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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第7章 御雷氷・八龍・御氷
176/374

第176話 「オニマルと古都音」

2016.04.27 1話め

「あら、おはようございますゼクス君。今日はお休みですし、一日中ゆっくりしていきます?」

「そうしたいところだけれど、一旦戻るよ」


 朝目覚めると、古都音がなんの恥ずかしげもなく着替えている途中だった。

 こちらがもぞもぞと起きだすと、太陽の照りつけるような笑顔で迎え堕落への第1歩を提案してくる。


 魅力的だ、実に魅力的である。

 が、それに屈してはならない。俺は首を振って自室に戻るという意志を見せると、古都音はむぅと膨れた。


「着替え持ってすぐ戻るから、そんな顔しないでくれよ」

「はい」


 一旦風呂でもはいって、汗を流さないと。

 でも、何かあったら行けないな、という心配性を俺は発動させ【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】を古都音に手渡す。


「一応、【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】をここに置いておくから。オニマル、なにか起こったらすぐに報告して」

『うむ』


 古都音は俺が誰と話をしているのかわからない様子だったが、オニマルに古都音の話し相手になってくれるよう頼んだし、あとはオニマルがなんとかしてくれるだろう。



---


 ゼクス君がいなくなった自室は、なんだか物寂しいものでした。

 私の手には、日本刀型の【顕煌遺物】、【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】が乗せられていますが……。見れば見るほど美しい刀です。


 【顕煌遺物】はいわゆる神話に登場してくるような神話の武器、ということを聞いたのでこれもその一種なのでしょう。


『初めまして、終夜よすがら古都音』

「……!?」


 突然、声がしました。だれか侵入者でも入ってきたのか、と私は一瞬だけ身体を緊張させますが、すぐにその声がとても幼い事と、【顕煌遺物】から流れてくることに気づき恐る恐る声をかけます。


「……初めまして、【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】様」

『オニマルで良いのじゃ。代わりに我も古都音と呼ばせてもらうがの』


 【顕煌遺物】には人格が宿っている、というのは聞いたことが有ります。

 所有者と【顕煌遺物】のコミュニケーションによって、高度な戦術をたてることが可能だのなんだの、神牙研究所のミソラ様から教わったことが有りますが、たしか所有者はゼクス君であり、私は今預かっているだけです。


 疑問の尽きない私に、オニマル様は説明をしてくれました。ゼクス君が指定した「仮契約」の対象に私がなっているらしいです。

 話は説明から雑談に、そしてゼクス君の話になっていきました。


 所有者と【顕煌遺物】の関係ということもあり、やはりオニマル様もゼクス君を心配しているようです。


『古都音はゼクスのことをどう思う?』

「大好きですよ。……でも少し心配です」


 勿論、私も心配です。ゼクス君は最近、かなり無理をすでにしている気がするのです。

 いあっまで、彼なら復讐のことだけに専念すれば良かったはずなのに。


 私が彼の傍にいたいといい、雪璃さんも妹になりました。

 善機寺君は彼をサポートはしていますが、それでも……。


 ゼクス君は、周りに気を配る必要が出てきたのです。


「オニマル様も、ゼクス君が無理をしたらなんとか出来ませんか?」

『……【顕煌遺物】は、基本的に人間よりも高位の存在だ』


 私の頼みに、オニマル様はよくわからない返答をしました。

 もしかして、高位の存在であるからしたくない、などでしょうか。


 少々残念です、と考えたのですが……オニマル様は違うみたいです。

 頭の中に、優しく笑うオニマル様の姿を感じることが出来ました。


『だからこそ、安心しろ。古都音が心配している分は、私が制御しよう。……ただ、精神的なものは古都音が頼む』

「はい」


 ……ゼクス君は、やっぱりいい人に恵まれていますね。

 捨てられても拾われて、オニマル様のような高位の存在にも選ばれて……。


 そう考えれば、私は……。

 もしかして、迷惑しかかけていないのでは無いでしょうか。


「ただいま」


 そうこうしているうちに、ゼクス君が帰ってきました。

 ……あら? 今、「お邪魔します」ではなく「ただいま」って言いました? よね?


「…………」

「どうした?」


 不思議そうに首をかしげる彼に、私はただ微笑みを向けることしか出来ません。

 ……多分自分でも、意識していなかったのでしょう。




「おかえりなさい!」

次回更新は今日に、したい。

鳳鴻君回の予定です。

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