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出会い

「………」

夕時の誰もいない公園。

俺の目の前には、今、一人の少女がベンチに座っている。

座っているというのは語弊があるかもしれない。

一般的に言うなら彼女はその場に存在していない。

俗に言う幽霊というヤツだ。

そして、俺が霊を見れるようになったのは、去年に交通事故にあってから。

理由は分からないがそれ以来、とにかく幽霊が見えるようになった。

最初は怖かったが、一年経った今としては慣れたものだ。

そして、今、霊に声をかけるのも初めてではない。


「隣、座るよ?」



その言葉に彼女は明らかに動揺したように体に相当をビクつかせる。


俺はそれに構わずベンチに腰掛けた。


「…み、見えるの?私のこと…」



驚いたような表情で聞いてくる少女の霊に俺は目線を合わせず…。


「まぁ、それなりに…」


と答えた。

そうすると少女は嬉しそうに、霊とは思えないくらいに顔を輝かせた。


「ありがとう!」

は?心の中でバカみたいな声を発した俺は目を見開いたまま硬直した。

「ありがとう!」

。一体全体、何が有難いのか全く意味が分からない。ほうけた俺をよそに彼女は言葉を続ける。

「…私ったら、自殺した後、何も考えてなくて…。まさか、自分が幽霊になるなんて思わなくてさ…グス(泣)」

顔を手で覆い、仕舞いには泣きだした。

幽霊なのに…。

新手の霊に俺はかなり動揺する。

なんせ泣きだす霊なんて俺の知る中では前代未聞だからだ。彼女には悪いがかなり笑える。

「じ、自殺理由は?」

笑いを堪えながらも聞いてみる。

「………」

黙り込んでしまう彼女はもう泣き止んでいる。

立ち直りが早いなぁ…。

そんなことを思いつつ一言。

「初対面だし…言いたくないならいいけど」

内心、初対面も何もないような気がするが。

と自分の言葉を否定しつつ、この際仕方がないと思う。不意に彼女の口が開いた。

「また明日、同じ時間に来たら教えてあげる」

少し悪戯っぽく聞こえるが嘘ではないと感じた俺は、なんなく明日来ると約束する。

「じゃ、明日」


「…うん、待ってるから」

そして、別れる。俺が数歩、歩いた所で声がかかる。

「ねぇ、名前おしえて!」

彼女の質問に俺は躊躇なく答えた。

公流(きみなが) (あつし)!」

すぐに彼女のほうからも返事が返ってくる。

「私は平崎。えっと…平崎(ひらざき) (ゆう)!」

高校二年生の秋。この日、俺は一人の少女の幽霊に出会った。

ひきつづき、『みえるモノ・みえないモノ』を投稿させていただきました。安易に考えてしまったネタですが、楽しんでいただけると幸いです。 感想待ってます。

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