プロローグ
MEMENTO MORI
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ーあるところに無があった。
無は二つの相反する存在、「生」と「死」を生み出した。
「生」と「死」は神格を持ち、自我もあった。
二神共、まるで人間のように長い時を暮らした。
時に、それぞれの名前を付け合ったりもした。
「生」は「死」に「ハル」と名づけ、「死」は「生」に「フィーネ」と名づけた。
だが、結局は何もすることがなく、いつも退屈していた。
ある時、フィーネが自分が生命を創り出すことが出来るということに気づいた。
フィーネは人間を創り出し、生命神と呼ばれる存在になったのである。
そしてハルは、、、その生命を殺すことが出来ると気づいた。
つまり、死神である。
そしてその生命を殺した後の死骸を見て初めて物質というものを知る。
2人は死骸を積み、大地を創り、そこに生命を創り出した。
多くなりすぎた生命をハルが殺すことで均衡を保った。
生命は地表に広がりハルは生命全ての敵である「死」そのものであるため、フィーネ以外の全てから嫌われていた。
そういった敵意がハルの心を蝕んでいったのだろう。
人間が生まれ文明が発達した頃、自暴自棄になっていたハルは誤って自身を殺してしまった。
皮肉なことに、死神は自身が司る、「死」に抗えなかったのだ。
フィーネはひどく悲しんだ。
そしてフィーネはハルの魂のかけらの泡を集め、適当な体を見つけてきて、その泡を込めた。
ハルは地の上に復活した。
でも、その代償として記憶を失った。