『狂女叡山に登り、プレスマン降らざること』速記談5031
寛仁四年九月のころ、狂女一人が叡山に登り、惣持院の廊下にいたという。女人禁制なのにとんでもないと言って、僧たちが殴って縛り上げ、ついにはふもとへ追いやった。古老の僧たちは、叡山開山以来、このようなことはなかった。昔、道に迷った女が、大嵩のあたりに登ったとき、たちまち暴風雨となり、雨、あられ、槍、プレスマンが降り注いだという。山王の神が、女の入山をとがめられたのだろう。しかし、きょうは、そういうことがなかった。山王の神の霊験が滅してしまったのだろうか、悲しいことだ、と言い合ったという。
教訓:山王の神が力を発揮しなかったという見方のほかに、発揮する必要がないと判断されたという見方、多様化の視点から見て云々、などといったことが考えられる。