一話 「初撮影!?」
「じゃあ部活の活動内容の説明を始めまーす。主な活動としては···」
次の日、写真部の部室に集まったのはやっぱり俺一人。
ホントに部員俺達だけなんだ····。
適当に説明を聞き流しつつ考える。
「おーい、キミ、聞いてる?」
「ひゃいッ?」
しまった、全然聞いてない!
まあでもどうせ写真とったりするだけっしょ。余裕余裕。
「聞、聞いてましたよ」
「ならいいや。じゃあ早速行くよ!」
「え?行くって何処へ?」
ちゃんと聞いておけばよかった···。
今さら後悔しつつ聞いた。
「やっぱり聞いてなかった。撮影よ。撮影。」
「撮影って、俺カメラ持ってないんすけど。」
「えぇ!? カメラ持ってないの?」
スイマセンネー。昨日入部したばかりでして。
「しょうがない。センセーの貸したげるからさっさと行くよ!」
「はーい。あざーす。」
学校を出てしばらく歩く。
この辺はけっこう都会なのであまり撮影には向かないと思うんだけど。
それにしてもさっきから周りからの視線を感じる。
そりゃそうか。白衣のセンセーと制服の男子が街道歩いてりゃちょっとは違和感あるもんな。つーか何処まで歩くんだこれ!?けっこう疲れた!
そんな中、ちょっと気になることが1つ。
「水谷センセーは保険のセンセーなんでしょ?何で写真部に?」
「まあたいした理由じゃないんだけどねー。」
センセーが語りだす。
「アタシこう見えて両親亡くなってるの。」
「そうだったんですか。」
ちょっと待て。急に重い話だな。
「しかもアタシが小さい頃に亡くなってるのね。だから親の顔って写真でしか見たこと無いわけ。」
「なるほど。だから写真部に···」
「それは違うわ。」
「違うんかいッッ!!!」
強烈な視線が突き刺さる。しまった。街中で大声上げてツッコミしちゃった。
しらないふりをして話を続ける。
「違うんですか···。じゃあ何で」
「楽そうだったからよ。」
「えぇーーーーー!!!」
しまった。またやっちゃった。
つーか楽そうだったからとかふざけんな!俺のシリアスモード返せ!
「じゃあさっきの両「着いたわよ。」
話を遮断されつつ、目の前の光景に驚く。
ここ····
「学校じゃん!!!さっきまでの歩きはなに!?散歩!?もー嫌だぁー!!」
「アタシの日課でね。毎日一時間のウォーキング。」
知るかぁぁぁーーーーー········
俺の小さな叫びは、夕焼けの中校舎にこだまするのであった。
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次話投稿日は未定です。