入学
「かず!起きないと遅刻するよ!」
「まだ6時半、、、」
「もう6時半だよ?今日から制服なんだから早めに起きて着替えなきゃ」
つい先月、6年間通った小学校を卒業した。某ウイルスのせいでかなり短縮された卒業式だったけど意外といい思い出になっている。
「ご飯なに?」
「いつものよ」
我が家は健康にいいからと毎朝納豆ご飯を食べている。小学校の3年生の頃から毎朝納豆なので正直飽きている自分もいるが、長期休みのときはパンになるので、納豆は久しぶりに食べる。某ウイルスの影響で入学式に来れない親戚用に写真を撮った時を除けば初めて着る制服に身を通して配布されたカバンを持ってリビングに向かう。
「ほら、早く食べなさい。あきらくんと一緒に行くんでしょ」
あきらは僕の親友だ。家は特別近くもないが、昔から気が置けないやつだ。なんで仲良くなったのかはよく覚えてないけど気づけば側に居たそんなやつだ。
「うん。行くよ。堤防のとこで待ち合わせしてる」
「じゃあ、待たせないようにしなきゃね」
「分かってるよ」
ご飯を食べ終え、身支度を済ませて家を出る。
「行ってきます」
「いってらっしゃぁい!後で見に行くからねぇ」
そんな言葉をあとに、僕の入学を歓迎するように吹く爽やかな春風を受け待ち合わせの場所に向かう。
「お!かずーおはよー!」
「きらちゃんもおはよー、、なんかお互い制服やと中学生って感じするな」
「なー」
2人で他愛もない話をしながら僕らが入学する学校、青野中学校に着いた。初めて来た場所では無いのに異様な緊張感を感じた。今日からここで新たな生活が始まるのかと思うとワクワクした。
「じゃあ、クラス見に行こうぜ!」
きらちゃんがそう言った
「そうやね。一緒だといいね」
そんなこんなでクラス分けを見に中庭へ向かう。歩いていると先輩達が教室の窓から身を乗り出しこちらを見ているのが分かる。
「先輩達こっち見てんな」
きらちゃんがニヤニヤしながら僕の方を向いてきた。
「ね。ちょっと恥ずかしいわ」
「恥ずかしいってまじかよ、こんなので恥ずかしがってたら入場のときお前やばいんじゃね?」
ちょっとムカついたので脇腹を小突くときらちゃんは「ごめんって」と言い肩を組んできた。
「ほら、これじゃね?クラス分けの表、えーと俺は、、、4組だわ」
「へー。俺はと、あれ俺も4組や」
「まじか!やったな!てことで今年もよろしくな」
「うん、よろしく」
お互いに喜びながら書いてあった教室の場所に向かう。教室に入ると座席表があり、指定された席に座る。しばらくすると担任の先生が入ってきて簡単なホームルームが始まった。
「1年間君たちの担任をします。よろしくお願いします。はいそれで早速なんですけど、時間が無いので早速体育館に行って入場してもらいます。廊下に並んでくださーい」
1時間後、、、、
「これで今日は終わりです。明日からは今日と同じ時間に登校して、今の席に座って待っててください。はい、それでは起立、気をつけ、さようなら」
「「さようなら!!」」
長く感じた入学式が終わった。きらちゃんの方を見るともう友達を作ったみたいだった。僕は自分で話しかけにいくのが苦手だから友達を作るのは今日は無理そうだ。そんなことを考えているときらちゃんが会話を終えこちらに向かってきた。
「帰ろうぜ!」
「そうだね。帰ろう」
そう言い、教室を出た。3年間頑張ろう。
Episode「入学」