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ウィレンタ村へ行こう!

 そして夜になって、眠っていたのだが、何かよろしくない夢を見て目を覚ました。父と母が目の前にいて、はらわたを溢れさせている。手足がまるで虫のようになっていて、ずっと俺に恨み言を言っていた。日が昇っても、月が沈んでも、それを何度繰り返しても、両親はずっと俺を恨んでいた。


「…………」


 そばで寝ていたナンちゃんを撫でながら、しばらく泣いた。


 日が昇るとギルドへ向かった。

 ドナさんは「遠出したい」と言っていた。


「遠出ったっていろいろあるしなぁ……遺跡調査とかはまだ出来ないよ。パーティ内に」

「まだ出来ないから、これ!」


 ドナさんは昨日のうちにコッソリ取っていたらしい用紙を取り出して俺達に見せた。


「幻のミナチの実の採取?」

「私は植物に詳しいでしょ?」

「んまぁそう、ですねぇ」

「ほら」


 あんた本位で考えちゃいけねぇな。でもまぁ、いいか。


「ミナチの実を知ってる!? シャムくん!!」

「うるさいって。知らないよ」

「えーっ! 遅れてる! ミナチの実はね、ダルークス神話に出てくる『ライクの根源』って言われている、神の実だよ! あのね、本当に根源というわけではなくてね、食べた人の細胞が活性化して魔力が一段階上の段階に進化するからそう言われるようになったんだ」

「ダルークス神話なら知ってるよ。確か西グーレの大昔の実話を元にした作り話だろ」

「正解寄りの不正解! ダルークス神話は東グーレだ!」


 ナタリーは俺のふくらはぎを蹴りながら言った。

 西も東も同じようなもんだろ。殴るぞ。


「それでミナチの実は一体何処へ?」

「東グーレのウィレンタという村だよ」

「じゃ、行くか」



 ◆



 馬車に揺られながら、東グーレへ向かう。


 タールミナトからウィレンタへはだいたい7時間ほどかかるため、すぐに出発する必要があった。


 馬車の中ではナタリーとドナさんが植物の談義をしていて俺は余った為、ギターになったナンちゃんで弾き語り他の乗客を喜ばせた。


 ウィレンタ村に到着するととてものどかな村だった。雀が鳴いていれば川のせせらぎに乗って此方まで流れてやってくる。


 木々も嬉しそうに陽にあたっている。村の奥には噴水が備わる公園も有るらしい。発展した村だなあ、という印象を受ける。


 こういうところで暮らしたい。


「ミナチの実は陽の光を一身に浴びることができる場所に成るらしい」

「陽の光を一身に……すると、あの山が怪しいね」


 ドナさんが指を差した。その先には岩肌が露出したアホみたいに尖っている山がある。おそらくそこにミナチの実が成っている。


「採取の前にご飯食べようよ。私お腹減っちゃった」

「いいね」


 そうして入った食堂にて。


「掃除もまともに出来ねェのか! この脳無しッ!」

「すいませんね」

「親もいねェ家もねェテメェを拾ってやった恩を仇で返しやがってボケッ! テメェなんぞ本当は野山で野垂れ死にするべきだったんだぞ!」

「ありがとうございます」


 めちゃくちゃいじめられてる奴がいた。


 黒髪黒目の年齢はおそらく18歳。すこしがっちりした体格をしている。どうやらその黒髪黒目が床掃除の為のブラシと床を破壊したらしい。見れば確かに床に穴があいていた。


「そうは言っても、床板が柔らかいのだから仕方有るまい」

「なんだとテメェ! いけしゃあしゃあと」

「床板が腐っていたんだろうな」

「このクソガキ!」


 店主とおぼしい男が拳を振り上げたところで慌てて仲裁に入る。


 が、間に合わず顔面に拳を受けてしまった。


「あっ……こりゃいけねェ」

「客にまで手を出してとんだ暴力ジジイだ」

「アァ!?」


 鼻血をぼたぼた垂らしながら宥める。


「落ち着いて、落ち着いて。床に穴が空いてしまったんですね」

「ああ。しかし困った。床下からネズミが入ってきてしまう」

「ならご主人、あんたは運がいい。いらない木箱なんかはございませんか。俺がパパパッと直して! 終了! させてさしあげよう」

「本当か! するってぇと、なにかい、兄ちゃん作成師かい」

「まさしく」


 店主は喜んで木箱を持ってきた。俺はそれを穴の上に置いて、〈クラフト〉を発動させる。すると、パキパキと床板が埋まっていく。


「完璧だね」

「おお。すごい能力だな」


 黒髪黒目が覗き込んできた。背が高ェ!


「あんたもあんただ。黒髪さん。ちょっとふてぶてしいよ。少なからず『店の備品』を破壊した事は本当なんだし、なんなら店も壊してるんだよ。すこしは反省の色ってのを出さないと」

「ふむ。それもそうか。ジジイ、悪かった」


 謝る気なんてないんすかね~。


「もういいよ……」

「もういいらしい」


 彼は此方にブイサインをしてきた。


「おっ、社会不適合者?」

「なんて事を言うか。作成師キサマ」

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