第12話 魔物が出現する村
「ここがそうなのね」
私はアンナの故郷の村に降りた。
うっそうとした森と丘があった。
「キャ――」
悲鳴がした。
その方向に駆けて行った。
赤い目と鋭い牙をもった魔法ネズミが少女を襲っているところだった。
「炎よ! いでよ!」
魔法ネズミは一瞬で豪火に焼かれた。
「お姉ちゃん」
少女はアンナを見て言った。
「ユリ、一人で森のそばに来たらダメだとあれほど言ったじゃないの!」
「だって、お父さんが、森に行ったきり、昨日から帰ってこないの」
ユリが泣き出した。
私は風と大地の精霊にアンナとユリの父の居場所を訊いた。
「私と手をつないで」
アンナは心得ていてすぐに私の手を握った。
ユリが不思議そうに手を出した。
私達は森の上空に舞い上がった。
「あそこね」
男性が樹の根元で倒れていた。
まだ息はあるようだ。
その周りを魔物化したハイエナが徘徊していた。
死ぬのを待って、死体を食べることを狙っているようだった。
私は着地すると、さっそく魔物のハイエナに火を放った。
魔物たちは火炎を浴びて逃げていった。
「さあ、手を貸して」
私達は三人でアンナの父をかかえると風に乗って村に連れて帰った。
「ありがとうございます。主人はなんとか一命を取り留めることができました」
「よかったわ」
私は村長の方をむいた。
「魔物がもう出没しないようにしたいのだけど。この村の周辺の地形を変えてしまうことになりますけどいいですか」
「どういうことです?」
「見たところ村のそばの丘の中に動物を魔物化する魔力がある魔法石が埋まっています。それから森には魔物を引き寄せる効果のある植物が生えています。だから丘を崩し、魔法石を遠くに飛ばし、森を全部焼き払うことになりますが、いいですか」
「それで、魔物は出なくなるのですか?」
「はい。ただ遠方から魔石の残り香のようなものに引き寄せられて来る魔物がいるかもしれないので、村の周りに堀を作り、水を流し、一種の結界を張ります」
「そ、そんなことができるのですか」
「はい。でも周辺の地形が変わりますがいいですか」
「魔物が出現しなくなるのなら、やって下さい。それに森が焼き払われてくれれば、その後、その土地で耕作ができますから一石二鳥です」
「分かりました」
私はそのまま飛び立ち、森を焼き払い、大地を揺るがして丘を崩し、魔法石を風で遠くに飛ばし、さらに大地に亀裂を走らせ、水を引いた。
最後に焼いた森の火が飛び火しないように大雨を降らせて消火した。
1時間もすると、村の周辺には、広大な平地が出現し、村は堀で囲まれ、清らかな水がその堀をながれて魔物の侵入を阻むようになっていた。
「す、すごい。信じられない」
「あ、このことは内緒にしておいて下さいね。絶対に他人に言っちゃだめですからね」
「あなたはいったい……?」
「愛妾です」
私は艶やかに答えた。
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