困惑してプッツンする男爵令嬢
いつもより長めになりました。
番外編と合うように少し加筆しました。
明日14日に半分投稿する予定です。
私の名前はシーナです。
貴族学校に入学して1ヶ月の十五歳、
実家は男爵家です。
ここからが本題なのですが、わたし最近困っていることが二つありまして。家庭教師にお墨付きをもらったはずなのに侯爵令嬢のルシア様とそのお友達の方々にマナーがなっていないとか言われるんです。
なぜでしょう。ちゃんと試験でも余裕で合格点をとっているのに。あ、もしかしてもうひとつのあの件を気遣ってくださっていたのかしら。
ルシア様がお茶会に呼んでくださる間はあの方々のことを考えずに済みますから。
わたし、ここ最近休み時間のたびに名前も知らない男子の先輩方に話しかけられているんですよ。
いつも来るのは三人です。
金髪に青い瞳の人と、緑の髪の眼鏡をかけた人と、
2人と少し離れた場所にいる紺色の髪に赤い瞳の人です。
主に前の2人がしつこいです。
うーん。舞踏会で話した記憶もないですし、
両親と兄の知り合いでもなさそうです。
どうしましょう。一年前、領内で地震が起きたことで我が家は困窮してしまって。貴族図鑑も売ってしまいました。とっさに知っている風を装ってしまったので今更聞くのも…。
雰囲気的に高位貴族の方っぽいですし。
あのお二方は私の何に用があるのか毎日話しかけてくるんですよ。
緑の髪の方は「君は今日もかわいいね」だの、
「この間話していたカフェに行かないかい?」だの
言ってきます。
勝手に過去を捏造しないでください。
ナンパする失敗例にでもなりたいのでしょうか。
金髪の方は話の内容は比較的まともなものの、
君呼ばわり。意味がわかりません。
たまにカリナと呼んでくることもあります。
私と同じクラスの方にカリナという名前の方は在籍していらっしゃいませんし、どこのどなたですか?
私が伯爵令嬢とかだったらまだ訴えたりなんとかできたかもですが、このシチュでは無理ですよ。
せめて貴方とかにしません?
今まで接点がなかったのにシーナ嬢とか貴方を
通り越して君呼ばわりされてもですね…。
迷惑なのでやめてくれと遠回しに言っても遠慮しなくていいとかなんとか。
話が三分の二くらい通じないです。
私の中ではもう意味不明の不審者ですね。
最近私とあの方々が何か知り合いだと思われたのか仲良くしていたお友達にも距離を取られ始め、
実家には相談しましたがなにしろ馬車で1週間の僻地ですから。今届いたところとかでしょう。
要するに、相談する人がいないんです。
先生に相談しようにも授業以外のことで1人で職員室に入るには勇気が必要です。
この学校貴族の方々がたくさん在籍なされている関係で、話しかけにくい雰囲気の先生が多数いる上に
私は男爵令嬢ですし成績もせいぜい中の上なので。
もうどうすればいいのかわかりません。
そんな時、下駄箱を開けると「放課後裏庭で待つ」という綺麗な筆跡で書かれた手紙が。
これは行った方がいいんでしょうか。
しがない男爵令嬢ですし、後で何か言われても非があるのは私側ですよね。
(名前も用件も書かずに一方的なのは良くないと思いますがきっと高位貴族の方なんでしょう。)
少し不安ですけど…。ところで、裏庭ってどこでしょう?
用務員の方に聞いてみると
「おや隠れて話したいことでもあるのですか?
裏庭は昇降口をすぐ右に曲がって少し行ったところですね。気をつけてくださいね。あの辺り、野犬が現れるとかなんとか噂があるので。」
「ありがとうございます。」
そこには、4人のご令嬢達がいた。
1人は見覚えがあるけれど、他3人は知らない。
「あなた、図々しいのよ」
「ルシア様が直々に忠告してくださったのに立場も弁えず。」
「いつも1人でレオナルド殿下達としか話さないらしいじゃない、いい加減身を引きなさい。」
「あなたみたいな冴えない子がこの国の王妃にでもなったら1ヶ月で離縁になるんだから」
??。口々に言ってくる内容に、全く心当たりがなかった。
「あの、言っていることがよくわからないんですけど…」
「とぼけるつもり?こんな女狐に殿下は〜 」
「君たち、何をしているんだい。1人の生徒を大人数で囲んで、それもルシアの指示なのか!
