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タールミナト市民会館にて

 それから、俺達は街中を駆け巡りながら出会った魔獣群と戦った。負傷者はギルド案内で市民会館に運び込み、そこで負傷した銃使い達から銃弾をしこたま貰う事も出来た。


 負傷者の手当にあたっていたメリイさんが俺に告げる。


「残っている戦力は〝標の一団〟のみです」

「それマジ?」

「はい」


 ヘルトのパワーとナタリーの〈障壁〉は純粋に魔獣に対して攻撃の隙を与えない力ではあるし、ドナさんの〈精霊王〉は本当に精霊達が全力でドナさんを護っているしで、まぁ、結果的に死なないのだろう。


 疑問はある。


「俺の〈アドベンチャー〉で攻撃無効化したはずの冒険者まで負傷を!?」

「そこなんだ!」


 一人の冒険者が叫んだ。


「突如謎の男が現れたんだ!」

「俺のところにも現れた!」

「ああ! 俺のところにもだ!」

「そいつが剣を振るうとお前がかけてくれた攻撃無効化が解除されてしまったんだ!」

「そいつは……」


 いったいなんなんだ……?


 もしかしたら「付与を剥がす能力」のようなライクを持っている人型の魔獣でもいるのかもしれないな。


「人型魔獣なんてもんじゃねェ……ありゃ完全に人だ……! 人の言葉を話していた! 確かに『暴れる』と言っているのを聞いた!」

「つまりこのウェルスタンピードには何者かの関与があるという事か……?」

「とにかく」


 メリイさんは心配そうに上目遣いで言う。


「気をつけてください」

「メリイさんもね。その綺麗なお顔に傷なんかつけたらワイルドさが増しちゃうからね」

「気をつけます」

「じゃあね! ……あッッ! 獣人の皆さん! 俺めちゃくちゃ頑張って来るから! 帰ってきたら……ネ! 獣人チャン達の乳首の数とか数えたいナ! 利き乳首もしてみたいナ! 乳首ペロペロしたいナ! 宿屋『ギャクセイ』で待つからネ……!」

「「うるせェ! さっさと行け!」」


 獣人には嫌われているのかもしれなかった。


 ──俺は誰にも愛されない。


 ぽろぽろ涙を流しながら〈アドベンチャー〉の攻撃無効化を発動させてから、宣言する。


「我、〝標の一団〟リーダー、シャム・アヴィス! 再度出撃致す!」


 秘密のレシピで作成した爆弾を避難所までやって来ていた魔獣群に投げつけて落っこちた所で、鳥型魔獣の羽を飛ばす攻撃をロンダートでかわしながら、足元にあった爆弾の揺れ動く紐を正確に狙い撃つ。さすがに緊張するね。


「んで、ボーン」


 うん。この場にいる魔獣群は全滅だ。


 みんなは口々に「なんであんなやばい奴がいままでずっと隠れてたんだ」とか言ってる。マーカスが俺なんかよりもっともーっと凄いからに決まってるんだよなぁ。


 そうだ。


 ふとマーカスを思い出して市民会館の中を見渡す。


「〝英雄の夜明け〟のメンバーは?」

「へ?」

「〝英雄の夜明け〟のパーティは!? いつもこの街にいるだろ?」

「そういえば……見てません。実は〝標の一団〟が街の清掃クエストを始めたちょうどそのころにクエストから帰ってきていて」

「なんか怪しいぜあいつら」


 冒険者達が口々にマーカス達の悪口を言う。


「違う! あいつらは確かに糞みたいなアホで性格はボケナスだけど、誰かを傷付けるような事はしない。ただ、めちゃくちゃクソボケウンコカス野郎共ってだけだ。命の重さは知っている」


 つまり、何がどういうことだ。


「まだあのやり返しもやってないんだ……」


 死んでなきゃいいが。

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