第18話 聖女がヴァルキリーになる時
「どこ、どこなの」
私はパニックになっていた。
王宮のベランダから飛び立ったものの、あせっていた私は方向を間違えたのか、エドワード王子の馬車を見つけることができなかった。
そればかりか、戦いが繰り広げられている前線も見つけることができないでいた。
私は空中で止まった。
心を静めた。
どこかで大規模な戦闘が行われているなら、その地域の木々や大地や大気に異常があり、精霊が知らせてくれるはずだ。
「そこね!」
東の空に何かが見えた。
「風よ! 私を運んでちょうだい!」
疾風に乗って私は急いだ。
眼下に戦場が広がってきた。
(エドワードがいた!)
剣を振るっていた。
私は、エドワードの周りの敵を一瞬で吹き飛ばした。
これまでに無い精霊の力が湧いてくるのを感じていた。
◇◇◇◇【エドワード視点】
敵に包囲された。
多勢に無勢だった。
(これまでか)
私は同時に2方向から斬り込んでくる敵をはらった。
その時、烈風に吹き飛ばされそうになった。
思わず、目を閉じた。
目を開けた時、私の周りに敵兵は一人もいなかった。
「どうした。何があった」
後ろにいた司令官に叫んだ。
「分かりません」
「味方はあと何人残っている」
「数百、いや、もっと少ないかも知れません」
剣の柄を握り直した。
(おかしい。静かだ。敵がいない)
見ると、数千はいた敵が後退していた。
足元が揺れた。
立っていられない。
膝をついた。
だが、前方の敵の方が揺れが激しいようで、投石機が全部倒れた。
騎兵は暴れる馬に振り落とされていた。
突然、後ろから強い風が吹いた。
その風に炎が交わった。
火炎がどんどん大きくなる。
その烈火に敵の前衛が逃げ惑ってゆく。
ドーンという爆発音がした。
大地が裂けて、敵が後退した向こう側と自分たちのいる側との間に深い谷間が出来た。
さらに火炎の烈風が投石機や弓を焼き払っていく。
敵の進軍は止まった。
いやそれどころか10万の敵軍の陣形は完全に崩れ、我先にと兵が敗走を始めている。
私は上を見上げた。
白いドレスに白い仮面をつけ、風に髪をなびかせた女性が空に浮いていた。
「救国の大聖女」
横にいる司令官が放心したようにつぶやいた。
私は後ろを見た。
女大道芸人は馬車の横で気絶していた。
救国の大聖女はゆっくりと下降してきた。
私の前に、救国の大聖女は降りると膝をついて頭を下げた。
「立ちなさい」
だが救国の大聖女は顔を下げてひざまずいたままだった。
私は肩をつかんで立たせた。
顎に手をやり上を向かせた。
仮面に手をかけた。
大聖女は抵抗も逃げもしなかった。
私は仮面をとった。
「やっぱり、君だったのか。ローザ」
「エドワード。あなたが無事でよかった」
ローザは泣いていた。
私はそのローザの唇に自分の唇を重ねた。
そしてローザの細い体を抱きしめた。
「愛してるよ」
そうローザに囁いた。
生き残った兵士たちが集まってきた。
「救国の聖女様はローザ様だったのか」
「ローザ様、万歳」
勝どきの声が上がった。
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