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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第2部 第3章 【ATraIoEs】
295/374

第295話 「面談」

「おはよう。【ATraIoEs(アトラロイス)】で教師をしている、レグル・グンディールです」



 次の日、ゼクスたちは初めて【ATraIoEs(アトラロイス)】の校舎に足を踏み入れた。

 【ATraIoEs(アトラロイス)】は生徒数も半端な数ではないため、50を超える校舎が存在する。その中で、彼らが案内されたのはその真ん中にある【中枢棟】であった。


 【中枢棟】は学園の真ん中にある巨大な高層ビルである。

 高さ約70メートル。中には特別教室やら、職員室やら会議室やらが含まれている。


 その1室に、ゼクスたちはネクサスに連れられて集められたのだ。


 ライザ・グンディールと名乗った金髪の教師は、全員を見回してほんの一瞬だけゼクスと颯に目をとめた。が、それをゼクスたちが気づく前に目をそらし、にこりと笑顔を作って――。


「今回、半年だけですが編入という処置を執らせてもらうには、試験が必要です。というわけで、面談をさせて頂きます。内容は【自身の特異性】についてです。それぞれ、自分にしか持っていないことを申告してください。では、一人ずつ――」


 面談か、簡単だなとゼクスは考えてしまった。気がかりであるのは自分ではなく古都音に対してだ。

 戦闘試験だったら間違いなく特別な処置を取らない限り、古都音は落ちてしまうだろうから。


 逆に、雪璃の方が少々心配である。

 自分に特別な力が何もないと考えている節が強い彼女に、【浄化】の申告をさせるには骨が折れそうだ――。

 そう考えながら雪璃の方を向いたゼクスは、颯が彼女をすでに説得し終わっているのを見て、安心した。


「んー。アガミ・ハチスベ君から」


 教師グンディールは、「こんな事必要かなぁ」と疑問に満ちた顔でアガミを別室へ連れて行く。

 それに対してはゼクスも同意見である。日本の【八顕】の代表としてきていると言っても過言ではないメンバーで、「特別」でない人間が逆にいるのかという疑問だ。


「とりあえず、戻ってきた時のアガミの表情を見よう」


 後に丸投げの姿勢を見せたゼクスを、古都音は不満げな顔で見つめていた。




---



「正直申し訳ないけれど、君に聞くことは何もないよ」


 面談室。中にある椅子一つをアガミに渡しながらライザ・グンディールは話を始めた。

 ブリンク学園への交換留学生もであり、御雷氷家・終夜家の次代を護る護衛。


 攻撃系の【顕現オーソライズ】に才能は無いが、防御系の【顕現オーソライズ】は随一。

 その「壁」は日本最強とも称される、御雷氷冷躯の攻撃を数分耐える事すら可能である。


 最近は防御系の【顕現オーソライズ】である「壁」を使って攻撃に転用することも覚え、【顕現者オーソライザー】の鎮圧の経験すらある。

 年齢を考えると、彼は充分に異常なのだ。


 そもそも、全世界でも御雷氷冷躯の顕現力を防御できる人間は少ない。

 その辺の国のトップでも、10秒も持たないだろう。


「それを可能にしている君を、【ATraIoEs(アトラロイス)】は拒むはずがない。それよりも、【ATraIoEs(アトラロイス)】でまなびたいこととかってあるかな?」

「俺は古都音さんとゼクスを護ることが目的であり生きがいっすからねー。学ぶというよりは、彼らの周りに居ればとりあえずはいいかな」


 素晴らしく欲のない返答に、グンディールは目をぱちくりさせた。


「その意見だと、コトネ・ヨスガラとゼクス・ミカオリも一緒に学ぶ形になってしまうんだけど?」

「古都音さんは何も気にしないんじゃないかな」


 古都音はゼクスと一緒に居たがるし、はやても結局は「忠臣」を自称している限りゼクスとの連携を訓練したがり、それに雪璃もついてくる。

 その結果、留学生側は全員が固まるのだ。


 アガミは先生の負担を軽くする為に、とりあえず簡単に説明する。

 グンディールはため息を一つ。


「おーけー、分かった。とりあえず次――ミカオリ兄妹を呼んできてくれないかな」

「はーい」


 部屋をあとにしながら、アガミは思う。

 こんなに緩い面談だけで合格できるなら、他の人々が落ちるはずもないだろうと。



 

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