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やめろ

 ……え? え、なんでいんの?


 いやいちゃダメって事はないんだけどさ。いちゃダメって事はないけど、なんでいんの?


 ……ふたりきり? こんな夜中に? ふたりきり?


 いや、いや、だって……なぁ。まぁ、いやぁ、うーん。まぁ、そういうこともあるか。同年代だしね。惚れることもあるか。


 しょうがねェー奴等だな! ばっきゃろー!


 まぁ、アデルモは悪い奴ではないしな。クソドカスヤンキーではあるけど。それだっていまはもう昔の話かもしんねーし。


 たとえ今もクソドカスヤンキーだったとしても浮気性ある奴よりはいいだろ。


「久しぶりじゃ~ん!」


 俺は至って冷静に、紳士的に努めることにした。だってその方がかっこいいから。同じない方がかっこいいから。


「今までなにしてたの! 冒険者になったんだな!」

「ちょくちょく言ってたでしょ」

「久しぶり……」


 少しだけ低い声。自信がないような、そんな発声。


「シャム」

「おう! 久しぶり! いきなり村出ちゃって挨拶も出来なかったからこうして会えて実はうれしいぜ。ちょっと気まずくて避けちゃっててごめんね」

「いいよ、いいよ。会いたいってのも……うん。我が儘だったかな……」

「そんなことないさ! 俺ら友達だろ」


 パールは少し気まずそうにしている。そらそうよ。気まずいだろうよ。逢瀬に異性の幼馴染が現れたら俺でも気まずい。加虐性を持ったエンカウント!?


「そうかな」

「そうさ! 俺たち友達さ! 一緒に煙草も隠れて吸っただろ?」

「ふふ、あの時シャム前髪長かったから、マッチで燃やしたよね」

「恥ずかしいから思い出させんな」

「ふふ、ごめん」


 これが「異性の幼馴染・親友」だッ! 食らえ……! 今夜は誰かに慰めて欲しいナ。


「……じゃあ俺もう行くわ」

「もう?」

「行く場所あるから」

「あっ……そっか、ごめん」


 じゃあまたね! と言って、俺は歩き出そうと、一歩。と、その時になって。空から女が降ってきた。


「キャンッ!」


 俺は前のめりに倒れて、地面とキス。

 俺の上には女が倒れていて、無理矢理起き上がる。


「シャム、大丈夫!?」

「あんた目を離すとすぐ面白いことになるね」

「う、うるせェっ! お助け~!」


 ストン、と欄干にヘルトが降りてきて、女をひょいとつまみ上げた。


「ヘルト!? もしかしてお前の『コレ』!?」


 小指を立てる。


「違う」

「じゃあ何故ここに。関係があるとしたらこの女だろ」

「お前を尾行していた」


 それはもう、本当に何故……?


「眠れないとお前のことを思い出す」

「きも。わら。ヒト科嫌いやから好きになられても困る」

「くたばれ。好意じゃない。お前に好意はない」


 俺のこと1ミリも好きじゃないらしい。それはそれでちょっとショック。あっ、あんまりショックでもないわ。


「死んでもいいなら俺としても死にたいが……まずはこの女だな。お前こいつをどう思う?」

「どうにもいけ好かない臭いがする」

「ガチ?」


 俺は獣人以外の匂いはそんなに利かないからなあ。ヘルトはぐるるると威嚇してる。


「屋根走ってたんすかねぇ」

「何かから逃げてるのかな……? シャム、とりあえず警察に連れていったらどうかな?」


 パールが言う。


「そうだねェ」


 女は気絶している。


「起きないうちに連れていくか」

「任せろ。少し持つのを変われ。道中起きて暴れないようにする」


 ヘルトが言うから、変わってやる。「ちょっと縛ったりするのかな?」と思っていると、ヘルトは女の頭に両手を添えてグンと回した。


 ──ぼっきり。


「うわあああああ! なにしてんだテメェっ!?」

「道中起きて暴れないようにした」

「望んでたのは永眠じゃねェんだわ! ちょっと縛ったりするくらいのを……おま、お前本当に! 本当に! お前! 命の重みを知れ……! バカタレ……! 冒険者は死んでもいいけどお前一般人だったらどうすんだお前! びっくり箱を期待して開けたら遺骨が込められた骨箱だったみたいな嫌な衝撃だわ! 呪われるわ! 張っ倒すぞお前!」


 俺たちはすぐに治療院のドアを叩いた。寝ていた治癒師を起こして見てもらった。さすがに怖くて仲間がヒトをあやめたかもしれないとは言い出せなかった。幸い死んではおらず死ぬ寸前だった。


「死ぬ寸前だったじゃねェかバカタレ……!」

「ふむ。力は抑えたつもりだったが……ヒトというのは脆いな」

「お前はヒトじゃないんか……!?」


 こいつがもしいつかヒトを殺してしまったら、俺はどうすればいいだろう。……いまのところ責任を取ってこいつを殺した後自らも切腹くらいしか出来ることがない。リーダーとして……こいつの主として──共に死のう。


「15歳のガキに責任をとらせるな」

「18歳だ」

「ヒトとして! 生きろ! 年齢バトルじゃねンだわ!」


 こいつがヒトを殺さないように制御してた食堂の店主が偉大すぎた。もしかしてこいつ暴力でしか制御できないのか?


 ……脳無しってもしかしてそういうこと?


 もしこいつの化け物みたいな性質のことを言ってたのだとしたらこいつは確かに脳無しだ……! ものすごく脳無しだ!


「次からは気をつけよう」

「次は頼まねェよ……!!」

「そうなのか。ショックだ」

「それ以上のショックをこの女は味わったんだよ……」


 こいつが〝人殺し〟でなく、〝英雄〟として輝ける様に……はやく冒険の旅に出ないと……こいつに命の尊さを教えないと……。


 15歳の脳で……18歳を制御しろ……!!

世界中のゴミをシャムに押し付けようと思っています

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