入られてる
そういえばやくざ主人公にぼこぼこにされたのに強くならなかったね。多分主人公に明確な殺意があったからだね。
その後、飯を食い、その日は解散となった。この街に来たばかりのドナさんと機関を追い出されて塒のないクソボケウンチアホアホバカタレクソ義姉ことナタリーは俺と同じ宿屋に泊まった。
「此処が人糞と小便で塗れたって宿屋か~! 案外綺麗だね! シャムくんの部屋は此処かな!?」
ドナさんがとんでもない事を言う。おそらく……というか絶対……多重債務者が泊まりに来てやくざが荒らしていった、という話のことだろう。
「……あのあと『遺族』が来て改装費用を出して行ったからね。人の部屋に勝手に入ってくるなバカタレ」
「ちょっと待って遺族?」
「うん遺族」
「……遺族………………あっ……」
「オオ! 君の部屋、獣人の臭いが強いね! 連れ込んでるのかい!?」
「ん? ……そういえば」
ナタリーの言う通り、俺の借りている部屋の中に獣人のいい匂いが残っている。クンクン……クンクン……。
「年齢は15歳……イヌ科系獣人……ふむ」
ベッドの下から毛を拾う。
「体毛は黒……」
ナメる。
「性別は女性……」
ナタリーを見る。ものすごく気持ち悪いものを見る目を向けてきた。なんだかよくわからないが俺に推理で負けたのが悔しいのかしら。俺のことを馬鹿だと見くびるなよ。俺は脳内に獣人データベースがある。
「なんだよ。義弟の勇姿だぜ、暖かい目で見ろよ」
「だってそれさっきまでベッドの下に……まぁいいか。その毛の持ち主は君の知り合いか?」
「知り合い? 俺の知り合いかだって?」
脳内の獣人データベースを用意する。「15歳」「イヌ科系獣人」「体毛は黒」「女性」という条件に合致する者を探す。
……見つけた。見つけたというより、あいつしかいない。
「どうしたんだい?」
「入られてる……」
無論、パールである。身長は……体臭の残り方からしておそらく178センチ程。体重は65キロ……。
「幼馴染だ」
「パールとかいうコか」
ナタリーはパールも知っていたらしい。接触してなきゃいいな……接触してそうだな。接触してたら叩くか。
「どうやって入ったんだろ。鍵は俺が持ってるのに」
「鍵に無理矢理開けた跡はないね。合い鍵を貰ったんだろう」
「うーむ」
ベッドに腰を降ろしてみる。ふと、「沈み」を感じた。ベッドに体臭。毛がついている。……裸で此処で寝た? ……何故?
「天使の微笑みか悪魔の罠か……」
「シャムくんキモいね」
「シッ」
聴こえてんだよバカタレ。
「此処にパールが裸で寝転んだ跡がある~!」
「義弟の変態性はキツいね。うん! 見るに堪えない!」
しかし……。
「何故わざわざ俺の部屋で裸になって寝転んだりしたのだろう」
「そういう趣味が有るんじゃないのかい? 好きな男の部屋で裸で寝転ぶ趣味……だいぶ変だが君の幼馴染と言われれば納得できる」
「変な寝取られみたいな奴だったらどうしよう……俺の方が先に好きだったのをいいことにこの部屋で男といろいろなことをしていたらどうしよう」
ドクン!
心臓に痛み──走るッ!
「あいつは俺が『匂い』と『体毛』さえ知っていれば自分にたどり着くだろうという過去の経験から来る知識があるから、それを使われたんだ~! ピギィッ!」
「もしそうだとして君よりカッコイイ男といえばラムくらいだが」
「じゃあ兄さんなんじゃねーの?」
「もしそうなら……ボクは彼を殺してボクも死ぬが……」
「お前にその資格だけはないだろ」
俺が人間に性的興奮を覚えるタイプの異常性癖だったらお前多分それなりにやばかったじゃねぇの、というところで、ふと枕の下に何かが有るのを感触で発見。これは……小さなロケットペンダントだ。これ写真入れられるんだよな……。寝取られ写真入りだった場合俺自殺するぞ。
「いっせーので見るぞ」
「ボクは見ないが」
「いっせーの……せ!」
なにも入ってない!!!!!!!!!!
「よかったじゃない」
「でも何故ベッドの下にこんなペンダントが? 忘れていったのかなあ」
いろいろな想像をして、心の中に人間嫌悪の感情が沸き上がる。まだ見ぬ強敵「面白くて優しくて情熱に満ちあふれた人」をこの手で殴り殺したかった。
でもそうだな……いくら性格が悪かろうがパールが好きになった人だもんな。殺しちゃダメだよ。当たり前だけど。面白くなれなくて優しくもなくて情熱もない俺が悪いんだから。
「幸せならオッケー!! 死なすぞ!!」
「即座に矛盾するの好きだね」
キャラクター紹介001
シャム・アヴィス
戦闘力:6,100
ライク:クラフト
第一段階:作成
イメージ曲:NONA REEVES「Disco Amigo」




