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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第6章 元兄弟
139/374

第139話 「兄弟従兄弟」

2016.04.02 1話め

「決闘の日時が決まったよ」


 次の日の、昼休みのことである。火曜日。

 俺たちは、月姫詠つきよみ斬灯りとの、刀眞家からもらったという矢文を読み上げてもらっていた。


「……なるほど、あと1週間ね。ありがと」


 斬灯は、今日は何もしごとがないようだ。授業は昨日から始まっているし。

 正直、授業もほとんど取っていないらしいが、ほとんどが特別待遇で免除されているという。

 ……まあ、【三貴神】だから特別扱いされているというのは納得できることであろう。

「ふふ」


斬灯りと? 最近は学園に来るようになったんだな」

「まだ始まって2日目よ? そうねー、お仕事は一段落できたからいいのいいの」


 そう呟いた斬灯の言葉は、本当に嬉しそうだった。それが、その口調からはっきりと分かるくらいに。


「これからは、もっとゼクス君と一緒にいられるのよ? 嬉しくない?」

「嬉しくないかと問われれば、嬉しいに決まってるだろ?」


 斬灯に向かってそう答えると、斬灯ではなく俺の隣にいた古都音が、冗談めかして頬をふくらませる。

「むー」

「そういう意味でなく、俺は。……斬灯や鳳鴻おおとり、アズサさんと一緒に居られて嬉しいよ」


 俺は【三貴神】だけではなく、古都音やアマツたちもを見つめた。

 新しく、俺のそばに居てくれる【仲間】が、そこにいある。


 大真面目に言っているつもりなんだが……。鳳鴻が、苦笑いをしているんだが、何か?


「うえ。そうやって大真面目に言えるのが、本当に凄いよね」

「……まったくもって同感だ」


 颯もそこは、同感しなくてよかったな。

 俺は何かキザっぽいことを言ったわけでも無いと思うんだが……。なんというか、俺は自分の言いたいことを言っただけだ。


 ……しかも、どうも俺は自分が言ったことの重大さを理解していない、らしい。

 そんなことが、鳳鴻や颯の表情から読み取れる。


 ……うーん、わからん。


「颯君のほうはどうかな? ちゃんとゼクス君のお役に立ててる?」

「バッチリ」


 質問をする鳳鴻に対し、颯はそれこそ自信満々な顔で答えた。

 勿論、こちらとしても異論はない。役に立つたたないの問題ではなく、この短い時間の中でも俺の中で、善機寺ぜんきじはやてという存在は信頼できるものと認識されている。


 だから、俺は凄く満足している。最初にこの学園……【八顕学園】でまともに戦った相手が、実は従兄弟で今俺のみかたになっていることが、とても嬉しい。


「だって、まさかの従兄弟だものな」

「兄弟だって色々あるんだ、関係には気をつけなよ」


 そうだな、そりゃそうだわ。

 刀眞遼と俺で、ここまで違うとは思っていなかった。


 復讐、早く完遂させて古都音達を安心させなければな……。そんな事を考えつつ、俺はどうしようかと頭をかしげる。

 ……何か、大切なことを忘れているような気がする。昨日……ええと、何だったかな。


「……俺は、ゼクスを裏切るつもりはない。……裏切ったと判断すれば、遠慮無く斬るといい」


 颯の目は、本気だった。

 信念か何かが、瞳の奥で燃えていることを、俺はしっかりと感じ取ることができる。


 彼の言っている「容赦なく斬る」というのは、処刑という意味だろう。

 真面目な颯のことだ、自分が悔いるくらいならもうダメなんだろうな……と。


 まあ、裏切るわけ無いだろうし、俺も彼を裏切るつもりはない。

 彼は俺を上に見ているようだが、俺は飽くまでも対等な関係で居るつもりだから。


 いつか、彼のそのなんとも言えない誤解を解かなければならないのだろう。

次回更新予定は明日です。

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