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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第5章 夏休み
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第116話 「向く敵意、向く厚意」

2016.03.02 2話め

「……かえで、絶対にはやてから離れるな。奏魅かなみは……」


 会場についた俺は、その空気の異様さにまず気がついた。

 こちらに敵意を向ける人が少なくないということ。


 終夜よすがら家、蜂統はちすべ家はまだマシな方だ。少なくともそういう素振りを見せないし、寧ろ歓迎しているのかと思わせるような態度で会釈をする。


 ……が、問題なのは神牙家の分家だろう、これは。

 こちらに、楓や颯が気づくような敵意を向けてくるのはこちらとしても腹が立つ。


「嫌な雰囲気。完全にアウェーね、私達」

「仕方ないだろう。……俺達はまだ、厳密には神牙側でないのだから」


 奏魅は少々困ったような顔でその空気を感じ取っているようだ。

 ……さすがに分かるか。


 俺は周りを警戒するように見回している颯と、それを不安そうに眺めている楓を見下ろす。


「颯、同じくらいの歳の人から決闘を申し込まれた場合、判断は颯に任せる。楓の分の判断も任せる。……二人共、同じくらいの子供に負けるような育て方はしていないはずだ」

「……わかった」


 颯は承知した、と頷く。周りがこうであるかぎり、無理は仕方ないか。

 子供達は最悪、神牙アマツたちが護ってくれるだろう。


 俺達の身は自分で守れる。というか、こんな公的な場所で手を出すとは思えない。そこまで軽率な人間は、それこそ刀眞や蒼穹城と同レベルと判断しよう。


「善機寺を呼んだのは誰だ」

「いないんじゃないか? 勝手に入ってきたのかね」

「僕が呼んだんだよ、君たち」


 俺達に対する言葉は、神牙ミソラが言葉を発した瞬間にシンと静まり返った。


 いつもの白衣ではなく、スーツに着替えた男は気苦労を感じさせないほど若々しく感じる。

 そして、その隣にはメガネをかけた女性もいる。

 揺らめく焔のような、長い髪の毛。あれが恐らく神牙ミソラの妻である虹架こうかさんだろう。


 神牙ミソラは、冗談めいたように悪魔の言葉を口から発する。


「分家を呼ばないほうが良かったかな? これからは分家は不参加にしたほうがいいのかい?」

「う……」


 跡取り見つけにくく成るんじゃない? と神牙ミソラ。

 ああ、やはりこのパーティというのはそういう役割も担っているのかと納得する中、俺は目の前の男の底冷えするような声に圧倒されていた。


 研究者という概念で見た神牙ミソラと、今ここに立つ神牙家当主としての神牙ミソラ。

 確かに、そのオーラは俺と一緒かそれ以上か、か。


 敵意の視線を追い払った神牙ミソラは、俺達を見つめてにこりと笑う。神牙虹架も、後ろでペコリと頭を下げた。

 どちらも実に頭が良さそうな顔をしている。


「颪さんも、奏魅さんも自由にどうぞ。……まあ、善機寺家も間接的には昔から神牙家の味方でしょ?」

「厚意に感謝する」

「いいのいいの。……八龍冷躯を友人とする人同士、仲良くね」


 八龍冷躯を友人とする人同士。

 その言葉に、得も言われぬ思いが込められているのを感じて俺はつばを思わず飲み込んだ。


「……そうだな」

「ああ、こちらが妻で副所長の虹架です」

「よろしくお願いします。……そちらは、カナンさんの姉君ですね?」


 その情報は何処から、と一瞬身構えかけたが神牙ミソラが柔らかく笑っているところを見るに、カナンさんがそういったのだろう。

 ……情報開示をして、こちらに敵意がないことを示すテクニック、か。


「颯君たちは、アマツのところに行っておいで。あとは自由にしていいから、ただ挨拶の時だけは……ね?」

「はい。……失礼します」

「……しつれいします」


 颯と楓が神牙アマツと合流する。

 ……これでいいのか?




 何気ない世間話を彼等としていると、会場が一気にざわめきだした。

 先程まであったピリピリとした緊迫感ではなく、本当にアイドルを目の前にしたような物。


 彼等の目の前には――。


 八龍一家があった。





「なーんでこんなに毎回拍手で迎えられるんだ俺たちは」


 今年は特に大きくないか、と冷躯が頭を照れくさそうに掻きながらこちらにやってくる。


「……こちらとは大違いだな」

「ああ? ……先輩に対して文句言った人いるのか。後でちょっと【やんちゃ】してこないと」


 使命感のように言われても困る、とカナンさんの手刀が入り、ゼクス君は苦笑していた。やはり、いつものことらしい。


 ……今年の人気は、ゼクス君が蒼穹城そらしろを叩きのめしたから期待が高まっているんじゃあるまいか、というのが俺の予想ではあるが、どうなんだろうな。


 蒼穹城進VS八龍ゼクスの決闘はニュースに取り上げられたし、ワイドショーで色々と言われたのを小耳に挟んだことがある。


 殆どのコメンテーターが、「蒼穹城そらしろ家がこれから力を失う可能性がある」と口をそろえていたのが笑えるところだ。

 同じタイミングで私達善機寺家も離反したから、その関係もあるんだろう。


「……挨拶はどれくらいから始める予定だ?」

「そうだね、あと30分位かな。ゼクス君も、あっちにみんな言ったと思うから探しておいで」


 やはり、子どもたちは子どもたちで集まるのか。

 てっきり、挨拶して回るのかと思っていたが……どうも自由な感覚だ。

やっとミソラさんの妻が出てきた。研究者と女社長を足した感じの風貌をイメージしています、はい。


全快とはいいませんが、喉以外治りました。心配してくださった方々、ありがとうございます。


↓まだまだ募集中です!

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