冬青
掲載日:2026/10/26
踏切の向こう側の常緑樹が僕を見据える
あの鬱蒼とした蒼黒の中に浸かってみたい
浅瀬な思考はいつだって
この木の葉の一枚にだって見破られてる
瞳孔が開く視界の裏側で心臓がバクバク音を立てる
踏切の電鈴が慟哭し心臓の音と重なり頭の中で二重に響く
血液の循環と一緒に電車がその長い胴体を燻らして僕に強風を叩きつけた
黒い黒い風が一斉に吹き荒れ
僕は空に舞い上がる風の又三郎のように
上も下も冬衣を纏い空でも地でもない真ん中に射止められ
暴かれ
もがかれ
それでもとめどなく踏切の電鈴は鳴り続ける




