ヘルトの「へ」は変態の「へ」
ダンジョンという物なのかの成り立ちはとても謎に包まれている。
2000年前の文献には既に登場しており、それがどういう意図で作り出された物なのか、そもそもこれは自然に発生するのかそれとも人為的に建造される物なのか、という事すらわからない。
何故階層が存在し、何故魔獣が現れるのか。
何故魔獣が現れない階層があるのか。
何もわかっていない。
巨大な墓説、縮小された異世界説、箱船説、古代の実験場説。実にいろいろな仮説が立てられている。
全部ありえて、全部ありえない。
まるであやふやな存在であるから、遺跡調査というクエストが冒険者に回される。
冒険者は力仕事が得意で戦闘力も高い。
少し知恵を教えてやれば調査員として優秀である。
冒険者は頼られた気がして遺跡調査の際は真面目になる。
「うべぇ」
べちゃべちゃになり、俺達は【異様の花園】から出た。
調査報告の為の手帳は革の袋の中に入れていて無事。
ドナさんはとても喜んでいた。
「はやく宿屋に帰ろう」
俺達は一度宿屋に戻ってシャワーを浴び、服を着替えてから冒険者ギルドに向かった。
ギルドの受付嬢は俺からの報告を聞いた。
「魔力の濃度が高くなっているから、あと二、三日もすれば階層が増えるかもしれないっす。あと、魔獣も増えていたので、スタンピードに警戒してください、と」
「了解しました。こちら報酬の90万タータです」
ウッヒョ~! 【異様の花園】の報酬たっけ~!
タールミナトにあったダンジョンの遺跡調査報酬50万だぜ!? 驚くなよ、プラス40万タータ! あの、旅が終わったらこの町に永住したいっす。わら。
「俺は10万でいーや。あとみんなで分けてね」
「いいのか」
ヘルトが尋ねて来る。
「いいのいいの。俺金つかわねーし。定期的にクエスト熟してきゃそれなりに金なんて貯まるんだよ。何の心配してんだよバカ」
「しかし……」
4万ほど頂戴して6万タータ。この調子でばばばっとクエストを熟していけば来月も60万は稼げるか。
「よしっ! じゃあ此処からは自由行動にしよう! ここを出るのは明日にしよう! 俺もえちえち獣人のいるえちえちなお店に行くわ」
「へんたい!」
散れ散れ! とみんなを散らしてからクエストを一気に受ける。薬草採取だとか、ドブさらいだとか、猪狩りだとか、熊討伐だとか、作成クエストだとか。全部完了した頃には午後8時になっていた。
「へへ、へ……30万タータ……ゲット……」
口座に入れて……宿屋に帰る。
シャワーを浴びてから食堂で飯を食おうと思っていたが、疲れの余りか洗面所で眠ってしまった。
起きたら昨日一日中鳴り響いていた頭痛は止んでいた。
「う、くっせー……」
シャワーを浴びて部屋を出る。
「おっ! 兄ちゃん! 全裸たァいい度胸だね!」
「どうも。警察には通報しないでいただきたい」
ロビーにあるソファに腰を下ろす。
そうしていると、ヘルトが現れる。
──服を着ていなかった。
「変態っ!?」
「鏡を見てから言え」
「兄ちゃん達『コレ』かい」
店主が小指を立てた。
俺達は顔を見合わせて、
「「いえ、『コレ』です」」
親指を下に向けた。
しばらくしてナンちゃんがマントになって飛びついてきたので、裸なのはヘルトだけとなる。
ヘルトの「へ」は変態の「へ」だな。コリャ。
「うわ! なんだ男ども!」
「シャムくんも裸かい?」
「服がなかったので」
「ナンで2セットしかもってないんだろうねぇ」
「昨日のパンツ穿きなよ」
ドナさんの言葉にヘルトが胸を張って答える。
「ふん。昨日のパンツは穿かん主義だ」
「俺も」
「男ってみんなバカなんだろうねぇ」
ナタリーが言う。テメェも前まで男だったろうが。




