よしそれじゃあ!
夕飯の時になって、みんなで食卓を囲む。
フォークとナイフだと震える手を誤魔化せて良いな。
兄もナタリーもようやく笑顔が見えてきて、子供達も料理を口に運びながら笑ってる。
ヘルトとジャネタさんはナンちゃんに果物をあげていて、ドナさんは子供達と花言葉クイズなんかやってる。
みんながみんな独りじゃない場所だ。ここ、居心地良いな。
「兄ちゃん」
俺は焼いたキノコを口に運びながら、言う。
「どうした、シャム」
「俺、次の夢も見つけちまった」
「へぇ、そりゃすごい」
「やりたいことが湯水の様に浮かび上がってきて忙しいったらありゃしないぜ」
世界中を冒険する。世界一の朝日を見つける。本を出す。そしたら、まだ、いろいろ浮かんで来る。
どうしよう、やりたいことしかない。
「お前らしいよ」
「そうかい?」
「ああ。お前はいつも名にかしら夢を語る男だった」
兄は優しいからお世辞かもしれないけれど、その言葉はなんだかとてもじんと来た。
「夜が長けりゃそれでいい」
その夜。
「よし、行くぞ」
「フア!? まだ草木も眠る丑三つ時よ!」
ジャネタさんが小さく叫ぶ。
「調べたら朝日の絶景ポイントがあるらしい。そこに行きたい」
「モォ」
「シャムくんはいつも自由気ままって感じだね~! 私は良いけど、ヘルトくんとナタリーさんは?」
「俺は構わん」
「ボクも構わないよ。傾向的に君はみんなが居ない頃にコッソリ出かけるのが好きだ、というのは予測済み! ヤることヤっといた!」
「義弟に言うことではねェよな。まぁいいか! ナンちゃんは行けるか?」
「モォ」
行けるらしい。
「じゃあ後は俺だけだが……」
木材を出して、大きめの看板をクラフトする。そこにペンキと筆を出す。ビンギス語で「世界に行ってくる」と書き記し、突き立てる。
「これでよし」
「それなんなんだ」
「俺のおまじないだよ。そんなのもわかんないの?」
「おう。くたばれや」
「シャムくんはおまじないというのがたいへん好きなんだね。おまじないどのくらい好きなの?」
「住みます芸人と同じくらい」
「あんまり好きじゃねェんじゃん」
「アヴィスくん住みます芸人あんまり好きじゃないのね」
住みます芸人は本能で嫌っている気がする。もちろん住みます芸人が好きな人もいるだろうけど。俺はあんまりかな。
「っていうかこの時間馬車出てないけどどうすんの!」
「そういえばそうだ」
「まあ、たまには旅人らしく歩こうじゃない」
「俺達は、職業冒険者だ」
「急に意見がきちィ」
「まぁ、朝の散歩と思えば心地良いかな」
「頑張れば頑張るほど人生が輝くのよね」
度重なる精神的ストレスにより執筆スピードがかなり落ちてます
なんかすっげー最近嫌なこと重なるけどもしかして今、夏?




