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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第5章 夏休み
124/374

第124話 「下らない決闘」

遅くなって申し訳ありません。

2016.03.09 1話め

 誰かのために力を付け、誰かのために力を使うことが、ここまで素晴らしいことだとは思っていなかった。

 ……ゼクスの為に力を使う、ということの意味は、やはり美しい。素晴らしい。


 もっと、強く、強く。

 強くなりたいと、俺は願った。


 自分の力を……!


「はじめ!」


 ……神牙ミソラの合図がするとともに、俺は【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】を持って後ろへ、ゼクスを前へ配置する。

 最初は補助だ、相手の情報を【顕煌遺物】によって読み取り、顕現力の流れを読み取る。この【顕煌遺物】が顕現力の流れを見ることが出来るのは大きなメリットだろう。


 ……俺が彼の補助を出来ることが、最大のメリットだ。


『突っ込め、ゼクス』

『了解』


 頭のなかで意思疎通を図り、俺は顕現力を感じ取りながらゼクスを前に押し出した。

 最初に狙うのはどちらか。こう見つめてみると、どちらも決闘なれしていないのだろう。そもそも、戦闘自体そんなに経験が内容にも見える。


 つまらん。俺は【竜巻】を2つ【顕現属法ソーサリー】にて生み出しつつ、両方を榊兄の方へ仕向けた。


『【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】は、俺でも振ることが出来るのか?』

『ゼクスが見込んだ貴様なら問題ない』


 ……ゼクスは、どうも俺を信用してくれているようにも見える。

 本当に有り難い。こちらが力になりたくとも、信用してくれていないのなら意味が無いからな。


 ……さて、どうするか。弟か、今攻撃している兄か。

 弟の方はゼクスが【始焉】をもって突っ込んでいる。さすが、ゼクスだ。相手の【顕現オーソライズ】を物ともせず、膂力のみで押し切っている。


『なら、俺は兄のほうをやろう』


 俺は総判断して、榊兄の方へ突進した。よくよくきちんと握ってみれば、この【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】はかなり使い心地が良い。恐らく、俺が使っても真価は発揮できないのだろうが。


 ……だから、蒼穹城そらしろしんは最初なんとかなっていたのか。

 なるほどね。


「ちぃっ!?」


 俺の斬撃を間一髪でかわすその身のこなしには、キレも何もない。

 ……さて、かなりの……あれだな。


「なんだ、雑魚か」


 竜巻の檻の中へ、榊有雲を閉じ込める。藻掻けば藻掻くほど、強く締め付ける竜巻は、最終的に相手を縛り付け全く動かそうとしなくなった。


「……弱すぎるぞ、いい練習台だ」


 ……俺は【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】で殺さない程度に、峰打ちで地面に沈める。

 全くおもしろくない。さっきまで、「ゼクスのために力を使う!」なんて意気込んでいた俺は何だったんだ……。うう、恥ずかしい。


 ゼクスの方を見れば、彼の方も全く心配はない。

 寧ろ、本当に練習台にしているようで【開放】が顕現力の爆発ということを利用して、それでふっ飛ばしていた。


 ……ふっ飛ばしたら、上に飛んだ榊無雲を脚力からの跳躍で追いつき、地面に叩きつける。

 あ、これは俺が受けたことのあるものだ。……頭痛がする。


 あの時、俺は悪夢を見ている気分だった。終わることのない衝撃、しかし地面の感触はせず、ただ蹴りや殴りは継続的に入っていく。

 少々考えただけでもこの頭痛。さて、俺はただ見ているだけでいいのだろうか。


「やめて……やめてくれ!」


 そう声を上げたのは、榊当主だろうか。可哀想だとは思うが、神牙ミソラすらゼクスの行動を止めようとしていない。そもそも、ゼクスはまだ本気も出していない。


 ……訓練の成果を見せたいとか言っていたのに、相手がこれではな。

 俺はふぅと息を吐き、ゼクスの姿をじっと見つめた。


 キレが増しているな、うん。

短くて申し訳ないです、また風邪が……。


次回更新は明日です。


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