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世界に

タイトルがカルトっぽくてガチキショいのでタイトル変えます。


希望の世界 → 狼蛾の世界

 そういえば夜はとても寒いから眠くなるのかな、等とおかしなことを考えながら、手帳に銃の扱い方について書き記していく。


 時折ナタリーに情報を補強してもらいながら。


 しかもイラスト付き。俺はイラスト描けないのでドナさんに描いてもらった。ドナさんは銃も人も描ける天才Girl……。


 写真も付けて、さらにわかりやすく。撮影者は「カメラの扱いには自信がある」と豪語していたヘルト。


 それを書き終えてから。


 俺は新たに便箋を出した。故郷南グーレのビンギス語で「世界に行ってくる」と書きなぐる。


 翌朝。


 俺達は宿屋を出ると真っすぐにギルドを出た。パールのパーティ〝獅子の一団〟はまだ誰も来ていない。


「しばらく長めの旅に出ようかなあ」

「ほんとう?」


 ギルドの酒場にて、林檎をかじりながら言う。


「確認したら俺達全員Cランクに上がれるらしいから、上がってさ。ランクアップが完了したら、まずグーレの旅をすることにしよう」

「ふむ。手始めにグーレのありとあらゆる名所を巡る訳だ」

「冒険もする。とうとう遺跡なんかの調査もする」

「年会費もあるからね!」

「そうそう」

「ランクアップだけなら今日の内に旅立てそうだ」

「そうなの?」

「筆記の試験がメインだからね。あとは遺跡内での応急処置とか、動き方とかの講習を受ける。それが終わったら晴れてCランク」

「私は?」

「ジャネタさんはブレニキアの方でもう2年前にはCランクになってるから、現状維持・オア・ランクダウンの試験を受けて終わり。問題はヘルトだよ」

「なに、俺か」

「お前しかダメじゃないんだぜ」

「ならば仕方がない」

「私も不安だから色々教えてほしいな~」

「ドナさんも……そうだね、そうしよう。ナタリーは一番ダメそうなモンスターに色々教えてほしい。ジャネタさんもおさらいしとく? ドナさんと一緒に」

「わかった!」


 話がまとまって、朝食も食い終え、勉強会も終えると12時を過ぎた頃だった。俺達は試験と講習を終えて、ランクはCにアップ。ジャネタさんは現状維持。


「これで旅に出れるね、挨拶しに回る?」

「いや、出る」

「いいの? 〝英雄の夜明け〟の人達とか。パールちゃんのパーティとか」

「いいっ! いいったらいい!」

「頑固なんだから。まぁいいじゃないかドナちゃん。この子は過去から学習できない呪いにかかってるのさ」

「ただ伝えておきたい人もいる。俺の私情に巻き込ませてくれっ! 入りたてのジャネタさんには悪いけど、俺の家庭の事情に巻き込むっ! ……旅に出るなら、心機一転、やり残したことを綺麗さっぱり無くしてから出て行きたいっ!」


 ジャネタさんは頷いた。


「君を巻き込んだ後だもん。嫌とは言えないよ」

「感謝する」

「これは多少覚悟決めた顔……!」

「ナタリー、キサマの男に会いに行く」


 俺はギルドの掲示板に便箋を貼付けてから、馬車乗り場に向かった。道中、ちびちび貯めていた貯金を全額下ろして王都名物の「ふわとろ魚まんじゅう」という魚型のまんじゅうを気が狂うほど買う。


「孤児院と学校合わせて70人」


 ナタリーが言い、20コ入りを2つ追加で買ってくれた。


「後で返す!」

「いいよ。そのガチガチに緊張した顔でもうお釣りが出てるんだこっちは」

「あとはいろいろな本を買おう……小説から絵本まで、図鑑も……」


 本当に全財産を使い切った。


「な、ナタリー……1万札を……! 1万札を5枚貸してくれっ!」

「君も悪い男だね。義姉から5万も頂戴するなんて」


 土産を障壁で包んでいたナタリーは笑いながら1万タータ紙幣を5枚貸してくれた。


「衣服も防具も全員分綺麗にした……『それなりに成功している冒険者』に見えるな……! よしっ! よしよしよし! 全部がうまく行っているぞーっ! フハハハハハ!!」


 馬車の中で笑う。緊張すると笑う癖がある。

 ……この癖は直すべきだろうか。気に入っているのだが。


「髪の毛ボサボサだぞ、バカタレ」

「むむっ」


 ヘルトに頭を直される。

 直し終わると「世話が焼ける」と言い、ヘルトは隣に腰を下ろした。



 ◆



「あっ、シャムさんがまた変なことしてるらしいよ、リーダー」



 3日に渡るクエストを終えてギルドに帰ってくると、アデルモくんがそう言って、ギルドの掲示板に指を差した。


 そこには、便箋が貼付けてあり、彼の豪快なビンギス語で「世界に行ってくる」とだけかかれていた。炎のような真っ赤な文字。


「今回は何をするんすかね」

「ふふ」

「リーダー?」

「面白いね、シャム」

「変な人ってだけっすけどね」

「面白いし、優しいし、情熱家。ずっと心が燃えたがってたんだろうね」


 私もそうしよう。前みたいに。


「追うぞ……っ! 別の進み方でっ!」


 パーティメンバーを向く。此処に集っていたのはみんな何処かのタイミングで彼に助けられたことのある奴ばかり。アデルモくんもそのひとり。


 みんな彼に憧れてる。彼に「参ったか」を言いたい奴等ばかり。彼が自分にむけて闘志を燃やしてくれるのを夢に見る奴等ばかり。


 やることは決まっている。

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