えっち!!
母親を娘さんに会わせると、娘さんはとても喜んだ。
これはなんだかいいことをした様な気分になる。
「ありがとう、シャムお兄ちゃん」
「いいんだよ。君の笑顔がまた見れて良かった」
頭を撫でると、少しだけ顔を赤くさせてしまった。
しまった。異性の年下への対応として不正解だったか。
相手はまだ8つ程とは言え、異性だったな。
俺は話を反らすように、顔をあげた。
「そうだ、ふたりともこれを持っていて」
「これは……?」
「これは『魂見の指輪』って言って、名前が彫ってある人間の生死の状態によって宝石の輝きが変わるんだ。問題なく生きてるって場合は青く光ってて、死にそうって場合は赤く点滅します。死んだって場合は真っ赤に光り輝く。冒険者で流行りのリング。俺が死んだらちょっとだけ悲しむとかして」
「縁起でもねェ事を」
「にゃはは」
それからしばらくお話をした。
娘さんはどうやら俺に惚れてしまったらしかった。
それは惚れというにはあまりにも荒削り……!
冒険者なんかに惚れるな……!
とは言いたいものの、傷つけるのもなんかなぁ。
「俺が既婚者になればいいのか!」
「いきなり叶わない望みを叫ぶな」
「何を考えていたんだろうねェ」
「叶わない望みじゃねェし。俺好きな人いるもん!」
「あの黒いオオカミ獣人ちゃんかい? 君は自分より背の高い人が好みらしいな。ラムに報告しなければ」
「義弟の性癖を報告されるラムさんの身にもなって」
ナタリーの狂気の発想にジャネタさんがツッコミを入れた。
そういえばジャネタさんの能力ってなんだっけ。
「ジャネタさんの能力ってなに!?」
「脈絡が無さすぎるね」
ドナさんに突っ込まれる。
「私の能力は……」
しゅるり、とジャネタさんが蛇になった。
「〈蛇〉……昔から蛇が好きだったから……」
「えっち!!」
「少しは発言を躊躇え」
獣人も好きだけど竜人とかの爬虫類に類似した人種も好きだから、あっ、あっ、やば、あっ、やばっ。やば、やばい。やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。やばっ、どうしよ、どうしよ、やばっ。
「丸呑みされたい……」
「きっっっ──……仲間内でそういう感情は禁物だよ、アヴィスくん」
「……それもそっか! じゃあやめよ!」
「感情に未練とかないタイプなのかい?」
「まぁそれはさておき!」
閑話休題。
「俺たち次の目的地に行きますわ! お勧めの絶景スポットとかありませんか?」
「おすすめですか? えっと……あっ、リーデンの丘にある湖が綺麗です」
「おーいいですね」
「朝日と水面は相性いいからね」
「じゃーそこ行きます!」
俺たちは出発することになった。
「あのっ……シャムお兄ちゃん……!」
「なんだい?」
「フラれたら、私に言って!」
「にゃはは、そうだねぇ。その時は頼むよ」
頭を撫でて、宿屋を出る。
「フラれる前提だったな」
「うるせェ」
「フラれたらあの娘に言うのかい?」
「煽らなきゃ気が済まない義姉とかイヤすぎます!」
「でもシャムくんはフラれなさそう」
ドナさんが言う。俺がフラれなさそうってさ。
「ナメないでいただきたい……俺は、そりゃあ人間にはモテるさ! でもね、人間にモテても意味がないんだ! 俺が好きなのは獣人で……加えて! 俺が好きなのは……」
──ちなみにパールさんの好きな男いるらしいよ
──曰く「面白くて優しくて情熱に満ちあふれた人」だって
「ングァッ!」
「アヴィスくん? どうして勝手にダメージ受けてるの?」
「この子の好きな人には好きな人がいてね」
「俺を殺したいのか……?」
「曰く! 面白くて優しくて情熱に満ちあふれた人」
「それアヴィスくんの事ではないの?」
「前2つは価値観の違いもあるが、『情熱』に関していえば、俺は……ないっ! 情熱なんて生まれてこの方持ち合わせたことがないっ!!」
「こういう子なんだ。所謂バカ」
バカで結構!
「でも15歳って考えたらみんなこんなもんじゃない?」
ドナさんが言う。ドナータの姉貴……!
「アヴィスくん15歳なの!?」
「パーティ最年少だぜー。ガハハ俺はすごいだぜー」
「だからご飯の時とか君だけオレンジジュースだったんだ」
「酒に関しちゃ18歳もダメなんだけどね。なんかドナさんとヘルト、2人して飲んでてビビったよね」
「へー……2人とも18歳なんだ。ナタリーちゃんは何歳?」
「ボクは23歳。シャムくんのお兄さんと同い年」
「23歳……! 私が最年長!」
ジャネタさんは24歳らしいね。
「まぁ緩く楽しむパーティだから緩く楽しもうぜ」
「名前の初起案が〝栗の一団〟だもんね」
「あらかわいい」
そうなんす。だから〝標の一団〟って呼ばれる度に変にイキってるみたいでなんかめちゃくちゃ恥ずかしいんです。
コーンポタージュって名前がまずかわいい(o⌒∇⌒o)
でもあんまり美味しくないので好きくないです




