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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第2部 第1章 新学期
241/374

第241話 「白い空間にて」

「……申請した人数は、こちらが総数5人。あちらが200人だ。蒼穹城進は参加していない」


 颯の部屋に集まった俺たちは、彼から情報を聞いていた。

 正直、特に気にする人数ではない。注意するのは刀眞遼と晦蓮屋だけだ、と俺は予想している。新7年生も参加するが、正直それらはネクサス達にまかせてもいいだろう。


「八顕学園のレベルってどんなものなのかな?」


 そう、俺達に質問してきたのはミュラクさんであった。

 俺はその言葉に対して言葉を詰まらせる。八顕学園のレベルというのは、正直言えばそこまで高くないようにも思えた。

 学園では飽くまでも現状,実技でも座学でも基本的なことしか学ばない。【顕現オーソライズ】の使い方。通常の生活を【顕現者オーソライザー】が送っていく中で必要なものは、習得することは出来るだろう。


 ただ、俺はそれ以上のことをしらない。

 更に上級生になれば何関わるのかもしれないが、それでもおれにはわからないことのほうが多い。

 そもそも、この学園に来たのは復讐のためであった。


「説明できないのかな?」

「いや、【ATraIoEs(アトラロイス)】がどういうものなのかわからない以上、どう説明するべきなのか」

「そうだね、【ATraIoEs(アトラロイス)】は学びたいことを、学びたいだけ学べる場所」


 【顕煌遺物ゼガシー】を扱いたければ、信念の強さを鍛える方法を教えてくれる。

 【顕装】で高みを目指したければ、自分に合う自分だけの【顕装】を作ってくれる。

 【顕現オーソライズ】を極めたければ、それをする手助けは惜しまず。

 入学は難しいが筆記試験のみであるため【顕現者オーソライザー】と認められていない人間であったとしても、それを【顕現者オーソライザー】なみの戦闘力まで高めさせるほどの教育を施してくれる。


「そういうところ」

「……こちらのほうが数段階下だと思う」

「そう。……なら、私達で問題はないね」


 ミュラクさんははぁ、と息をつくと俺のベッドに寝っ転がる。

 ……無遠慮な女性だ、と印象を抱くが。今日もここで寝ることはないから特に気にしないでおこう。


「ミュラク、おやめ」

「……はーい」


 こちらの表情の変化を読み取ったのか、ネクサスがミュラクさんに注意をし、それに従う。

 ネクサスはというと、こちらにウインクをして「では俺達はこれで。幸運を」と部屋を出て行った。


「……なんだか、キャラの濃い方々ですね」

「俺達が同じようなことを言っても仕方がないさ。それよりも明日だ」


 また半年、俺は鍛錬を重ねてきた。

 刀眞遼への復讐は終わっていなかったが、今回で終わらせるとしよう。


 そうしたら、俺は生まれ変わる。

 復讐ではなく、何か別の……。別の目的を持って、この学園に通う。



---



『なんだ、つまらないの』


 白い空間で、謎の少年は俺に話しかけた。

 この感覚も、約半年ぶりか、久しぶりであるのは確かであるが、はて。


『つまらないよ、君。もっと復讐心を滾らせてこの世界を【拒絶】してくれなきゃ、カウントダウンが全く進まないじゃないか』

「カウントダウンが最後まで行けば、どうなる?」

『君は【顕現者オーソライザー】を超えた存在になる。ただそれだけれだけれど?』


 含みのある笑みを見せて、どうも嘘くさいことを言った少年に俺は首を振った。


「俺の力は、俺自身で決めて使うよ」

『復讐心は何処にいったのかな、もしかして東雲契を殺した時になくした?』

「……その魂はお前の近くにあるんだろ」

『よく分かったねえ』


 いやみったらしい笑みを浮かべながら、少年は消える。

 ……どういうことなんだろうな。


 俺はこの、ただただ白い空間をじっと見つめた。

 この空間って結局何なんだ。古都音たちに聞いても、そんなことはないと返答されたことはある。


 鳳鴻も同じ復讐を心に秘めた人間だっただろうし、彼に聞いてみるか。……鳳鴻は婚約者である愛詩いとし聖樹みさきさんが1年遅れで入学してくることもあって、なんか上機嫌であった。


 明日、入学式の後に決闘が行われる。新入生もいっぱい居ることだろうし、観客は多くなること請け合い。

 殆どの生徒は、俺達が見世物になることを望んでいるのだろうが……。


 絶対にそうはならないだろうな。

 明日は勝ち、俺達のちからを証明する。


 こちらの陣営を固めよう。


次回更新は明日です

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