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愛と平和の象徴

「姿形が変わったからなんだというんだ!」

「怒りは変わんねェよ。一度抱いたら二度と消えない真っ赤な憎悪! ならば俺はこの腕でこの脚で、命を削って生きつづける! 青を浴びれば赤になる、怒りを抱けば風が吹く! 笑われようが立ち続け、炎が燃えれば、陽が昇る! 気合いと根性! 度胸と愛情! 苦悩苦痛も撃ち捨てェ! 風が雲を押し除ける! 東の小さなビンギス村に光と共に出ずるはその赤子、生まれはアヴィス、育ては夜明け。赤のマフラー風に靡かせ神出鬼没〝標の一団〟その大将!」

「それやめろって3年前も言ったよなァ!?」


 空に大きな文字が浮かぶ。


 第

 七

 段

 階

 ッ

 !〈 ト リ シ ュ ー ラ 〉


「悪の軍勢を討てェェ!」


 魔術師ハルカの叫びに多くの信者が異形になり、襲いかかって来る。街には人がいなかったのが幸いしたか。


「ヘルト!」

「わかってる」

「脳無しね! 死になさい!」


 ヘルトさんがパンチを放つと真っ赤な衝撃波が飛んだ。


 空に大きな文字が浮かぶ。


 第

 一

 段

 階

 ッ

 !〈 シ ュ ー テ ィ ン グ 〉


「空に落書きするな!」

「〈シューティング〉って蹴りの衝撃波を弾丸として発射する能力?」

「なんか違う気がするね。なんだっけな……」

「あっ、蹴りを弾丸のように放つだけの能力」

「あっ、それかぁ!」

「ボク研究してたんだ。ミドルネームに『イド』を持つ人間はシヴァ派ブラフマー派ヴィシュヌ派の統合信教において重要な意味を持つ血族だから、能力も調べるよね。ヘルトくーん! 〈シューティング〉はシヴァの破壊性を持つ能力だ! 有意義に使いな!」

「うるせェ」

「なんだこいつ~!」


 わちゃわちゃしてる。


「ナンちゃん! あの馬鹿女を地に落とせ」

「了解」

「うわ喋った」


 ナンちゃんがロープになると、魔術師ハルカを地に叩き落とした。


「俺は何をしようかな」


 能力発動。存在感を消して、魔術師ハルカのもとへ行き、顔面に回し蹴りをした。


「ぐぁっ!? なんだこのガキ!! なんだこのガキ!?」

「パシュ!」


 どうも、パシュパティです。

 と遅すぎる自己紹介を終えて、空を見る。

 精霊が空を舞っている。


 ドナさんが〈精霊王〉の能力で精霊達を呼び出している!


「──えっ!? あれシヴァくん!?」

「──えっ、復活したの!?」

「──でももしほんとうにシヴァくんだったら連絡のひとつでもくれるはずだよ!?」

「──ならば違う!」

「──ああ違う、あれは変態だ!」

「──変態って言うと、シャムくん!?」

「──第七段階にようやく行ったか」


 コボルトが嬉しそうに頷く。

 どうやら兄貴は変態として認識されてるらしい。


「や、コボルト! 元気?」

「黙れ」

「つれないね」


 兄貴に炎球が飛ぶ!


「うおあぶね」

「ナメるな!」


 炎球が連続で飛び、兄貴はそれをひょいひょいと飛んで回避していく。

 第七段階での補正はどんな感じなんだろう。第二段階で+1000。第三段階で+5000。第四段階で+1万。第五段階でおそらく+5万。第六は10万。この法則性でいくと……。


「第七段階での補正は+50万……?」


 となると現在の戦闘力は30万+50万。

 単純計算で戦闘力80万?


 埒外の強さだな……。


「ナメてなんかないさ。戦闘中は相手の力量は見誤らない主義でね」

「クソガキ……!」

「クソアマ」


 兄貴は炎球を掴むと、拳銃を手に取り、爆弾を作り出した。


「前々から思ってたがお前銃弾に爆薬詰めてんの!?」

「悪いか?」

「暴発して死ね!」


 兄貴は爆弾を魔術師ハルカに投げつけると、炎球をそこに追加で投げつけた。


「死にませーん。〈等価〉があるから!」


 〈等価〉は相互作用の排除。使い方によっては相手のみに痛い目を見させる事ができる。なんか本当にずるい能力だな……。


「クソッ、クソッ、クソォッ!」


 魔術師ハルカは今度は木球を発射した。

 兄貴はそれを掴み、投げ返し、ポケットから鉄塊を出すと、投げつけた。

 すると、バコォン、と大量の盾が現れる!


「木と鉄を組み合わせたら盾ができるのは当たり前の話だね」

「何故勝てない!?」

「弱いからだよ」

「こうなれば、こうなれば、こうなれば!」


 魔術師ハルカはなにかを取り出した。

 それは本で見たことがある。


「ナンヂあれ」


 ナタリーさんが叫ぶ。


「轡だ!」

「なにっ」


 轡とは、かつて魔王が使用していた兵器!

 魔術師ハルカはそれを飲み込んだ!


 全身からもやが溢れて、黒々しい異形が顕れた。全身が組み重なった腕で構成されており、眼球は肛門だった。


「我が生命をかけた、魔王再臨の時! 死ね! シャム・アヴィス! この世もろとも死んでしまうのだァーっ!」


 兄貴はなんでもないように、言う。


「おー、やっぱり力の根源は魔王か」


 魔王はかつてこの世界に絶望を与えたと言われている、悪の軍勢の王。伝説では、魔王を討ち滅ぼしたのは破壊神あるいは破壊と再生の神シヴァ。


「ほぉー、貴様シヴァか。いや、シヴァの転生者かな」


 魔王が言う。空に悪雲が立ち込める。


「いいや違うね」

「ほう、では貴様はなにかな……!?」


 悪雲をすべて蹴散らす大いなる太陽が現れる。


愛と平和の象徴(シャム・アヴィス)

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