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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第7章 御雷氷・八龍・御氷
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第187話 「気に入らん者共は潰せ」

2016.05.08 1話め

「……今から深刻な表情をして悩まなくても、ネクサス君のことですからそんなに大事だとは考えていないと思いますよ?」

「違うんだ……ちょっと考えたけれどもさ、俺。槍は1から勉強しなきゃならないんだよ」


 俺は、古都音に愚痴をこぼすようにしながらつぶやいた。

 槍、か。先ほどネクサスが教えたとおりに試しては見たが、その感覚はまずまずと言ったところ。


「剣は父さんが扱っていたのを何度か見たことがあるから、そこは問題が無いのだけれど。槍は……誰か使ってたっけなぁ」

「でも、短槍といえどもリーチはそのへんの剣よりは上なのでは? 扱いやすいでしょうし」


 うーん、と唸っている俺を見てか古都音は「扱いやすい」と言葉を発した。

 確かに、長槍なら剣の数倍はあるだろう。けれど、これは……なぁ。


 どうしようか、と俺は少々考えてみる。確かに、そこまで受け付けないというわけではない。

 苦手、というわけでもないし。そもそも、使える武器が増えるというのは俺の成長にも繋がることだ。


「……そうなのかなぁ、昔から慣れ親しんだものなら扱いやすいんだろうけれどもね」


 俺の一番使いやすいのは、この拳だ。【顕装】って何で、ガントレットは無いのか少々気になるところだ。

 まあ、【神牙結晶】を使用すれば籠手型の【AVA】を使えるから問題はないのだが。

 おそらく、これから【神牙結晶】をつけることは少なくなる、だから……。


「オニマルは? なにか打開策っていうか、いい案ない?」

『うーむ、我に言われてものぅ。これの発展型に長槍、ひいては斧槍ハルバードがあるからそこまで使えるようになれば損はしないと、分析できるくらいじゃが』


 オニマルは、どちらかと言えば彼女自身が使われなくなることを危惧しているようだった。

 今でも決闘なら出来るだけ使おうとはしているし、直接的な使用はなくとも古都音や颯に任せたり、他の……例えばカップ麺の蓋を抑えるものに使ったりとしているのだが。


 どうも、「彼女」は武器として使って欲しいらしい。


「師匠が必要だな……」


 俺はそう考え、さて周りで槍を扱っている人はだれが居るかと記憶をいじりまわしてみる。

 



 ……いなくね?




---


「【アレ】を至急頼みたいのですが、お父様」


 トラン=ジェンタ・ザスターは、自室で電話をかけていた。

 通話の相手はザスター家現代当主、レスティン・ザスターである。


 トランの顔は邪悪な笑みが広がっており、また余裕も綽々といったような表情であった。

 向こうから、すぐに返事がやってくる。


『……分かった、良いだろう。すぐに転送する』

「はい」

『それなら御雷氷ゼクスとやらにこう言うが良い。「ザスター家に恨みを持っている日本11家の次代候補なら何人でも掛かって来るが良い」と』


 大口を叩いたレスティンに対し、トランもその邪悪な笑みをいっそう強くした。

 そう、俺達は連合国の中でも最強のザスター家である。その意識が2人を更につけあがらせ、同時に過剰なほどの自信を付けさせていた。


『無いとは思うが、【コレ】はザスター家のすべてだ。破られるような事があれば……分かっているよな?』

「はい。……これで負けるはずがないとは思いますが」

『そうだな。それでこそザスター家の長男だ。【気に入らん者共は潰せ、欲しければ奪え、拒めば壊せ】』

「……はい」


 レスティンはザスター家の信条を口にし、トランは同意するように同意を示す。

 そして通話は切れ……。


 トランは、天井を見つめた。


「気に入らない亜舞照は潰せなかった、コトネは奪えず、拒んだミサキは完全には壊れなかった」


 自分の過去を振り返ってみる。今までやりたい放題の人生だったし、それを今も変えるつもりはない。

 が、今までの人生を見つめなおすと、それが上辺だけのものであっても後悔は少々する。


 ……1日経ったら忘れてしまうが。


「次こそは御雷氷ゼクス、貴様を潰してみせ、コトネを奪わせてもらう」


 天井のほうに手を伸ばし、照明の光を握りつぶすように拳を固めてトランはつぶやいた。

 その目は、濁っていた。

次回更新は多分今日になるかな、と。


トランの父親はコレ以降の出番ほぼなし。

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