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四煌の顕現者  作者: 天御夜 釉
第5章 夏休み
114/374

第114話 「反省点」

2016.03.02 2話め

遅れて申し訳ないです。

「ふぅ、疲れ――」

「座るな。ミソラの分析結果を聞いてからだ」


 3時間に渡る全力での能力計測が終わり、俺とはやては地面に倒れこもうとした。

 が、膝が地面に到達するまでに手が伸びる。父さんのもので、俺達をがっちりとホールドしたまま、だ。


「ふぇぇ」

「なに情けない声だしてるのさ。はい、分析結果いくよぉ」


 自分でも驚くくらい、間抜けな声が自分の口から漏れ出るのをきいて、俺は溜息をつく。

 全力で数時間ってやっぱり疲れるな……と。


 父さんと母さんと、2対2でやらせてもらったけれど。

 強かった……やっぱり頭おかしいくらい強かった……。


「まずはゼクス君だけれど。ちょっと防御なさすぎかな。今まで学園の中だったら敵対する人に、君を超えるどころか同等の【顕現者オーソライザー】がいなかったから問題はなかったけれど、これからは攻撃ばっかりじゃないほうがいいと思う」

「はい……」


 反論が見つからない。そういえば何十回も攻撃を避けようとしてよけきれず、だからといって防御もしていなかったからふっとばされた。

 今回は古都音の回復無しだったから、もろに壁へぶつかったし……。それで骨が折れなかっただけ、【顕現者オーソライザー】の身体に感謝といったところか。


「幸い、終夜よすがら家から届けられた【始焉しえん】は防御も出来るだろうし、【髭切鬼丸ヒゲキリオニマル】だって可能だ。だから、自分から攻めるだけじゃないっていうのも考えてみたらどうかな。特に……」


 特に、今回は善機寺ぜんきじはやて君もいるんだしね、とミソラさん。

 うーん確かにそうなんだけれど。

 なんというか、いや颯を信用していないわけじゃないんだけれど。


 自分でやったほうが信用できるっていうか。自分でやって駄目だったら自分の責任じゃない?


「次に善機寺颯君へ。本気を久しぶりに出せる喜びっていうのが伝わってくるね、生き生きとしている」


 その言葉に、颯が僅かながらも表情を緩めるのを確認した。

 やっぱり、嬉しかったんだなぁと。その本気が誰の為に使ってくれているかも分かっているから、少々照れくさくもある。


 けれど、次のミソラさんの言葉で俺たちは顔をしかめた。


「けれど、ゼクス君の補助をしようっていう気持ちが大きすぎ。今の君なら、ゼクス君をきちんと立てつつ、自分の見せ場も作ることは難しくないんじゃないかな」


 そして俺にも飛んで来る。


「そこんところはゼクス君もだめだね。自分に直接関与するところは颯君の補助よりも先に、君が向かうよね?」

「……それは」

「颯君に任せればいいのに」


 うわぁ、思ったよりもバッサリとくる言い方だ。

 確かに、そうなんだよな。……さっき俺が考えたとおりだ。

 だからこそ、心に来るものがある。言葉が心に突き刺さる。


 容赦なく。けれど、ミソラさんは厳しくしているつもりはないようだ。


「いいかな、ゼクス君。君が次相手するのは冷躯じゃないんだよ」

「……それは、どういう意味で?」

「刀眞遼と栄都アインなんだ。目の前の敵に集中したくはないかい? 栄都アインさんを颯君に任せて、とかさ」


 ミソラさんの言っているのは、飽くまでも「高い目標を持つのは良いが、今回状況も考えて妥協点を作れ」ということ……か?


 でも、油断は禁物だ。その油断一つで敗北するとなったら本末転倒となってしまう。

 それだけは、なんとかしたい。


「なるほど」

「そういうこと。まあ、僕が言えるのはこれくらいだね」


 そういって、ミソラさんは終わったとリラックスした表情になる。

 俺たちは、話はすでに終わったと判断して、そそくさと帰る準備を始めた。



---


 帰りの車内は、妙に重々しい雰囲気に包まれていた。

 殆どが俺と颯のせいである。まあ、正論とはいえきっついことを言われたのだ。


 そして、八龍宅に帰ってくる頃、颯が口を開く。

 ぼそっと呟いたその声は震えており、心なしか半泣きのようにも聞こえた。


「……連携、取れてなかったな」


 しかし、それは、俺に怯えて半泣きになっているものではないと確信ができる。悔しさからの涙だ。


「まあ、仕方ないさ。これから取っていけばいいよ、ゼクスも颯君も」


 父さんは、そう言って俺たちを慰めると「まだ時間はたっぷりとある」と。

 意地の悪そうな笑顔を浮かべて、俺達の肩を叩いたのだった。

ギリギリセーフですね、目標の最低ラインは2話なので。

これから颯もゼクスもメキメキと強くなっていくことでしょう、多分。


次回更新は明日です。


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