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ナンちゃ~ん!

 馬車に揺られながらナンちゃんをブラッシングしていると、ヘルトが「専用の移動手段が欲しいな」等と抜かした。


「賛成! 私も欲しい!」

「私はどっちでもいいよ」

「俺にはナンちゃんがいるからねぇ」

「モォ」


 ナンちゃんはとても嬉しいいうような顔で俺を見上げた。


「ねー」

「ボクが思うに、あと2ヶ月もすればナンちゃんも成体に進化するね。おそらくだけど、とても大きくなると思う。船も引っ張れるのでは無いかな」

「はえー! でっかくなるんだなあ、ナンちゃん」


 ナンちゃんの排泄どうしよ、と少し焦ったが心配は無いらしい。というのも、シェイプシフターは総じて成体がでけェらしいのだ。

 なんでも、変幻自在という特製から成長性のタガが外れてしまうらしくて、もうそういう生き物なのだそう。


「じゃあ、ナンちゃんに船引っ張ってもらおうかな」

「モォ」


「任せなさい!」と言っているらしい。

 頼もしいお嬢さんだこと。


「しかしそうなると費用がなあ……材料費だとか誰に頼むかでいろいろ変わるぜ」

「そこは君たち戦力組がやるのさ」


 ナタリーが俺とヘルトを交互に指差した。


「俺達が?」

「君は部品を作成して、ヘルトくんがそれを組み立てる。ボクは設計図を作ろう」

「いや……いくら3人が凄かろうと専門外の人間の独断はだいたい失敗するわよ……」


 ジャネタさんがずばりと言った。そうだそうだ! もっと言ってやれ!


「ブレニキアに船大工とかいないの?」


 ドナさんが言う。


「いないわねぇ」

「ドナさんち造船で儲けてたでしょ」

「あっ、私かあ」


 自分の実家の家業を忘れるの逆に凄いだろ。


「今度お願いしに行く?」

「そうだね、ナンちゃんが進化したらそのサイズを見て設計を頼みに行こうか」

「最悪ナンちゃんにはめちゃくちゃ重い船を引かせよう」

「モォ!」


 ナンちゃんは「なんでも引いちゃる」と息巻いていた。


 そうして話をしていると、リーデンの丘に到着した。

 日が暮れたので近くの宿屋に泊まることになった。


 明日の計画を立てる。

 朝日を撮影したら金の心配も出てきたので冒険者ギルトに顔を出してみる事にしよう。ここら辺だと第67拠点があるから顔を出そう。


「あっ、そうだ。ナタリー」

「なんだい? シャムくん」

「先日借りた5万タータ。ありがとう」

「結局これは何に使ったんだったか」


 ナタリーに金を返すと、首を傾げた。


「とても恥ずかしい話だけれど……じ、自慢みたいな……」

「自慢?」

「ああ。土産の量が量だから、兄に心配されるんじゃ無いかと思って、だから『大丈夫なのか』って聞かれたらその5万を見せびらかして、『ポケットマネーが5万もあるぜー』って安心させようと……」


 ナタリーは吹き出して、俺の頭をぽんぽんと叩いた。


「ラムもいい弟を持ったねェ!」

「やめろよ頭撫でるの! 俺はあんたの子供じゃねェぞ!」

「本当にいい弟だよ。不器用だけど、とことん優しい」


 なんだこの……! なんだ、この兄感は……!

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