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衝撃の事実ラッシュ

秘密未満のクソボケ伏線回収を飛沫って呼んでます。

 俺がぬるりと第四段階へ〈クラフト〉を進化させたその後、警察署の会議室を借りることができた。

 そこで、ジャネタさんが語り出す。


「昔、小さかった頃、母に語ってもらった昔話があるの」


 それは昔話らしい。


 むかーしむかし、あるところにひとりの少年がいました。

 少年は貧しい村の貧しい農民でしたが、家族に囲まれて幸福に包まれて生きていました。

 しかし、少年が十六歳になる頃、家族が悪い王様に殺されてしまいました。

 悪い王様は家族の心臓を食べてしまうと、それをうんちにして、またそのうんちを悪い植物の種に変えてしまいました。

 そして、「自分にはこの種がある。降伏すれば種を植えないが、降伏しなければ種を植えて悪い植物を作り出してしまうぞ」と世界中の人たちを脅しました。

 少年はそんな悪い王様に怒りを抱きました。

 世界中を旅して回って、悪い王様にたどり着いた少年は悪い王様に「人々を脅すのはやめろ」と言いましたが、王様はそれを断りました。

 二人は争いに発展し、ある国に、その植物が植えられてしまいました。

 そして、それは一気に恐ろしい輝きを放つ大木になりました、

 少年はみんなが死ぬのを恐れ、大木が消えると、そこに太陽の花を植えて、命をかけて祈りました。

 その少年に続いた者達はそこに、少年の奮闘を讃えた石碑をたてました。そして、恐ろしい植物が芽吹かないように、そこに大地で蓋をしました。


「……それはどういう話……?」

「この話に出てくる『少年』の名はシヴァ。『悪い王様』とは魔王。『悪い植物の種』はおそらく、轡だ。」


 轡。

 かつて存在していた魔王が使用した兵器。


「どっかでそんな話したな」

「つい最近だね」

「つい最近?」


 ドナさんが首を傾げる。

 忘れちゃったの? 嘘だろ? 本当につい最近だぞ。


「ウィンタス草原にあったでしょ、地下の空洞」

「あーっ! あれかっ!」

「確かにシヴァの石碑があったねぇ」

「サンブルフラワーはシヴァが植えたんだ」


 というか実在する人間だったのか。

 まぁ、人間の神格化なんて珍しくはないか。


「それがこのバカの能力となんの関係があるのか」


 ヘルトが言った。


「確かに! それは思った」

「うん」


 ジャネタさんが頷いて言う。


「シヴァは……青い肌に、額には第三の目があり、4本の腕を持っていた……君がぬるりと覚醒させた第四段階の見た目にそっくりだ」

「でもなんでこいつ?」


 ナタリーが「なるほど」と言う。


「君達は、本人が持つ適性とは違う能力が発現するパターンがあるのは知っているか?」

「聞いたことはある」

「なんだっけ。チェ、ちぇー……」

「チェスト現象。ライクは通常『自分の魂』との接続で発現するが、適性外発現の場合は一説によると何らかの原因で今世まで前世の魂がついて来てしまって、その魂接続してしまうらしい」

「はぇ~為になる」


 俺の中の教養全部〝英雄の夜明け〟経由だから、あの人たちが知らないことは俺もわからないというのが現状だ。


「気づいているか? 君はもともと付与術師(エンチャンター)の適性が強いんだ」


 ナタリーが言う。


「えっ、エンチャンターですかぁ!?」


 エンチャンターとか世界でイチバンよくわからない役職じゃないっすか! …………いまめちゃくちゃ失礼なこと言った気がする。


「君が殴った相手は高確率で強くならなかったか? 喧嘩場での事を思いだしてみなさい」

「…………あー……。じゃあ俺の前世シヴァなん!? オラァ! 神様の言うこと聞けッ! ヘルト……!」

「大人しくくたばれ破壊神」


 なんてことを。


「そこで、ジャネタくんが気付いた衝撃の事実にボクからももう一つ付け足しておこう」

「なにを?」


 ナタリーがいきなり席を外したかと思うと、大量の書類を持って戻ってきた。それは病院と教会のものだった。


「これは教会側の独断により秘匿されていた情報だが、シャムくんとヘルトくんの魂の波形が90パーセントの類似を見せている」


 衝撃の事実ラッシュすぎるだろ。


「ジェミニ現象を知ってるか?」

「あ、それは聞いたことある」


 魔術師のハルカ姉貴が言ってた。

 ひとつの魂が二つに分かれて二人の人間が生まれる事がある。同じ前世を共有する二人は類似する特徴をいくつか持っているのだそうだ。それをジェミニ現象という。


「「あー……」」


 ドナさんとジャネタさんが納得したらしい。


「そもそもシヴァとは破壊・創造・再生の神。きっと『創造と再生』の性質をシャムくんが、『破壊』の性質をヘルトくんが継承したのだろうね。シャムくんの第二段階の『領域の再構築』と言うのは、『創造と再生』が拮抗しあった結果の産物なんじゃないかな」


 情報量にだけは気をつけろよ。


「破壊の性質は?」

「ヘルトくんの暴の部分」


 ナタリーはパンチを打つ真似をしてみせた。


「おら。破壊神だわ。死なすぞ創造神」

「創造神の方が立場上そうだがー?? 俺伝承にもなってるし」

「伝承でのシヴァは破壊神だが? お? どうしたクソボケ創造神。死に場所は左折して5キロメートル先だぞ」

「左折して5キロメートル先は便所じゃねーか殴るぞ!」

「お前なんで『殺す』とか言わないの」

「おや? 人さらいのアジトで『死んでくれよ』って言ったのを聞いていらっしゃらない??」

「こんな時にも喧嘩なんだから……」

「同属嫌悪レベル100かな?」


 同属っつーか同一人物っつーか……。

 俺こいつと前世一緒なの全然普通にイヤすぎる。

これは紛う事なき飛沫だね。

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