可哀想に僕の愛しのカリナ、こんなに震えているじゃないか。見損なったぞ」とあの金髪の方が言う。
???。カリナって本当に誰なんでしょう。
それともこれは何かの演劇の練習なのかしら。
突然巻き込まれたことにはびっくりしたけど皆さん上手ですね。
「えっと…」なにか即興でいったほうがいいかしらと言葉に詰まっていると、
「このことは父上に訴えてルシアとの婚約は破棄する!あいつに伝えておけ。」と金髪の人が
側近の1人にいい、勝手に手を握って校舎の方に
私を引っ張っていく。
私は慌ててついて行った。
「カリナ、大丈夫かい?」
カリナとは誰だろう。
話を合わせた方がいいのか訂正した方がいいのか。
「私の名前はシーナと申します。
助けてくださったことには感謝しますが
私はカリナ様ではないので。」
「カリナ、何を言っているんだい。
ルシアに脅されているからといって僕に嘘までついて距離を置かないでくれよ。」
…この人、認知症?にしては若いけど。
とりあえず逃げよう。嫌な予感がする。
「私は本当にカリナ様じゃないです!では。」
と背を向けて一目散に走る。
「あ、まって」と必死そうに呼び止められたが、
「わあっ!」という悲鳴と動物の鳴き声が聞こえたので十分な距離をとってから肩越しに振り返ると、
小さめな黒いオオカミっぽい動物が彼に吠えていた。追いかけてこなさそうで私は歩みを緩めた。
翌日。
今日は二人組が顔を出さなかったなと思って昼休みにカフェテリアへ行っていると、突然聞き覚えのある声とざわめきが聞こえてきた。
「ルシア、私は昨日君の指示でカリナがいじめられている現場を見たんだ。もう看過できん。」
「私はそんなことしてませんわ。」
「潔く罪を認めればいいものを、見苦しいぞ。
婚約破棄だ!」
「…その言葉に二言はなくて?」
「当たり前だろう。よし、カリナ。ここにいるんだろう。もう心配するものは何もない。この女に言ってやれ。」
…本当にカリナ様はいるんでしょうか。
普通の神経をしている方ならまずサカサウクラ様と緑の髪の側近の方に
(もう名前も知らないしよく知らないので仮に
サカサウクラ様と名付けますけれど。金髪に青い瞳ですし。)近づかないと思うんですよ。
ルシア様、成績優秀ですし私たち下位貴族の憧れですし。そんなルシア様が人をいじめるとは考えられませんからサカサウクラ様がおかしいんです。
サカサウクラ様、昨日も私と知らない方を間違えていましたし…なにか精神的な病気でも患われているのかしら。
「カリナ、見つけたぞ。」
!?!?。なぜ私の腕を掴むんですか?
驚きで固まっている私を人垣の中央に引っ張り出し、畳み掛けるように言う。
「もう証拠は揃っているんだ。カリナ、証言してくれ。」
?!?!。私は軽くパニックになってどうしたらいいのかわからない。えっとあっと……
高位貴族に嘘をついたら不敬罪なんでしたっけ。
でも悪口を言うのも不敬なのでは…(*´-`)
「あっあの!私が何を言っても不敬罪に問わないって約束してくださいますか!。」
「あぁ。大丈夫だ。約束しよう!」
ルシア様をちらりと窺うと、無表情。
「まずカリナ様って誰ですか。私はしがない男爵家の長女なので貴方と緑の髪の方と話したこともないと思うんですけどついでに貴方たちも誰なんですか?私の名前はシーナですし100%人違いです!何人かに心当たりがないことを言われることはありましたが嫌がらせは受けてません。私、貴方の精神が普通じゃないと思うのでぜひお医者様にかかった方がいいですよ。最近貴方と緑髪の方が訳もわからず休み時間に話しかけてくるせいで、気が休まりませんでしたし話しかけてくれる人がいなくなったんですよ。クラスの人とも必要最低限しか話せないし避けられるんですよ。貴方たちの目的はなんなんですか?ルシア様が私をお茶会に呼んだ理由はともかくですが、私にとって貴方たちは名前も知らない不審者なので金輪際話しかけないでくださいっ!!」
と一気に言い切った。息が乱れる。
サカサウクラ様はびっくりして唖然としている。
ルシア様は少し目を見開いている。
周りの騒ぎはますますうるさくなっている。
あわわ。え、何?不敬罪に問わないでとは言ったし
嘘はついていないはずだし本当に心の中が
私なんかやっちゃいました?状態です。
沈黙の数秒。
「レオナルド殿下、貴方の主張はシーナ嬢の証言によって否定されたので私と彼女に非がないと言うことがお分かりいただけましたよね。殿下の言葉は絶対ですので王族発言として婚約破棄を承ります。
この事は両親に伝えますので。」
「皆様、お騒がせいたしました。どうぞカフェテリアをお使いくださいませ。私はこれで。」
とルシア様が去って行った。
気まずくなった私も、そそくさとカフェテリアを後にした。
1週間後、私はルシア様のお茶会に呼び出され、
事の次第と謝罪をいただきました。
ルシア様曰く、
レオナルド殿下(サカサウクラ様)と私の婚約破棄は無事受理され、幼馴染の方と婚約することになった。貴方に迷惑がかかってしまってごめんなさい。私の取り巻きの1人とその他の子達が
貴方の悪質な噂を流していたようで。
あの子は半年停学になったわ、と。
緑の髪の方はカルロス様といい、
レオナルド殿下はカルロス様に協力していただけだったそうです。
カルロス様が私に度々話しかけていた理由と
殿下が私をカリナと呼んでいた件については
知らぬが花だからと教えてくださらなかったけど。
話しかけてくれるお友達も復活して本当によかったです。
誤字脱字あったら教えてください。
満員電車って疲れますよね。
朝ならともかく帰りもですよ。
まだ詰め込める余地があるだけマシかもしれない。




