3,733,326,800,000,000
「言うではないか」
魔王は笑う。
「お前もな」
「何も言ってないが……?」
兄貴は笑った。
ばきり、ばきり、と威圧が飛ぶ。
でもただの威圧じゃない。
この世界の強者はある一定ラインを超えると「物質的な特性を持つ」──つまり、触れることのできる威圧感を発することができるようになる。
それを〝超弩級昂圧〟と言う。
それとそれがぶつかり合うことで情報が空中に投影されることがある。
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シャム・アヴィス 16歳
戦闘力:400,000+500,000+100,000+50,000+10,000+5,000+1,000+500+100+50+10+5+1=1,066,660
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ひゃくろくまんろくせんろっぴゃくろくじゅう……?
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魔王マフス・ミリニオ ??歳
戦闘力:3,000,000
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さんびゃくまん!!
俺達がドッヒャーと驚いていると、兄貴は「俺の倍ある」と面白そうに言った。
「戦闘力は絶対だよ、勝てないよ兄貴!」
「うむ! 確かに勝てない! だがこうしてみるとどうなる?」
空に「第八段階ッ!」と浮かび上がる。
魔王が空を見上げて言う。
「シヴァに第八段階はなかったはずだろ」
「いまつくった」
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シャム・アヴィス 16歳
戦闘力:1,066,660+400,000+500,000+100,000+50,000+10,000+5,000+1,000+500+100+50+10+5+1+400,000+500,000+100,000+50,000+10,000+5,000+1,000+500+100+50+10+5+1+400,000+500,000+100,000+50,000+10,000+5,000+1,000+500+100+50+10+5+1+400,000+500,000+100,000+50,000+10,000+5,000+1,000+500+100+50+10+5+1=5,333,324×7,000,000,000,000=3,733,326,800,000,000
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静寂に包まれる中、兄貴が言う。
「俺の第八段階は〈支配〉……〈クラフト〉で得たアイテム作成の『材料が揃っていれば』という縛りを排除し、欲しいアイテムを無制限で取得でき……第二段階〈等価〉と第三段階〈拒絶〉で得た攻撃に対する無効化を存分に俺にのみ発揮させ、第四段階で得た弱体によりお前はとりあえず戦闘力1にしといて、第五段階の〈戒告〉でとりあえず四肢をそぎ落としとくか。んでそうだね、第六段階の〈破壊〉で四肢を再生できないように粉々にしといて、んで第七段階で巨大化。これでタッパは同じだネ、魔王チャン★」
「それずるだろ」
「なんて?」
四肢を根こそぎ奪われ、粉々にされた挙げ句、戦闘力を1にされた魔王が力無き声で呟いた。
「ずるいだろ」
「えー、いいじゃん。だってさあ、いままで圧倒的な強者として君臨してきたんだろ? ノータリンのチンカスが積み重なった汚物の山の上でよ」
「き、さま……!」
「俺の初恋の人ならこう言うぜ」
兄貴はドンと構えて言う。
「面白い──って」
兄貴が腕を構えると、巨大なトリシューラが生成された。
「こうなれば此方もずるをするだけだ! 戦闘力っ! 800兆ッ! 超絶弩級魔王マフス・ミリニオだァーッ!」
「とりあえず戦闘力は1に固定しとくか」
「アァッ!?」
兄貴が指を振るうと、溢れ出していた魔王の闘気が霧散した!
か、かわいそう……!
「ここだけ切り取りゃコメディなんだけどね。おまえ、赦されないことしたから。俺、お前のこと殺すよ。シヴァみたいにヘマすることなく、一木一草見逃しもせず、お前の意識もブッ潰す。いいだろ」
「いいわけッ! ねェだろうが! ボケェーッ!」
兄貴が腕を引き絞ると、トリシューラが5万7000本生成された。ナンちゃんは弓になり、そのトリシューラを射る!
魔王が可哀相に思えて来るほどの圧倒!
ミリニオ教が潰えたのは、この日だったと思う。あまりの圧勝だった。「魔王の復活」というビッグニュースに「魔王が1時間も経たずに消滅した」というビッグニュースが加わったことで、戦場撮影家が撮影した映像を世界各国の新聞社がばらまいてしまったのだ。
世界政府トップ、ニューゴッド氏は「面白いからオッケー」として、ミリニオ教の撲滅を認めた。




