスから、そんな誘いを受けた。


 基本的に、ゼクスが【ATraIoEs(アトラロイス)】の敷地よりも外に出ることはない。【ATraIoEs(アトラロイス)】自体が一つの町となっている現状、中で生活の衣食住は十分過ぎるほどにまかなえるからである。


 用事と呼べる用事は、来週に控えた食事会程度だろうか。古都音は特に気にしなくても良いと言っていたが、ゼクスは既に臨戦態勢である。

 相手がどう言う人間か知ったこっちゃないが、煽られたら全力で喧嘩を買うつもりでいた。


 次代としてあるまじき思想である。


「いいけど、何をするんだ? 俺は八顕学園にいたときでさえ、遊びを知らない」

「なら俺が連れて行くからねー。まあ、楽しみにしておくと良いよ!」


 ネクサスは、目の前のワンタン麺を口に書き込みながらそういった。

 ゼクスはというと、――ふと視線を感じて、ミオのほうに目を向ける。


「何か?」


 しかし、返ってきたのは無言であった。

 代わりに、少々熱の籠もった視線が注がれ、ゼクスは大抵のことを察する。


 ――いいのかよ、婚約者がいながら。


 そんなことを考えていたゼクスであるが、すぐに頭を振って意識を目の前の麻婆豆腐に戻す。ケバケバしいほど真っ赤なそれは、地獄の釜のようにぐつぐつと煮えたぎっていた。




「あっちぃ-」

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