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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第5章 夏休み
128/374

第128話 「トリアージ」

2016.03.13 1話め

「なんか、すげえやる気だなゼクス」


 パーティの4日後、俺はというと。

 狂ったように訓練に勤しんでいた。


 補助は颯にまかせているけれど、自分も指示を出したいと思ったのだ。

 2学期からはチーム制度も始まる。詳しい話は分からないが、今年からルールが変わるらしい。

 だから、俺はよく知らない。


 俺が司令塔をやっても良いように、新しい【顕現属法ソーサリー】を習得する。


「3日で、1つ完成させたって本当?」

「うん、出来たよ」


 父さん……冷躯れいくさんに言われて、俺はどやっとした顔を見せた。

 【開放】と【被覆】に2週間近くもかけた俺にしては、3日というのは中々だと思う。


 いや、異常だ。自分でも分かっている。

 だって、3日だぞ? 普通、数ヶ月、長い人は数年かけて一つの【顕現属法ソーサリー】を習得するようなものを、たった3日、か。


 うーん、やっぱり【顕現オーソライズ】という技術は心の問題になるらしい。

 俺はとても、それが楽しく思う。

 成長したいと思う気持ちが、ここまで作用するとは。


「【選別トリアージ】を習得した」

「……んん? 何だそれは」


 疑問符を頭の上に乗せた様子のおろしさん、父さんや母さんの、そこら辺に対して【選別】を発動した。

 それによって、冷躯さんが赤。カナンさんとおろしさんがオレンジに着色された。


 これは、彼等の周りに漂っている顕現力を着色したもので、古都音ことねはやてたちにも見えていることだろう。


 颪さんは、これを見て納得したようにうなずいた。


「なるほど、これで司令塔として動く時、仲間に伝えやすいと」

「何で俺が超注意人物なのかな?」


 父さんは、気に食わないというべきか、「解せぬ」といった顔で俺に問いかける。

 【選別トリアージ】は、俺が判断したものに、赤から紫へ、危険度を示すためのものだ。基本色は7。


 ここに居る大人は全員危険だと思う。だから、こんな感じ。

 大分分かりやすいんじゃないかな、少なくとも、颯はその意味がわかったようだ。


「いや、どう見ても要注意人物だろう」


 納得の行かない父さんに、突っ込んだのは颪さんであった。

 父さんの扱いはそんなものだって、流石に分かるものだとは思うけれど。


 だって、父さんとんでもなく強いもん。その顕現特性も然り、【顕現オーソライズ】や【顕現属法ソーサリー】の腕前も然り。

 とにかく、俺達からすれば別次元なのだ。


 多分、本気を出せば。小指だけで俺達を殺せるんじゃないか?

 と、考えたところで、父さんが唐突に「今思い出した」といったような顔でこちらを向く。


「……そうか。……ああ、ゼクス」

「ん? 何?」

「なんか、転属になった。カナンと一緒に」


 は? 転属って? 何の?

 ……ああ、いきなり言われたから何のことかと考えたが、顕察の事か。

 転属かぁ……確かに、最近は仕事が何もなかったからな。


 左遷か何かかね? でも、「八龍冷躯が顕察に所属している」ということ自体が、日本の秩序を守っていると言っても過言ではないほど何だけれど。


「どこに?」

「……なんか知らんが、特殊部隊らしい。詳しいことは家族で説明役がくるそうだ」


 何かしらない、ということと。

 家族に、ということは俺に対しても説明か何かがあるということ。


 こりゃ、なんかありそうだな。


「なにか特別な事情でもあるんだろうか?」

「まー、最近何もなくて働いてないのにお金もらってたからなー」


 あ、やっぱりそうなのね。確かに、最近【顕現オーソライズ】関係の大事件は起こっていない。

 いや、そもそも小さい乱闘事件すら、例年よりも少なくなっている。


 日本で何かが起こっている? ……いや、俺にはよくわかっていないのだが……?

 難しい顔をしている俺と父さんへ、母さんがやれやれといったような顔で話しかけた。


「なにもないのが一番なんだけれどもね」


 確かに、それもそうだけれども。

 ……うーん、それでも色々と気に食わない場所があるな。


 俺は争いを好んでいるわけじゃないけれど、ていうか、あまり関係ないか。うーん、なんというか。


「それよりも、この【選別トリアージ】でしたっけ、中々有り難いですね。……味方なら、誰を回復させたほうが良いのか分かりますし」

「……誰を危険視したほうが良いのか、一瞬でわかるのは有り難い」


 古都音と颯は肯定的な意見を寄越してくれた。

 ……まあ、颯は俺を否定しないだろうからそうなんだろうけれど。


 これ、やっぱり使えるのかね。

 使えるのなら、まあ……いいかな、これ。

ゼクスは「【選別】」を習得した(レベルアップ音


次回更新は明日ですー!


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