第20話 御前会議
私は、御前会議に呼ばれた。
そして、王や諸侯を前に、これまでのことと、今回の戦争で私が敵国を撃退した詳細について話をした。
「すると、世界的大干ばつで飢饉が起きている中、井戸を堀り、雨を降らし我が国を救った救国の大聖女は貴殿であったということなのか」
「はい」
「どうして正体を隠したのだ」
「それは精霊神がそうするようにと言われました」
「なんと! 精霊神と話せるのか」
「はい」
王と諸侯は驚いたように顔を見合わせた。
「では、精霊神の言いつけを守ったということなのか」
「はい」
「それが今回、正体を明かしたのはどういう理由だ? 精霊神のお告げなのか」
「それは、僕が、彼女の仮面を取ったからです」
エドワードが言った。
座がどよめいた。
「エドワード王子が精霊神のお告げを破ったということか」
「まさか、我が国にそのタタリがあるでは」
「それはないと思います」
私はきっぱりと言った。
「精霊神はそんなことは気にしません。それに父、いえ、精霊神は私がエドワード王子を愛することを認めて下さいました。今回の戦いに参加したのもエドワード王子の身を案じてのことです。エドワード王子が私にしたことでこの国に災いが起きることはありません」
「そう言えば、貴殿はエドワード王子と交わったというのに神通力を失っていないではないか」
私は真っ赤になった。
「どういう理由だ」
「知りません。でも精霊神は、愛する者のためという気持ちがさらに私の力を強めるだろうとも言っていました」
「なんだと、エドワードと愛し合ったことで力が増しただと」
王が腰を浮かせて大きな声で言った。
「まったく、なんていうことだ」
「ローザ殿の事情は分かった。問題はこれからの外交と軍事です。アルテイド王国は撤退しましたが、兵を失ったわけではありません。ローザ殿の地震や竜巻に阻まれて退却しただけで、10万の兵士はまだおります。さらに世界的大干ばつにより他の国境を接している隣国も我が国の出方を見て、侵攻を狙っています」
「あのう。どうしてこの国だけが諸国から狙われているんですか」
私はつい素朴な疑問を訊いてしまった。
「それは、ローザ殿のされた行為に起因しているのですぞ。ああ、もちろん責めているのではなくて、称賛しているのですが」
「私のせい?」
「ご承知のように世界的な日照りで、干ばつが続いています。世界の民が飢えていると言ってもいいでしょう。ただ、我が国だけはローザ殿の力で水を得て、緑豊かで食料が豊富にあります。だから他国は軍事的に侵攻してでも我が国の水と食料を得たいのです」
「ということは、皆さん、水と食べ物が欲しいだけなの」
「この機会に領土を増やそうとか、手柄を立てて爵位をあげようとかの諸侯の陰謀や欲望などもありますが、極めて単純に言えば、ローザ殿の言われる通りです」
「水と食べ物を与えれば、戦争が起きなくなるの?」
「断言では出来ませんが、リスクは減ります」
「なら、私、他の国の皆さんの土地も緑にして水を出します」
「待って下さい。そんなことをしたら他国が力をつけて、逆に侵略してくるのでは」
「実施する前に、我が国に従属するように条約を結べばいい。自治権は認めるが、最終的な国家連合の盟主は我が国であり、侵略しないと国家間で取り決めをすればいい」
「しかし、それでも喉元すぎれば熱さを忘れるで、国が豊かになれば、もっと豊かにしたいと我が国に侵略をしてきた場合にはどうします」
「あのう。その時はお水を止めればいいだけじゃないでしょうか」
「どいうことですか」
「私が作った井戸は、私が命じれば一瞬で、全部お水を止めることができます」
座が静まり返った。
(えっ、私、何かヘマをやらかした? マズイこと言っちゃったのかしら)
「そんなことが可能なのか」
「はい」
「ここにいてもできるのか?」
「ええ」
「おおおおおおお」
皆がどよめいた。
「では、問題ありませんな」
「そうすると、我が国がこの世界の盟主となるということですか」
「それを束ねる王は、まさに王の中の王」
皆何だかすごく喜んでいるようでよかったと私は思った。
それからはとても忙しかった。
世界中を風に乗って飛び回り、
各地に井戸を堀り、ひび割れた大地を耕し、雨を降らせた。
順調に事は進んだ。
周辺の全ての国が、この国を盟主と仰ぐようになった。
やっと一段落がついたある日のことまた御前会議に呼ばれた。
「ローザ様、隣国のアルテイド王国から、旧ソンベルト男爵領をローザ様個人に寄進するとの正式の申し入れがありました。また公爵の爵位も付与したいとのことです」
私はエドワード王子を仰ぎ見た。
「受けてもいいのかしら」
「ああ、もらっておきなさい」
「はい。ではお受けします」
「次に本題なのですが、ローザ様のご身分のことです」
「何かしら?」
「ワシの口から言わせてくれ」
王が言った。
「はい」
「エドワードと結婚してくれ」
「えっ? 陛下は反対だったのでは?」
「すまぬ。不見識であった」
エドワードが私の手を取った。
「国王の許しを得た。僕と結婚してほしい」
そういうとエドワードは小箱から指輪を取り出した。
私は驚いてしまった。
「私でいいんですの」
「もちろんだ。初めてあったその日から僕には君しかいない」
私は頬が熱くなるのを感じた。
「エドワード様がそう言われるのなら」
エドワード様は私の左手の薬指にリングをはめてくださり、私にキスした。
私は王子に愛されて幸せで一杯だった。
「王子との結婚式と結婚パレードは国をあげての盛大な式にするぞ」
国王が満足気に言った。
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