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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第2章 授業選択期間
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第025話 「蒼穹城進と対峙」

「んーと。同じ【三劔みつるぎ】だな、宜しく」


 【三劔】は、全員が「8」に関連するよう苗字の変更を強制されている。

 【八顕】なら、「刀眞家」は最初から「刀眞家」だった。


 こっちは強制というわけ。で、この家は「八統」から一捻り加えたんだろうな。

 そう蜂統アガミは言い、俺に握手を求めてきた。

 相手の手をしっかりと握る。


「アガミで宜しく。俺は()()()派だから、八龍ゼクス。きみがこちら側で居る限り、俺も何か有れば助太刀しよう」

「あっち側は行く気ないけれどもな」


 アズサさんは俺の事情を知っていたが、他の人はどうだろう?

 ……いや、これは分かっている目だな全員。


 わかってくれているのは本当にありがたい。

 だから、俺が彼女たちと敵対することはまずないことが証明されているという保証にもなっているのだろう。


「じゃあ、呼び止めてごめんね。……ただ貴方の味方は、アマツと鈴音すずねさんだけじゃないんだよって伝えたかっただけだから」


 そういって、アズサさんたちは頭を下げる。


「7年間宜しく」


 亜舞照あまてさんはその金髪を掻き上げながら、爽やかな面持ちで頷く。

 その頷きは何を意味するんだろう?


 そして7年間、か。それまでに片方が脱落することもあるかもしれないのに。

 まあ、相手はないだろうな。いかにもエリートという感じだ。


「ええ、よろしくお願いします」

「だから、同い年だってのに」


 おっといけないいけない。やっぱり口が滑るのな。

 俺はアズサさんの一団に頭を下げ、踵を返す。


 その途中で、涼風に乗せられたような声が聞こえた。


「また会いましょう?」と。




---




 その声が古都音ことね先輩から発せられたものであると気づいたのは、そこから結構経った後。


 目の前に復讐の対象が、輝きださんばかりの笑顔で駆け寄ってきた時だった。


「八龍君!」


 蒼穹城そらしろしんである。

 嫌悪感しか抱かないその顔を引っさげてやってきた彼は、俺を見つめて何度も頭を下げる。


「昨日はありがとう! ありがとう! おかげで軽傷で済んだし、今日こうやって普通に歩けるようになったよ!」


 ……正直な気持ちを言ってもいいだろうか、とてつもなく今は気持ちが悪い。

 理由は簡単だ。目の前にこの人が居るだけで頭痛がしてくるのだ。


 【神牙シンガ結晶】を使っているというのに。

 何故なんだろうな。


「ああ、うん」

「本当に感謝しているんだよ。今度お父様も使いを出すって言っていたし、粗品だけれど八龍家と良好な関係を結びたいからね!」


 テンションの高いところ本当に申し訳ない。

 申し訳ないが、俺はお前と良好な関係を結びたいだなんてこれっぽっちも思っていない。


 良好にしたところで良いように使い潰されるのがオチだろう。

 だってその目、笑っているけれど完全にニヤけていると変わらない部類なんだよな。


「これからもよろしくね? できれば、こっち側に来てくれるとありがたいんだけれど?」

「安心しろ、ないから」

「なんで?」


 怪訝な顔をされる。

 いや、するわけがないと何故わからないのだろうか。


 まあ、説明していないからな。

 未だ誰にも気づかれていないし、ゆっくり計画を進めることができているのはありがたい。


「でも、やっぱり入学式の時が初めてじゃない気がするんだよね」

「うん、だから初めてじゃないって」

「そういう意味じゃなくて、ずっと前に友人だったようなそんな感覚がするよ」


 昔は友人だっただろうさ。こんな殆どの人を見下している人でさえ、刀眞とうま家とはずっと仲がいい。

 ……共通するところがあるんだろうね。


「では俺は、これで」

「はぐらかさないで欲しいかな。何処かであったことあるよね?」

「後々わかるよ」


 善機寺のように、試合をした時に分かるさ。

 蒼穹城なら分かるよ。


「今知りたいんだけれど。あと、その目。何か僕がしたかな?」

「自覚がないほど悪行を重ねてきたのか」


 完全に相手を怒らせようとしているのだけれど。

 何故、この人はまだまだアレなんだ?


 テンションが高めだから、メンタルのレベルが上ってるんだろうか。

 あまり知りたくないな。そんなことよりも、アマツの場所に向かわないといけないのに。


「悪行なんてないよ。力がある人が全て、正義だからね」

「それには俺も賛成するよ」


 だからこそ、お前を敗北者にする。

 そうすれば。


 蒼穹城進は、悪になるんだよな?

次更新は明日、書け次第です。

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